アンブレラ・dark rain

「アンブレラ」に頂いたコメントから、むくり。






月が雲に隠れた。
瞬時に夜の闇が深くなる。

ぽつり

キョーコの手の甲に落ちた雫。
「いけないっ。」
きっと酷い雨が一瞬のうちにやってくる。
マンションの玄関は見えているから。
俯いて走り出そうとしたキョーコは、真正面から人にぶつかった。

ごめんなさいっ、咄嗟に口を開こうとして、その薫りに顔を上げる。
広い胸、高い身長。
見上げた先の整った貌。

「また、歩いてきたね?」
黒い瞳がキョーコを射る。
「あの、、」

ざぁぁぁ

・・そこまではタクシーで来たんです。
そう言いかけたキョーコは、降り出した激しい雨に口をつぐむ。
抱きしめられた自分の躯は雨にあたることもない。

「どれだけ心配したと、思っている?」
蓮の黒髪から雨がしたたる。

「ごめんなさい。でも、あの、」

ざあざあざあざあ

まるでこの雨を意にも介さず、キョーコを見つめる瞳。

街灯の明かりも雨に隔てられて、いっそう闇が深いのに。

背中に廻った大きな手が肩を背を包む。


飛沫が脹脛をうつほどのの雨脚。

「家に」

「いやだよ。」

ぎゅっとさらに抱きすくめられる。
ぽたぽたと髪から落ちる雫が、すこしつま先立ったかかとに落ちた。

「君が、濡れるのは、雨でも、、いやだ。」

「つっ・・。」

キョーコは掴んでいた蓮のシャツを離し、手を背に廻す。

「冷たい。」

キョーコの手をうつ雨。
濡れたシャツを通して触れる肌。

「君が、あたためて?」

バラバラバラバラ

急に雨がキョーコに降り注ぎ、眼をとじた。

「!」

重ねられた唇。
滑り込んできた熱。

頬に触れる生あたたかな雫と躯を濡らす冷たい雨。

角度を変えるたびに、混ざり込んでくる冷たさ。

なのに触れた所から熱がじわじわと、あがる。


ざああざああ


激しい雨は視界を隔て、
月もない暗闇が二人を溶かしこんでいく。






*****
・・・けっきょくびしょ濡れ。




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