純情と理性10

「蓮、顔、かおっ」
社は自分の顔も、にやけて弛んでいるのに気付かない。


「純情と理性」
敦賀蓮の場合(4)


〜好きな人が好きでいてくれる世界、、
こんなキラキラした世界が、あったんだ。〜

何をしていても溢れてしまう微笑み。
眼に浮かんでしまうキョーコの恥じらう笑顔。
「・・大好き・・」
ふわり
ふわり
自分を包む全てが柔らかくて優しい。

「しあわせいっぱいだな。」
にこにこと社が移動中の車内で言った言葉に、はっとなる。

・・幸せ

それを、自分に赦す覚悟も無しに、得てしまった、喜び。
それは、想像していた「幸せ」などとは比べ物にならない。
だからこそ、ここに浸っていてはいけないと奥歯を噛み締める。
もう、覆す事などあり得ない。
キョーコがあんな笑顔をしてくれるなら、どれだけ断罪されても、手放す事なんてできない。
苦しいのに、こんなに満たされる。

あの笑顔を護らせて欲しい。

見慣れた筈の景色が、鮮やかにとびこんでくる。
見方一つで、景色はかわってしまう。
色鮮やかに輝いて、見える。

「蓮、すごい百面相だから。局についたら、落ち着いてくれな〜」
社の声も笑いをかみ殺したようなもので。
「落ち着いている、つもりですが。」
「駐車場入ったら、ミラーに顔写してみてくれよ。」
「・・わかりました。」
「まあ、今晩の社長にどう弄られるかと思えば、笑顔も少しはまともになるかもなぁ。」
「・・そうですね。」
「そういや、佐野さん、社長のアポって、即座にでてきたけど・・。」
社が首を捻る。
主任クラスでも、あの社長とはいえ、簡単にアポはとれない。蓮にしても、お気に入りとはいえ、社長からの呼び出しに応じているのであって、ぱぱっと取れるようなものでもないのだ。
・・神出鬼没だしな。
それでも、アポ取れましたから、お願いしますね。
佐野はきっちりと社に連絡してきたのだ。

「そうでした。仕事がありますね。」
蓮の顔が前をしっかりと見つめる厳しい表情になる。
人気稼業である。
プライベートとはいえ、同じ業界内で付き合うということは、ちゃんと考えるべき事なのだ。
あの子の笑顔を護るために。
好きだなんて、そんな答えがかえってくると思わなかった頃なら、思うだけで良かった。

一緒にいたい。

その時間も場所も、掴みとらなければ、いけない。

「大好き」

その言葉の輝きを抱きしめて、彼女との未来を踏み出そう。
流れていく景色の先が輝いて見える。

「大好き」

胸に広がる甘さ、ほんわりと温かくなるもの。
とくんとくん
自分の鼓動がちゃんと生きていると実感させる。
どうしても、どうしても、口元が緩んでしまう。

車を停めて歩き出す、その足にかかる体重までもいつもより軽い。

今晩には、またキョーコに会える。
社長に何をいわれたって、花が綻ぶようなあの笑顔が自分に向けられるなら。
世界はきらきらしているのだ。


*****
久しぶりの続き。
再開でいきなり社長はちょっと違うかなと。








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