スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

野茨の縛16

前話は解説と目次を参照下さい


**

「すごく綺麗だ。」
絡まったままの右手に蓮が口づけを落とす。
脱ぐ事ができなかった服が、汗でぐちゃぐちゃになったまま身体にへばりついている。
「服、、気持ち悪い。」
ナツは絡まった糸に左手をかける。
「解くの?」
「だって、」
「やだな。」
「またやりなおせばいいでしょ。」
ナツのその言葉に、蓮が笑んだ。
「そうか、そうだね。」

服は洗濯機に、そのままシャワーをあびる。
帰宅に不自然のないように。
勉強を見てもらっているのだと、見え透いた嘘をつく。
その嘘を疑っていたとしても、両親が本当を知ろうとはしないことを、ナツは知っている。
愛されてないとか、そんな風には思わない。
両親の想像しうる世界に、波風が立たなければお互いが幸せなのだから。

「どこに行くか、決めた?」
「え?」
「夏休みの旅行。」
帰る車の中。
「琴南さんとペンションにバイトに行くから、日程あわせなくちゃって。」
「え。」
「だから、琴南さんに口裏あわせてもらって、旅行にもいけるんだけど。」
「ペンションって、何処?」
「伊豆、琴南さんが毎年行ってるって。」
「そう。」
運転席でまた蓮の雲行きが怪しくなったのを、ナツは察知した。
そもそも少しそれを予想していたから、帰りの車で切り出したのだ。
「蓮の予定は?」
「親のところに行くから。」
ナツはその答えに、あ、蓮にも親がいるのだったと思う。
学生の夏休みは長い。帰省する人も多いのだと奏江が言っていたのを思い出す。
「あ、そうなんだ。えっと、何処なの?」
「ロサンゼルス」
何か腑には落ちた。帰省という言葉が蓮と結びつかなかった訳だ、とも思う。
「一緒に行くつもりだったんだけど。」
ナツは運転席の蓮をまじまじと見てしまった。
「夏はイベントもあるから楽しいと思うよ。」

「・・・・・。」

「ナツ?」
「面白いかもしれないけど、どうして、早くに言ってくれないの?」
「え。」
「旅費とか、今、バイトもしてないのに、無理よ。」
「ああ、そんなことは気にしないで。」
「は?ウチの親もびっくりしちゃうわよ。」
「だから、認めてもらおうと思って。」
「は?」
「真剣な交際ですって。」

ナツは呆然としながら、車を降りた。
蓮の感覚のズレは、刺激的で楽しいを、飛び越える事が多すぎる。
両親がアメリカにいることも、初めてきいて、しかもそこにナツを連れて行く気だったという。
いきなり将来を突きつけられたみたいで、頭が真っ白になる。

蓮は大学4年で、就職せずに院に進む。
司法試験をパスして、何らかの職につくことまで具体的に描いているのだろう。

ナツは、まだ大学に入ったばかり。
学生生活の楽しみを知りたいのに、蓮に振り回されている。
普通の学生生活を夢見た訳ではないし、刺激的な毎日ではあるけれど。
「真剣な交際」
などといわれるのも重ければ、
蓮の両親にわざわざアメリカまで会いにいくというのも重い。

「行かない。」
「ナツ?」
「蓮と旅行になんか、行かない。」






***
なんか、コミカルになってます。
妙に優しい蓮さんな理由も、村雨の経緯も、自販機の前の件もうやむや。
ナッちゃんは、あやとりで一矢報いた気でしたが。















関連記事
web拍手 by FC2

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

message
場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
最新記事
counter
カテゴリ
flyaway news twitter
ブログとHPの更新状況とちょっと呟き フォローはご自由にどうぞ!(フォロー返しはあまりないかも)
Link
上部のサイト様は相互リンクいただいてます。 マナー携帯でご訪問くださいませ。 下部のサイト様は大好きサイト様で、リンクフリーに甘えさせていただいてます!!
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。