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野茨の縛13

前話は解説と目次を参照下さい


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結局、2人は駅まで歩いた。
マンションから駅への道は、大学からとは違って住宅街を抜ける。
そこを、言葉少なに2人は歩く。
駅の改札を抜ける前に、躊躇したナツを蓮は促すようにして改札をぬけた。
「電車、乗るの?」
蓮と電車にのったことが、ナツにはない。
「一緒に電車なんて、なんだか旅行みたいだ。」
ホームで隣に立った蓮が、ナツに微笑みかけた。
都内に行くにも、蓮は車を使う。

「高校の時はね、電車に乗った事もあったんだよ。」
ぽつりと蓮が言った。
「乗った事もあった?」
「この身長のせいか、目立ってね。色々あったから、学校のそばに引っ越したんだ。」
「まさか、大学もそれで近くに?」
「そう。」

腕自慢な連中にはよく絡まれた。
女の子達からは好意という名で追いかけ回される。
人の彼女を、取ったの取らないのと因縁をつけられることもあった。

「喧嘩、買ってたの?」
「ま、、ね。」
蓮が言い淀む。
電車のドアも少し頭を屈めて入る蓮に、ナツはそうか、と思う。
蓮にとって電車は窮屈な乗り物なんだろう。
満員の電車で、一つ頭抜けていれば、ただでなくても誰の眼にもつく。

「そうか、この駅なんだね。」
降り立った駅のホームで、蓮がまた唐突につぶやく。
「知らなかった?」
「懐かしいな。」
「前に住んでた?」
「違うけど。」
この駅からバスに乗るところに高校がある。
「高校?」
「うん、まあ。」
「そうなんだ。じゃ、わりと近くに住んでたのね。」
蓮がその言葉に無表情になる。
「・・・もっと早く出逢えたのかな。」

「ノイバラの花を見ていた君が、すごく綺麗で、、、探したのに。」

ナツの足が止まる。
「探した?」
「そう、高校の制服だったから、高校はわりとすぐにわかったんだけどね。」
「まさか」
「あの日はほんとに偶然だったんだ。」

絡んできた男をすぐに道路に叩き付けた、その腕力。
知っていた、ナツの名前、進学のこと。
「綺麗なものは血を流してでも、、」
ちょうど気に入っていた小説のワンフレーズ。
あの社との会話を、蓮は見ていたのか。

「電車だったら、駅ですれ違ってたかも。」
「そうだね。」

するりと絡まったような紐がすんなりと蓮の手に移ったようで。
ナツの苦しさが和らいだ。

「これ、宿題。」
ふとナツは思いついて、バッグからあやとりの本と紐を取り出した。
「え。」
「なにか手提げがいる?」
もう、ナツの家は近い。
「いや、なんで、あやとり。」
「ひとりでやるよりね、面白いの。」

「じゃ、また明日ね。」
ナツはとびっきりの笑顔で蓮に手を振った。





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