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野茨の縛12

前話は解説と目次を参照下さい


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「送っていくよ。」
ゼミ室から出て、歩く夕暮れのキャンパス。
蓮の部屋に行くなら、西門。帰るのなら正門。
ナツは正門に向かって歩く。
蓮が何を言おうと、もう、どうでもいい。
そんな投げやりな気持ちになっていた。
こんなに振り回されるのは、自分らしく無くて、いやだ。
「大学生」
そんな違う世界に刺激を求めていた、のに。

さっきの人は誰、あなたの何?
そもそも、あなたはどうして、私の前に現れたの?
・・・あなたは、、、ダレ?
ナツはそれを聞く事ができない。
答えを聞くのが怖い。
それを認めるのがいやだった。

黙り込んで表情のないナツを、蓮は覗き込んで、そして腕をとる。
「車で送っていくから。」
ナツは何も言えない。
ただ、蓮に従って歩く。

「今日はどうしたの?」
ナツはマンションのエントランスで立ち止まる。
「・・・キー取ってくるから。」
蓮が怒った風もなく、優しいのすら、ナツには苦しい。
「具合が悪い君を心配していたのに、講義をさぼって、貴島とどこに行ってたの?」
いつもなら、そう言うんじゃないのかと。
さっきの人のこと、蓮は聞かれたく無いから、、、。
そこまで、考えて、ナツはエントランスを出て、歩き始める。
苦しくて、
切なくて。

こんなものは、恋じゃない。
蓮に優しくしたいとか、優しくされたいとか、そういう気持ちじゃない。
自分だけが何も知らないみたいで、騙されてるみたいで、それが、苦しい。

「ナツ。」
追いかけてきた声。
ナツは俯いたまま、歩く。
「どうしたの?」
優しい声。
それが、そらぞらしく感じられて、一層胸が締め付けられる。

「・・棄てたオモチャは何個?」

「え?」
ナツの問いかけに、蓮がたじろぐ。
「オモチャって?」
「散々遊び尽くしたら、棄てるでしょう?」
「さっきみたいな、オモチャは、知らないんだ。」
「嘘吐き。」
「酷いな。ほんとだよ。」
「・・遊び慣れているくせに。」
その言葉で、蓮はナツがたとえ話をしていたと、気づいたらしい。
「本当だよ。・・・オモチャにはされてきた、けど。」
「うそつき。」
「君は、捨てるの?」
「今は、知りたいの。知っていたことと違うから。」
あやとりは、覚えていたものよりもっと複雑で、面白かった。
手の内で絡んだ紐は、相手が何かを見つければ、スッキリと続いていくのだから。
独りでも遊べるけれど、相手がいた方が面白い、遊び。

肩に手をおいて、優しく微笑みかけていた女の顔。
そんな奴と言った村雨。
出会ったのは博物館だって?と聞いた貴島。
ナツの頭の中でフラッシュバックする。
そして、いつになく優しく接してくる、この人。

「知って欲しいと、思うよ。」

ナツの手の中で絡み始めた紐に、蓮が手をかけたような気がした。

「遊ばれるのも、捨てられるのも、いや。」
「そうだね。」
「コレクションされるのも、いや。」
「そう、だね。」
「比べられるのも、いや。」
「俺もいやだよ。」

「俺ね、一人っ子だったし、ああいう遊びは本当に知らないんだ。」



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