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野茨の縛8

前話は解説と目次を参照下さい


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「やっぱり、キスマークだったんだ。」
奏江がカラカラと笑った。
だんだん「真夏日」という話題がではじめるようになって、ナツは惜しげも無く肌を見せるファッションになった。母は、少し心配そうな顔にはなったが、蓮の門限厳守は続いていたし、すぐに杞憂と思い直したらしい。
そして、偶然、大学のカフェテリアで顔を合わせた奏江が、そういう方が似合うと言って笑ったのだった。

「お邪魔します。」
一人で昼食をとっていたらしい奏江が、座れば?と隣の席を勧めてくれたので、ナツは素直に従った。
ナツも一人。蓮が昼食をとらないのもあるし、キャンパス内ではあまりナツに絡んではこない。
講義のタイミングで石橋達と食べるか、そうでなければ、一人ぼんやりとする時間でもあった。
「あなたしっかり食べる人なんだ?」
奏江がナツが手にしていたプレートを覗き込んで言う。
サバの味噌煮定食。ナツのお気に入りメニューだ。
「しっかり?」
そういった奏江の手元にはサンドイッチだが、作ってきたものらしくボリュームがない。
「琴南さん、少食なんですね。」
「まあね。私、たべるとすぐついちゃうのよ。」
奏江が二の腕を指差した。
「ええ?そんな風に見えないですよぉ。」
女の子の会話、奏江とは難なくそれができる。
ふと、以前聞いた、蓮の高校時代の話を聞き出そうとしたが、ナツは止めた。

奏江とひとしきり話を弾ませて別れた後、ナツはふと旧校舎のノイバラを見ようと、足を向けた。
少しは身体動かさなくちゃ、かな。
くすっ
奏江が語るダイエット論を思い出して、笑みがこぼれてしまう。
ツンとした美人がムキになって語る、甘い物大敵な話は、楽しかった。
カオリとも最初は新発売のお菓子やらコスメの話で盛り上がって、楽しくやっていたのだ。
ほんのささいなキッカケが、あの日々への始まり。
自分を捉えて離さない、感覚。

煉瓦の壁を覆い尽くすほど、繁茂した緑の葉。
ノイバラはツタと違って壁に根を張らないのだという。
ただ対象物に絡まるようにして、天を太陽を乞うて上を目指す。

「花はないよ?」
耳許におちた声。
ここにくれば蓮は間違いなく自分を捉まえる。
どういうタイミングなのか、ナツにはわからない。ただ、それに胸が震える。
ナツは蓮に会いたかったのか、ノイバラが見たかったのか、少し混乱した。


「何やってんだ、おい!」

場違いな怒号にナツが振り向いた時、腕に蓮の手がキツく食い込んだのを感じた。

「村雨さん?」

ナツの声に、その手がいっそうきつく食い込む。

「何やってんだよ。」

肩をいからせて、歩み寄ってくる村雨の気配は、ボランティアで見ていた時とは別人だ。
凄んだ視線がナツではなく、蓮に向けられたものであるのは明らかで。
ぎりっと腕に指が食い込む。

「いたっ。」
ナツをまるで村雨から隠すように蓮はその腕をひいた。

「学内で、何、やってんだ。」

村雨の声は恫喝そのもの。
ナツにも訳が分からない。
抱き合っていた訳でもない、、身体は触れていたけれど。

「お前に、、関係ないだろう。」

蓮の声が低く、唸るようで、ナツは身を震わせた。


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