野茨の縛5

前話は解説と目次を参照下さい


「家には入らないわよ。」
ナツは後部座席から言い放った。
車がマンションの地下駐車場に入って、いつもの場所に停まったから。
「こんな時間じゃ、どこも開いてないよ。」
蓮がカチンとシートベルトを外して、ナツの方を振り返った。
心無しか蓮の顔が微笑んでいるようで、ナツは内心拍子抜けする。

「なに?」

「やっぱり、君は綺麗だ。」

「ばかみたい。」

「コーヒーぐらいは、淹れるよ。」
「大学前のス*バのフラペチーノが飲みたい。」

「服は?」
「蓮のシャツ、貸して。ここで待ってるから。」

くす
蓮が笑う。
そして、小さく息をもらして車を降りた。
「待ってて。」

「やっぱり、白なんだ。」
蓮の手にあるシャツの色を見てナツがこぼす。
「そう。君の爪痕のせいで、着れないから。」
「治るわよ。」
「それまで、君が着ればいいよ。」
ナツは黙って車を降りる。
ショールを外して、カーディガンを脱ぐ。
コンシーラーが擦れて剥げる。

「ほんと、酷い痕だね。」

「そうね、治らなかったら、どうしよう?」

「それも、いいかな。」

「一生触らせてやらない。」

「困ったな。」

蓮のシャツはナツが羽織ればシャツワンピースのようだった。
・・蓮のにおい。
ズキン
身体の奥が震える。
それを隠すように、車のウインドウでシルエットを確認した。
袖はかなりたたまないとだめね、とか。
ガバガバになったウエスト周りを、締めないとみっともないな、とか。
スカートからベルトを抜いて、シャツ上から止めた。

後ろで、蓮が手で口を覆ってそれを見つめている。
それが、なにか嬉しそうな顔なのが、ナツの癪にさわった。

「何がおかしいの。」
「おかしくなんかないよ、すごく、いいなって。」
「は?」

「ナツを抱きしめてるみたいで。」

「ばかみたい。」

ナツはバックを手にして、歩き出した。







*****
バカップル。






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