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野茨の縛2

前話は解説と目次を参照下さい




「北澤さんって、わりとカチッとした服装なのね。」
「え?」
ナツは少したじろいだ。
指摘した奏江は悪気もなにも、そのままの感想を述べたのだろう。
奏江を始め居並ぶ女性がキャミソールにカーディガンなど、首回りを涼しくと露出するなか、ナツは襟の立ったシャツをきっちりと着ていたのだから。
前期の半ば、少し蒸して暑い空気。教室の窓から入ってくる風も生温い。
少し滲み出た汗が襟に吸い込まれる。
首筋から胸元に、虫刺されと誤摩化すにはあまりにもなキスマークがついているから、そんな服装しかできないのだとは、言えない。
蓮は平気でそういう意地悪をするのだ。


涼しい顔で家に送って、母から「いつもありがとうございます。」なんて、お惣菜などを受け取っていく。
「爽やかで素敵ね。いい人ね。」
母はご機嫌でナツに笑顔をむける。
ちくちくと首筋に熱が残っている事に気がつかない。
きっちりとした服装をするようになったナツに、母が言う。
「高校の時はおしゃれでいいと思っていたけど、男の人と一緒にいるんだから、そういう服のほうがいいわね。」
やっぱりなっちゃんはちゃんと考えてるのね、と。
・・・ばかみたい。
こんなのみたら、この人ひっくり返っちゃうわね。
自分の部屋に鍵をかけて、着替える。
レースのキャミソールや、ラインの綺麗なシャツを着たいんだけどな。
そもそも、それがきっかけの意地悪。

「外で見せる必要ないから。」
買い物の帰り、部屋でファッションショーだとアレコレ着替えていたナツを蓮が抱きすくめる。
「嫌よ、着たいものを着るもの。」
するりとその腕から抜け出して、広げた服を袋に戻していく。
「命令するなら、もう会わない。」
「へえ、大丈夫なんだ?」


「悪くはないんだけど、動きやすい格好で来てもらった方がいいのよね。」
奏江の声にナツは、はっと現実にかえる。
「わかりました。」
ゼミの教授が顧問をしているというボランティアサークルに、ナツは教授に頼まれて参加している。
大学のサークルというのもある程度の人数で継続していなければ、公認という支援を大学から受けられなくなるらしい。ボランティアなんて、就職に有利に働きそうなサークルなのに、人不足かとナツは首を傾げたのだが。
5つほどあるボランティアサークルの中で、ここは子供相手なのだ。
月に1〜2回、3つほどある決まった施設を訪ねて子供達と遊ぶ。

「あと、ごめん、その爪。スクエアとか短くできる?」
奏江の話し方には裏表がない。
「訪問時には切りますね。」
にこりとナツは答えた。
2年の琴南奏江は、子供が嫌いだといいながら、このサークルのまとめ役をしている。
演劇部に入ったものの、内部分裂を繰り返す人間関係に辟易して、このサークルでの子供相手のお芝居に情熱を燃やしているらしい。
ちょっとその風景を見てみたいなと、気乗りのしなかった訪問活動に参加することにしたナツだった。


ナツはじっと自分の整えた爪を見た。
オーバルでも少し尖っている爪。
切ってしまったら、しばらくはこの形にはできない。
クスっ
蓮はどんな顔をするだろう、そんな事を考えた自分が随分可愛らしいと思えた。


花の時期が終わったノイバラの壁は棘が、全く見えないほどに葉が青々と生い茂っている。
花弁をおとした子房はひっそりとその中に包まれて、見えない。




*****
モー子さん登場!
なっちゃんより年上。
演劇部には高園寺のお嬢様がおります。(苦笑)
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