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野茨の棘3

パラレル
前話は解説と目次を参照下さい。




さわさわと5月の風が花を揺らす。
もう終わっちゃうのかな。
ナツはノイバラの壁のまえで、少し足をとめた。
ひらり。
白い花弁が目の前に降ってきたのを掌で受ける。
なんだか、くすぐったいような気持ちにナツは微笑んだ。

「きれいだね。」
正面からの声にナツは微笑みを引っ込める。
声の主を確認することもなく。
掌の花弁をゆっくりと手にしていたノートに挟む。
「へぇ、栞にでもするの?」
近寄ってきた声は、柔らかくて聞きやすい声。
ゆっくりとナツはその声の主を見上げる。
にかっとでもいうような、わかりやすい笑顔を貴島が浮かべていた。
「就活ですか?」
蓮と同じゼミの4年生。濃紺のスーツがわりと板について見える。
「そ、何、スーツ姿に惚れてくれる?」
「七五三にならない人もいるなって。」
貴島はそのナツの言葉に笑った。
「いいね、その褒め言葉。なっちゃんに言われたって自慢するか。」
少し明るい紺色のネクタイの首元に指をかけて、貴島はすました顔になる。

「なっちゃんは笑うと雰囲気が柔らかくなるんだなぁ。可愛いよ。」
歩き出したナツの横を貴島も並んで歩く。
ナツは講義棟のある正門へ向かう。
「あれ、講義なんだ?」
貴島が立ち止まる。
「そうなんです。失礼します。」
ぺこり、ナツは丁寧にお辞儀した。
「ちぇー、一緒にゼミ室いって敦賀くんが、驚く顔見たかったのに。」
「驚くと思います?」
蓮の顔が貴島にもわかるほどに変化するなら、見たいと、ナツは思う。
「賭けようか?」
くす
ナツは笑う。
「缶コーヒーぐらいなら。」
「ちぇー、キス位ゆすろうと思ったのに。」
ははっと貴島が笑って、まあいいやと言った。


「失礼しまーす。」
楽しそうに貴島がゼミ室のドアを開ける。
入ってすぐは会議室のように中心に机があって、そこに椅子が並んでいる。
ゼミ生は大概そこでレポートを書いたり、話をしたりして空き時間を潰していたりするのだが。
果たして、そこには蓮が正面の窓近くで本を広げていた。
「よ、久しぶり。」
本から顔をあげた蓮が貴島と、そしてナツを見た。
一瞬すっとナツに刺さる、視線。
ただ、さほど何かあるという表情には見えない。
「珍しいな、何かあるのか?」
蓮の言葉に、貴島がため息をついた。
「ちぇー、俺の負け。なっちゃん、ごめんね。講義なんだろ?」
腕時計をチラリと見て、貴島が眉を下げた。
「じゃ、今度御馳走してくださいね。」
ナツは微笑する。
「わかった。じゃね、いってらっしゃい。」
ひらひらと貴島がナツに手を振る。
ナツは今度は会釈で、そして、踵をかえした。

「つまんねーなぁ、敦賀くんが嫉妬丸出しになるかと思ったのに。」
貴島は無遠慮に蓮の隣の椅子を引っ張りだして座った。
蓮が苦笑する。
「この時期にさ、彼女にあわせて大学に来てんだろ?余裕なんだか、そうじゃないんだか。」
椅子の背にぐーっと身体をもたれかけて、貴島はネクタイを慣れたように緩めて伸びをした。
「ココの方が勉強がはかどるからね。」
「ふうん、真面目も敦賀くんなら、モテ要素なのかな。」
質問はぐらかしやがったと貴島は内心面白くない。
・・なっちゃんに対して余裕ないなら、俺も少しは救われるんだけどな。
3年間「貴島くんもカッコいいけど敦賀くんがいるからね〜」と女の子達に言われてきた学生生活。
ただ、彼女とかまるで興味無さげな蓮に、筋金入りの堅物かその容貌のせいで女嫌いか、どっちかだと思って溜飲を下げていた。それが、新入生で目立って綺麗な子をおとしたとなると、複雑きわまりない。
「モテ要素?」
「いいや、気にすんなって。」
そういいながら、貴島は天井を眺めて、思い出したように尋ねた。

「そういやさ、どこでなっちゃんと知り合ったんだ?」

「博物館。」

「へ?」
貴島がビックリした顔で蓮を見た。
「答えると思わなかったけど、、、なんだそりゃ?」
くすっと蓮は貴島を見て笑う。
「なんだよ、嘘か。」
「いいや、本当。」
「ちぇー、何の参考にもなんないじゃん、それ。」
「そうかな。」
「なんないって。真面目で美人ってだけじゃなさそうなのにな。」
「そうだね。」
蓮が肘をついて、窓の外に視線を外す。
・・あ、なっちゃんが歩いてくのが見えんのか。
貴島は気が抜けたように、また天井を見上げた。





*****
貴島くんの回。
なんていうか、会話の妙みたいなもの。
しれっと彼女自慢な蓮さんでした。
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嫉妬大魔王な蓮さん

でも、それは影でねっとり系ですものねー。(爆)

ま、「悪魔」ななっちゃんも同類ですが。v(^。^)v


野茨の続きが2話アップ!と思ったら、3話まで読めて嬉しかったです。

なっちゃんの大学生生活はスタートしたばかり。

しかし、蓮さんは就職するならあと1年?
なっちゃんがいるなら、この(法科)大学院に残りそうですね。(* ̄m ̄*)

「彼氏」「彼女」と、堂々と言えるようになるまでには、いろいろありそうですね。

続きも楽しみにしてます。








Re: 嫉妬大魔王な蓮さん

> 魔人様

コメントありがとうございます!
何度も足を運んで頂き、ありがとうございます。

実は今4話もアップしましたが、痛すぎる2人。

蓮さん、就職も考えてたようなんですが、もう完全にナツのおかげで大学院です。
司法試験予備試験を受けてたりとちゃんとお勉強はしているようですが、はてさて、この謎の男何がしたいのか。

続き楽しみといっていただけて、本当に嬉しいです。
ありがとうございます。

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