スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

野茨の棘2

パラレル
前話は解説と目次を参照下さい。




「野茨の君、かなり優秀だな。」
社がトンと手にしたレポートを机の上で揃える。
昨日までが締め切りのゼミ生のレポートらしい。
教授の手伝いと勉強を兼ねて、院生は学生のレポートの取り纏めをする。
社はこのまま大学に残るらしく、そういった大学の雑務のようなものをすすんで引き受けるようなところがあった。
「なんですか、その野茨の君って。」
蓮はそのゼミ室の窓から外を眺めていた。
「あれ?お前覚えてない?去年さ、ノイバラの前で会ったコーコーセー。」
ぎくりと蓮は内心思うが、答えない。
ナツとの関係を蓮は誰にも話してはいない。
秘密にしているわけでもない。あれだけ一緒にいれば、誰もが事情を察しているだろうとも、思う。
そういうところに社は敏いと、蓮は4年にもなる付き合いで厭と云うほど知っている。
・・だから、これは何か引き出そうとしている、会話。

「北澤さんだったんだよねぇ。」
社がホンワリと表情を緩めた。
チクリ
蓮の胸に棘が刺さる。
「なんかさ、こう凜としてるというか、あのノイバラが似合ってさ。」
あの雰囲気はなんだろうねぇと、眼鏡の奥の目を細めた。
それは何か優しい笑顔であって、蓮はさらに苦しくなる。
「それで、、野茨の君ですか。」
社がこれ以上ナツの話をするのに耐えられずに、蓮は話を纏めようとした。
「そうそう。」
人の良い院生はニコニコと頷いた。

「1年からゼミなんて随分と熱心だとは思うけどさ、3年なんかよりよっぽどマトモなレポート出すんだから、参るよね。」
「そうですか。」
「お前が見てやってるんだろ?」
スパン。
切れ味の良い刃物のような一言。
社がじっと蓮を見た。
「お似合いとは思うけどさ。俺に付き合ってますとかさ、いう気なかったのかな?」
蓮は黙ったままだ。
「何ていえばいいか、わからないんですよ。」
「はぁ?」
「表現しようがないんです。」
恋だの愛だの、そんな言葉は綿菓子みたいで現実感がない、とナツが言う。
それを蓮は否定しない。
満たされるのは腕にナツを抱いている間だけ。
あの子の目が自分を見つめている時だけ。
いない時はただひたすらに餓えて渇いて、ヒリヒリとした砂漠を彷徨うような痛みに、ただ耐える。

「また、ノイバラが咲くなぁ。」
社が話を切り替えた。
もう早い花がちらほらと咲き始めているのを、蓮は知っている。
ナツが必ずあの前に寄るから、つい足を向けてしまう。


去年の春、鮮烈な記憶を残した「北澤ナツ」を、蓮はすぐに探し始めた。
高校と名前は充分なヒント。学年までわかっていれば、さらに容易い。
ただ、在籍はわかっても、彼女は必要最低限しか通ってないのか、暇を見て高校に寄っても遭遇できることはなかった。

それがひょんなことから、情報が入ったのは後期の始め。
逸美の頼みに折れて出席したサークルの飲み会の席、そこで名前が飛びこんできた。
「北澤ナツっていうのよ、その悪魔。」
苦々しげに話していたのは、2年の女子の一人。
妹がこっぴどいイジメにあったのだという。
知能犯と言おうか、主犯なのは誰もが知っているのに、誰も彼女に何もできない。
イジメにあった当人が怖がって何も言わないのもあるし、一種独特の陶酔もあるんだと「悪魔」と言った女子は解説した。

「事もあろうに、うちの大学の推薦、通ったらしいのよ。」




*****
、、、
微かにスキビが残っているといいですが。
キョーコちゃんのダークサイドという設定でのナツ様、未緒様も混在中。
蓮さんもカイン兄さんと嘉月様混在中な闇蓮さんです。

なんていいますか、蓮キョさんは闇がある二人なのが、妄想のツボでもありまして。
闇は消えないけど、お互い認めれば少しは楽になるんじゃないか、と。

設定が暗くてどんよりしてますが、無事故は保証。


関連記事
web拍手 by FC2

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

確かに無事故っぽいです。

こんにちは。GW中に楽しいお話を沢山更新してくださってありがとうございます。お話の雰囲気が一つ一つ違うところが凄いです。一見女子好みのロマンはない蓮/ナツでも別世界の空気感に包まれる心地良さがあります。読書の力とは目の前から本、ここでは端末、が消え失せ、その世界観に引き込まれること、と書かれたものを読んだことがあります。
薄暗い闇の中に白い花が沢山咲いている、そんな世界をこのお話は毎回運んできてくれます。次の更新をお待ちしています。どうもありがとうございました。

Re: 確かに無事故っぽいです。

> Genki様

コメントありがとうございます。
素敵なコメントをいただけることが、更新の原動力となります。
『薄暗い闇の中に白い花が沢山咲いている』とのこと、感無量で嬉しいです。
その雰囲気のなか、闇が濃くなったり、光の加減で花に変化がでるような話にと、ノートをにらめっこしつつ丁寧に更新したいと思います。
心から、コメントに感謝します。ありがとうございます!
message
場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
最新記事
counter
カテゴリ
flyaway news twitter
ブログとHPの更新状況とちょっと呟き フォローはご自由にどうぞ!(フォロー返しはあまりないかも)
Link
上部のサイト様は相互リンクいただいてます。 マナー携帯でご訪問くださいませ。 下部のサイト様は大好きサイト様で、リンクフリーに甘えさせていただいてます!!
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。