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野茨の棘1

パラレル
前話があります。解説と目次を参照下さい。




春のキャンパスは、賑やかになる。
新入生が真面目に通ってくるから。
その新入生をめぐって、部活やらサークルやら、いつもは大学に来ない連中も来るから。


蓮には4回目の大学の春。
いままでとは随分違う春がきた。
正門から人目を奪いながら、ナツがキャンパスを歩いてくる。
まっすぐで綺麗な姿勢、流れるような歩き方。
振り向く人をモノともせずに、ただ、自分の行きたい方へとカツカツと歩いていく。

   **

慣れてない1年は掲示板の前でたむろって、できたばかりの知り合いの確認をしている。
その楽しげな姿に一瞥もくれずに、掲示板をながめて、踵を返す。
「ね、君、北澤さん、だよね?」
掲示板の前にたむろってた中から、ナツに声がかかる。
「ええ、何か?」
声をかけた青年が一躍注目を浴びる。
「あ、俺、同じ学科の石橋っていうんだ。、、よかったら、おはよう、とかそのぐらい、挨拶したいなって。」
人のよさそうな顔が少し頬を赤らめて言った。
「おはよう。」
ナツはにっこりと微笑んで、その場を去る。


高校と大して変わらない。
ああ、女子ばかりじゃないから、あれも気をつけなきゃいけないのかな。
もっとメンドクサイ。
くすっ
いっか、イイ人は良いオトモダチ。
挨拶して微笑めば、それで何か後々面白いかもしれない。

ちくり
刺さる視線にそちらを見る。
・・蓮だ。
綺麗に着飾った女の子達に囲まれてるくせに、その長身でコチラを見てる。
フイと顔を背けた。
「4年は講義なんて大してないから、キャンパスでは会わないかもね。」
そんな言葉にすっかり騙されたとナツは唇を噛む。
都内のキャンパスはそう広くはない。
それを思い知った気がした。

「北澤さん。」
上からかかる、その良く胸に響く声。
振り向けば、蓮の身体の向こう側に、尖った目をしてナツをみるさっきの女の子達がいる。
クス
馬鹿みたい。
この人、見た目通りの王子様なんかじゃないのに。

「何がおかしいの?」
蓮は少し腹をたてているらしい。
「あの人達、凄くこわいカオ。私泣いてみようかな。」
眉を下げて、バッグからハンカチを慌てたように引っ張りだす。
「ああ、ごめん。」
気持ちの籠ってない返事に、ナツは白けた。
「別に、ただ、あなたってやっぱりモテるんだなって、思っただけ。」
踵をかえして、ナツは歩き出す。
「ゼミ室いくんだろう?一緒にいくよ。」
「やあよ。」
「どうして?」
「怖い、っていったじゃない。・・今。」

蓮が屈んでナツの顔を覗き込む。
「嘘吐き。」
耳許に落とされる言葉。
「面白がっているくせに。」
にこりと笑う蓮の顔。
「そうよ。」
ナツはそれに目もくれず、鬱蒼と緑が繁る旧校舎の方へ視線を投げる。

  *

大学、見るだけ見てみよう。
そう思って、連休中のオープンキャンパスにナツはこの大学を訪れたのだった。
高校からは推薦もある、その枠に入る事ぐらい造作もない。
来てみて、良かったと、鬱蒼と繁る大木を見上げ、記念品のような古い校舎の薄暗さに少し浸った。
しかも、学生はこちらにあまりたむろわないようで、静寂が心地よかった。
そして、煉瓦造りの遺物のような校舎の壁一面を覆う白い花をみつけた。

まだ、ノイバラが咲くには早い。綺麗な黄緑色の葉がわさり、わさりと塊をつくっていくだけ。


「敦賀くん!」
後ろから、そう呼び止められた蓮に構う事なく、ナツは歩く。
蓮の指がナツの腕を掠る。


ひんやりと暗い旧校舎の板張りの床がギシギシと音を立てるのを聞きたくて。
ひっそりとそこで、何も考えずにぼんやりとしたかった。
ちくん
蓮の指が掠った腕が、痛い。





*****
勢いで、出しちゃいます。


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