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人魚姫のゆめ 7

魔人様の「噂の人魚フェア」参加作です。

パラレルです

予告より長いお話になりましたが、最終回。





「おや、気がつかれましたね。ええ、キョーコもカナエも姿を見られておりますよ。」
ばあやはふふと笑う。
「海底の王のお話にもどりましょうかね。」


ふむぅ
海底の王は難しい顔を作っていたが、内心こみ上げる笑いをこらえるのに懸命だった。
真っ赤になったキョーコが一所懸命に王に尋ねた内容に。
「陸でのお前を知る男と話をしたいのだな?」
「はい。でも海の底には落とせないので。」
王はヒゲを撫でる。
「何故かな?そういうルールだろう。」
「ああ、やっぱり。ルール、なんですね?」
キョーコがあまりににこやかな顔になったので、王は手を止めた。

「良く考えたら姿を見られたのに、あの方は堕ちてこなかったのです。」

王はニタリと笑った。
「そりゃーお前の力不足だろう?」
「いいんです、力不足で!」
キョーコはニコニコして、ぺこりと頭を下げた。
・・魔法じゃなくて、ルールなのね!
見られたら落とさなきゃいけない、キマリなだけ。
王はキョーコが去ったのを見届けてから、ぶっと吹き出した。
「あの娘、世をはかなむような性質ではなかったのだな。」
「一途だったのでしょう。」
王の話し相手が、声を出した。
「さて、陸に上げる算段をしておくか。」


「もー、ほんとうに大丈夫なんでしょうね?」
カナエは今晩こそはゆっくり月の光を楽しみたいし、空気を目一杯吸いたいと思っていたので、キョーコに強く確認した。
「約束をたがえる方ではないから。」
「ああ、そっちじゃなくて、あんたが大丈夫かって言ってるの。」
「心配してくれるの?」
ぐうっとカナエは言葉に詰まって、そして頷いた。
「・・・親友は、あんただけなんだから。」
「うん。次の満月はこんなことにならないはずだから。」


その晩の海は穏やかで、月の光も海面の小さな飛沫をキラキラ反射させるだけ。
レンは船の上から小さな変化も見逃すまいと海面を見つめていた。
小さな入り江。
他の人魚達があがってこない所。
それがキョーコとの約束の場所。

ちゃぷん

船縁に水音。

「こんばんは。お約束守って頂いてありがとうございます。」
レンは海面からのぞくその顔に微笑んで、手を伸ばした。
「会えて嬉しいよ。」
すいーっとキョーコはその手の届かない距離に離れ、ちいさな岩場を指差した。
・・船に乗ってはだめ!
カナエの心配した声が響いて。

レンは船から手漕ぎのボートをおろし、ちょっとの荷物をのせてキョーコの指差した岩場に漕ぎ着けた。
キョーコは変わらず顔だけを水面から出しているだけで、登ってこようとしない。
レンは両手をキョーコに差し出し、抱きあげようとするも、そうすればキョーコが離れる。
「ね、光を浴びたいんだよね?」
「浴びるのはお話のあとで、いいんです。」
キョーコの返答にレンは表情を曇らせた。

「俺のこと、嫌い?」
「私、人魚ですよ?」
キョーコはきょとんとしてレンを見る。
「キョーコだよね?」
キョーコはなおも驚いた顔のままレンを見つめた。
他人のそら似。そういうことにするつもりで。

「貴方の名前は?」
「レン」

すぐに返ってきた答えは、キョーコが思っていたものではなく。

「うん、そうだった、名乗ってなかったね。」
「俺はね、この港町で商売をしているんだ。友人と一緒にね。」

「商売。」

「そう。君は細工物を作るんだろう?」
「ええ。」
「どうかな、俺と取引しない?」
「取引?」
「材料は提供するから、作ってもらえないかな。報酬は何がいい?」
「・・・報酬なんて。」
「じゃあ、材料から自分のものを取ったらどうかな?」
「いいの?」
「良かった。取引成立だ。」

「その、首飾り、見せてくれないかな。」
「え。」
キョーコは躊躇したために、レンに掴まれ、あっという間に岩場に座らされてしまう。

「なんて綺麗なんだ。」

腕を振りほどいて逃げようとしたキョーコにレンはそう言った。

「こっちをむいて?」
そっとのばされたレンの手がキョーコの頬にかかる長い髪に触れた。
キョーコは瞼を伏せる。
「レン」の顔を見れない。
髪にふれていた手が頬を包んだ。

ちゅ

唇に触れた暖かいもの。

キョーコはゆっくりと瞼をひらき、離れていくレンの顔をみつめた。
何かの魔法にかけられたみたいに、目が離せない。
細めていた目を開いたレンはキョーコの瞳とぴったりあって。
2人はそのまま見つめ合った。

キョーコの瞳が揺れて、レンはキョーコを強く抱きしめて、また唇を重ねた。
今度はすぐに離れるような軽いものではなくて。
上唇を吸い、下唇をたどり、向きをかえ激しくレンは口づけた。

顔を上気させて、目尻をほんのり染めたキョーコの顔をレンの手は包む。

「愛してる。」

「君が必要なんだ。」

「必要なら、俺の身体、海の底に沈めて。」

「君が居るなら、海の中がいいんだ。」

キョーコはレンを見つめ続ける。

「陸に、あなたは陸にいて。それが私の願いなんです。」

するりとキョーコはレンの腕からすり抜けて、パシャンと海に入った。
泳ぎながら、また白い粒が目から溢れ出した。


地位も家族も名前すら、捨てさせてしまった。
あの日
髪の色、目の色すら変わってしまうほどだと、知ったのに。
どうして応えられなかったんだろう。
「愛している」
その言葉が嬉しくて嬉しくて仕方ないのに。
その胸に飛び込めないんだろう。

たとえ泡になって消えてしまったって、、、

ああ、そうか、
キョーコは泳ぐのをやめた。

チラチラと自分の中におこる嫉妬をみられたくないから。
あの人を閉じ込めて誰の手も触れられないようにして、おきたいから。
そんな気持ちを知られたくないから。
閉じ込めてしまったら、あの人があの人で無くなってしまうのが怖くて。

「海の底に沈めて」
彼を海の底に沈められたなら、

私だけが彼を抱きしめて。
彼は私だけに微笑むのだ。

なんて酷い想いなんだろう。
なんて甘美なゆめなんだろう。

私だけ
私だけ
あなたは私だけの宝物。

あなたの口がよぶのは私の名前だけ。
愛してるなんて私にしかいっちゃだめ。

がつっ

掴まれた腕
抱きかかえて浮上する身体。

ざばぁっ

レンが大きく呼吸する。
キョーコはそれを見た。

「どうして逃げるの?」
「いつも。いつも。」
怖い顔。

「やなの。」
「あなたが、花を褒めるのでさえも、いやなの。」

レンが驚いたようにキョーコを見た。

「綺麗っていうのは、私だけ。」
「可愛いっていうのも私にだけ。」
「愛しているっていうのも私にだけ。」
「そうじゃなきゃ、私、泡になって消えてしまうの。」

レンはきゅうっと海に漂いながらキョーコを抱きしめた。

「泡になんかならないよ。」
「そんなの、ずっと昔から。」
「君の笑顔は俺にだけ。」
「君を抱きしめるのは俺だけ。」
「こうやって海に閉じ込めていられるなら、それがいいんだ。」

レンはキョーコを見つめて、その身体に被さるようにそのつややかな唇に唇を重ね。
海に沈んでしまうことにも構わず、
2人はもつれ合うように、
身体を上に下に入れ替えながら、
堕ちていった。



「お話はこれでおしまい。」
ばあやはにっこり笑いました。

「2人は死んでしまったの?」
「おひいさまは、どう思いますか?」
「ちゃんと、あの海底の王が陸に戻してくれると思うわ。」
娘は頬を染めて、ちょっとうっとりしました。
「そんな簡単じゃないよ。」
青年はちょっと物憂げにいいます。

「おやおや。お二人でお話の未来を決めて頂かなくては。」

「決めていいの?」
2人は同時に答えました。
「ええ、お二人で、お決め下さいまし。」
娘と青年が見つめ合いました。


FIN




******
こんなラスト、、、、だめ?
いや、このお話自体、二次としてもどうなんよ。
申し訳ありません。


お話マトリョーシカ状態。
一番外側は、別館で開催中のL/M/E春のカラオケ大会ー中継所ーに上げました「人魚姫の、夢」です。
その内側にばあや。
その内側のお話。

ばあやが話している相手は妄想してくださいませ!


男に騙された娘が身投げし、人魚に姿を変え、そこを通る船を歌声でおびき寄せ座礁させるというのが、ローレライのお話の乱暴な筋です。で、ショータローに騙されてと安直に発想しようとしたら、ぴくりとも妄想働かず。(苦笑)
アンデルセンの童話も、もう他の素敵マスター様で堪能してるし、、、。


さ、あとはもう一個の人魚姫ネタにとりかかります。
こっちも安心できるお話になるのか、どうか。。。。


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おおー!

素直になったキョコ人魚さんと共に海に沈む蓮。

下では、海底の王がにやにや笑いながら、待ち構えていそうですね!

このあとのヤッシーが驚き喜ぶ様も想像しちゃいます。((*´∀`))♪

キョコさんは自分の小さな嫉妬がバカらしくなるレベルで、蓮さんの愛に頭から足の先、いや視線の先まで埋められそうですね!

素敵なお話をありがとうございました!

もう一個の人魚姫ネタも楽しみです。

Re: おおー!

> 魔人様

コメントありがとうございます!

海底でも、陸でももう、しがらみなく幸せになることでしょう〜
なんだか幸せに暮らす様は、皆さんと、お話を聞いていたお二人に委ねます!

こちらこそ、企画のおかげで思い切った妄想で突っ走れました!
いつも、本当にありがとうございます。
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