スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

人魚姫のゆめ 4

魔人様の「噂の人魚フェア」参加作です。

パラレル
すみません。途中は悲恋で悲劇でございますですよ。
ラストはこれまたウチ的な幸せになる予定。




「ああ、そうでしたね。お嬢様の遺体は見つからなかったのでございますよ。」
ばあやは話し続ける。
「ええ、海の底の、、海の話をしましょうかね。」


「まだ若い娘だな。」
河に流されたキョーコの身体は水を吸ったドレスの重みで浮き上がること無く、海へ運ばれた。
ヒゲを蓄えたその海底の王はキョーコの額に手をかざし、眉をひそめた。
「陸はまだそのような世界か。」
海底の王は「愛」が全て。
全てを慈しみ、そして全てから愛されること、それが王のモットー。
「このままこの哀れな魂を放っておけないな。」
「まして、陸のその男もどうにかならんもんか・・」
海底の王はキョーコの記憶を手から、読んだのだった。
そして、ぐちゃぐちゃと話しているのは、ちゃんと周りに聞いているものがいる訳で、けして独り言ではなかった。

「しばらく海の中から陸をみるがよい。」

王のその言葉に、キョーコの身体は、海の中で呼吸し、話ができる肺と早く泳ぐことのできる尾鰭をもつ人魚の形に変わった。

「お前の真実を見つけたなら、陸へ返すこととしよう。」

「真実?陸?」

「まだここはお前の知る国の「領海」。お前が去った後の国がどうなったか知りたくないか?」

キョーコは戸惑った。知りたくないから河の流れに身を任せたのだ。

「まあ、ここは楽しい所だ、好きに暮らせ。」

キョーコはおずおずと泳ぎだして、随分と楽に泳げるのだと驚いた。
そして、裸に近い姿に、何故か恥ずかしいという思いにならないのかと不思議に感じながらも、もう違う生き物になったという気楽さに、疲れ果てた自分の過去を閉じ込めたのだった。

キョーコのドレスはキョーコの肌を守る鱗と薄い布に変わってしまったが、胸に下げたピンク色の宝石はそのままだった。
一緒に泳いでいたイルカや魚にそれをつつかれては、その存在を思い返す。

「あ、あんたね、新入り!」
ほどなくして、他に人魚がいることを知った。
綺麗な女の子ばかり。
「そうね、男の人魚はあまりみかけないわ。」
カナエと名乗ったその人魚とキョーコは親しくなった。
「あなたも陸にいたの?」
「ええ、そうよ。」
「陸に帰りたい?」
「そんなこと思ったことないわ。」
カナエがツンツンとあまり話したくない様子なので、キョーコはそれ以上、カナエと「陸」の話をしなかった。

「私、女友達が欲しかったの!」
キョーコは海のアチコチをよく知るカナエについてまわった。
「はぁ?」
ツンツンとしながらも、カナエは面倒見がよく、実は少し照れているのだと知って、キョーコはますます懐いた。

満月の夜。
人魚達は沖の岩場にあがって、肌を外気にさらす。
陸の呼吸を忘れないためだと、カナエはキョーコに教えた。

そして、夜は海を行く船に若い男がいれば歌を歌いおびき寄せるのだと。

恋を実らせれば、陸へ戻れる。
人魚に身をやつした少女達はほとんどが、報われぬ恋をはかなんで、ここへ流れてきたのだという。
海の底へ堕ちた男と陸へ。

「ただ、男はね、ここで生活し続けられないのよ、なぜか。」
カナエがいう。
「耐えられなくなって、死んでしまうの。」
「だから私は歌わない。」
「結局は殺すためになってしまうもの。」


カナエとキョーコはほぼ一緒に楽しく泳いで暮らしていた。
陸のことは忘れて。
嵐の夜には、いろんなものが船から落ちてくる。
金貨や珍しい石。細工もの。
気に入ったものだけをひろって、珊瑚で囲まれた「家」に飾る。
「あんたは器用ね。」
「こういうこと大好きなの。」
キョーコは落ちてきたものをアレコレと組み合わせては、新しいものに仕上げていく。
人魚達に評判となって、忙しく作るようになったキョーコは張り切っていた。
髪飾り、首飾り、小さなバッグ。
・・・髪飾り。よく殿下が褒めてくれたのよね。
たまに想い出はよぎる。
でもそれは美しいだけの想い出。


「さて、話は陸にもどりましょうかね。」
ばあやが座り直し、揺り椅子がぎっと音をたてた。


「まったく、お前は黙っていても女が寄ってくるのか。」
力仕事を請け負う男達の間で、レンは浮いていたが、疎まれもしなかった。
寡黙で約束を違えない、それは信用をおかれやすい。
一緒に組んで仕事をすれば、女達が差し入れだの何だのと至れり尽くせり。
「一緒に仕事させてくれよな。」
にやにやと笑う男達に、レンは頷くのみ。
「ああ、まともにとるなよ、仕事って女とヤルッてことだからな。」
からかったつもりの男が、悪かったという。

「そうそう、最近海岸でいい細工物が拾えてさ。」
女に贈るにはなかなか喜ばれるし、なにしろタダだ、とレンに良く絡む男が言った。
「お前みたいなのは、ニッコリすれば股を開いてくれるんだろうけどさ、俺みたいのは贈り物無しじゃ、家にもあがれねぇからな。」
レンは応えない。
・・・笑いかけもした、花も贈り物も、あの子にはいつだって。

「え?」

レンから出た声に男は驚いた。
声が出せないのだと思っていたから。

「ソレ」

男が拾ったという細工物。それは髪飾りだった。
・・・あの子が作ったものに良く似ている。
レンは男にその拾えるという海岸を教えてもらった。
どうしても一つ手に入れたくなったから。


婚礼の前日にキョーコが消えたと知って、
何故か安心した自分がいた。
誰かの妻となるあの子を見たくなかった。
遺体が見つからないときいて、
何処かで生きているのだと信じた。

彼女の言葉は全てではなかった。
姿を消したそのことが、答えだったと。





*****
はあああー
あと残すは一話!
ちょっといい予感がしてますよね??

あと一話どころではなくなりました、、ごめんなさい!
関連記事
web拍手 by FC2

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

message
場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
最新記事
counter
カテゴリ
flyaway news twitter
ブログとHPの更新状況とちょっと呟き フォローはご自由にどうぞ!(フォロー返しはあまりないかも)
Link
上部のサイト様は相互リンクいただいてます。 マナー携帯でご訪問くださいませ。 下部のサイト様は大好きサイト様で、リンクフリーに甘えさせていただいてます!!
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。