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人魚姫のゆめ 2

魔人様の「噂の人魚フェア」参加作です。

パラレル
すみません。途中は悲恋で悲劇でございますですよ。
ラストはこれまたウチ的な幸せになる予定。


「恋は人を愚かにしたのでしょうかね。」
ばあやはそこで大きく息をついた。


「君を他の男となんか踊らせない。」
耳元に降る声に、キョーコは嬉しくて、胸が躍ってしまうのに、出てきたのは涙。
「どうして泣くの?俺のことが嫌い?」
その哀しそうな声にキョーコは首を振る。
・・すき
言ってしまえたらいいのに。
「お揶揄いが過ぎます。」
キョーコは腕を突っ張って、クオンから離れようとした。
「揶揄ってなんか、いない。」
その真剣な眼差しに、キョーコは射竦められる。

「殿下。」
間に割って入る宰相の声。
キョーコはその声にいっそう離れようとし、
クオンはいっそう腕に力を込めた。
そして、
キョーコの小さな頭を抱え、唇を重ねた。
軽い接吻ではない。
押し付けるように強く、キョーコの唇を貪るように。

ガシイッ

キョーコの身体は父によって引き離された。

「お戯れにもほどがあります!」
宰相は娘を抱えて、言い放つ。
「戯れでこんなことはしない!」
クオンは宰相に詰め寄る。
「お立場を、いまいちど。」
「何故、なぜなんだ?」

「キョーコに王妃という重責は勤めおおせない。」

父の言葉にキョーコは涙した。
そうだった。父はそれをずっと気に病んでいたのだ。
殿下がただの青年であったなら、こんな理不尽な事をする父ではない。

「そんなことはない。」

「幼少より可愛がって頂いて、情をかけて頂いたこと嬉しく思います。」
宰相は言い募る。
「それを男女のものと勘違いなさっておられる。」

「違うっ!」

「キョーコは兄を慕うように殿下をお慕いしておりますよ?」
その宰相の言葉に、クオンは酷く哀しい顔でキョーコを見た。
コクン
小さくキョーコは頷いた。
・・全ては綺麗な想い出に、心の函に閉じ込めてしまおう。
きっと殿下に相応しい方が隣に立たれるのだ。

「そう、、。そうだったんだ。」
ふらり
背の高いその身体が揺れて、一歩一歩後ろに離れていく。
キョーコはそれを見れずに、胸に下げたペンダントに両手を重ねた。
クオンからこっそりともらったピンク色の宝石。

とっくに兄とは違うと知っていた。
微笑みかける笑顔を自分だけのものだと思いたかった。
抱きしめられて、心が躍った。
それでも、そこには飛び込んではいけないと。


「頑な宰相どのだと、みな噂したのでございますよ。一途な恋を受け止めてもよかったのではないかという声もあったようですがね。宰相が考えていたように、家臣のみなさんはやはり宰相の判断を歓迎したのです。」
ばあやは語り続ける。
「ただ、王子のお手つきという評判だけが残ってしまったのですよ。お気の毒なことでした。」


父と兄が諍う。
キョーコは居所がなかった。
たとえ、愛妾という形でも認めないと父はいう。
政り事が、血縁で傾くことを父は酷く恐れていた。
どんな歴史を紐解いても、有力な家臣の娘が王家に関わってろくな結果を残していない。
キョーコもそれは知っている。
父や兄が権力に胡座をかくような人でなくても、周囲は彼らを国王に匹敵する立場と扱うであろう。
それが、宰相として国政に関わることを難しくすること。
そして、そんな権力に自分が関わることに恐怖を覚える。

「俺が宮廷と関わらなければよいんだ。」
兄の言葉にキョーコは首を振る。
「お兄様はこの国を豊かにするのに必要です。」
「妹一人、幸せにできないのにか?」
キョーコはめいいっぱい微笑んでみせた。
「お父様に、お兄様にここまで大切に思って頂いているだけで、私は幸せですよ。」
兄もまた、父の考えを理解していた。友人を、妹をと思う情だけが、腹をたてていたのだから。
「そうか・・。」

キョーコは屋敷から外へでなくなった。
あれほどあった求愛もぱたりとやんだ。
・・これで良かったのだ。
ドレスの下のペンダントを感じながら、キョーコはゆっくり瞼を閉じた。


「俺がしたことは、あの子を苦しめただけなのか?」
クオンの言葉にユキヒトは答えられない。
既成事実で、父の反対を押し切るつもりだったのだろうと思うが、もっとやり方があったとは言えない。
キシマに手を取られた姿にクオンが黙っていられなかったのだと知っていたから。
「どうか、キョーコのことはもう。」
「無理だ、無理なんだよ。」
この数日でやつれた王子に友人としても家臣としても、なんとか乗り越えてほしかった。
「宰相の危惧もわかる、理解はできるんだ。」
クオンがゆっくりと首を振る。

「欲しいのは、あの子の笑顔だけ、あの子だけなんだ。」

いつか宰相を口説きおとす。そんな余裕があった頃とは違う。
兄として慕っているというその言葉に絶望し。
なのに、自分が無理矢理に奪った唇のせいで、キョーコが嫁ぎ先を失ったことを、喜んでさえいる。
キョーコが自分を望むまいと関係なしに、その身体を奪ってしまいたかった。
・・狂ってる。
「いっそ王家を追放されようか。」
その小さな呟きは、ユキヒトには聞こえていなかった。


「悪いことは続くものです。」
ばあやはぽつりと零した。
「国王の弟君の子息に、王子と何かと張り合う青年がいたのですよ。」

その名をショー。クオンよりは歳が下であったが、母親譲りのやはり見目のよい青年で、宮廷でも目立つ存在だった。
その彼が、キョーコに気をかけたのは、パーティーの一件が起こる少し前のこと。
青年達の間で評判の美少女で、宰相の娘。
野心家のショーにはうってつけと狙いを定めた所で、クオン王子との一件。
余計に好奇心を刺激されたのだった。

キョーコへの求愛がぱたりと止んだのは、「お手つき」という理由。つまり、自分の妻に迎えても、クオンに差し出すことになるであろうという危惧からで、また、クオンと張り合う気はないという青年達の意志表示でもあった。
ただ、それはショーには関係のないことだった。
その地位ゆえに。

宰相は喜んだ。
娘の相手として、一番問題が少ない。
ショーが野心家であればあるほど、キョーコが嫁ぐ意味が増す。
王族といえ、ただ有力な貴族で、叛旗を翻しかねないなら血縁でつなぐ意味もあろう。

「明日の晩、屋敷にお招きしたからな。」

父の言葉に、キョーコはその大きな瞳を曇らせた。
「今は辛くとも、な。」
「何もそんな急いで話を進めなくても。」
ユキヒトは割って入ったが、取り合われなかった。
「殿下のために、お前がなすべきことであろう?」
なっ
ユキヒトが父に挑みかかろうとするが、それを言われたキョーコが頷いてしまっていた。
へなへなとユキヒトは椅子に身体を落とす。
「ちがうよ、キョーコ。父さんはおかしい。」
キョーコが嫁げば、クオンが諦めると、父はそう思っているらしい。


クオン王子は日に日におかしくなっていた。
翡翠の瞳に昏く陰を揺らめかせるようになり、商売女たちを周りに侍らせる。
気に入らないことがあれば、癇癪を起こす。
その変わりように、王妃が床に臥し国王を悲しませた。
そして、ショーがキョーコに求婚するという話が伝わった翌朝、王子の容貌がすっかり変わってしまっていた。

輝く陽の光と言われた金髪が漆黒に、翡翠と宝石に例えられた瞳は射干玉の黒に。

「もはや俺はクオンではない。」

愛しい娘のもとへ。





*****
ひぃぃぃぃ〜書いている私も辛い展開です。
しかし、二話目にしてまだ、人魚の気配もありません、、、。

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クオン/蓮様、怖そうですね。

連続コメントで失礼します。だんだん暗闇の国の蓮様になってきましたね。人魚姫の王子って清い(いや、ずるい??)イメージでしたが、それはアンデルセンですか。ヒーローにしてアンチヒーローは文学の世界にもたまにいるようですが、難しそう…。この次の話を読むのがますます楽しみです。←さっさと読め、って感じですね。(笑)どうもありがとうございました。

Re: クオン/蓮様、怖そうですね。

> Genki様

コメント大歓迎!ありがとうございます。
もうアンデルセンの王子様はレンさんで妄想できなかったのです。コミックの扉絵に悶えながらこのレンさんは何者なのよ!!!と。
悶えて色々思い浮かべた結果、こんなお話に・・
ばあやさんが語っていなければ、おとぎ話の雰囲気もない・・・・
はい、これから最終話かきます!
ロマンチックになるといいなぁ〜〜〜です。

わー!

凄い展開!!

続きが気になりますが、明日までお預け!
明日ダッシュで読みに伺います!

(楽しみです!)

フェア参加、有難うございました!(1日で全7話完結!凄いスピードですね!)

Re: わー!

> 魔人様

コメントありがとうございます。
フェア参加も色々とありがとうございました。

なのに、こんなやっちまった作。申し訳ありません!!
設定ができて筋がたち、書き始めたのに、とんだ大暴走。
ハピエン、、、だと私は思っております。。

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