スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

人魚姫のゆめ 1

、、、ここのところパラレルばかりになってきましたね。

コミックの扉絵で、それはもう悶えておりましたとも。
そして、魔人様の「噂の人魚フェア」参加作です。
ええ、お祭りとか企画とか大好物なんです。(なのに参加作は祭りっぽくないのがミソ)

「mokaのお楽しみ」でざっと、ハムレットからの、、と書きましたが、
ちゃんと同じような展開で、人魚姫のお話はあるのですね。。(ローレライとか)
アンデルセン童話とは違う人魚姫のお話です、、

ええと。エンディング間際まで悲恋に悲劇でございますよ。
だから、被らないとは思いますが、海の底まで迎えにいくまで、
ちょっとアイディアストック分だけでもキューキュー胸が痛いですと、予め申し上げます。









「それはそれは綺麗なお嬢様でした。」
ばあやは語る。
「ええ、心映えの美しいお嬢様だったのですよ。」
「少し頼りなげなところもありましたがね、それがまた、可憐だと青年達の心を揺さぶったのでありましょうよ。」


娘の名前はキョーコ。
この王国の宰相の娘。彼女の優しく出来の良い兄は、名前をユキヒトという。父の後をついで立派に勤めがはたせるだろうと期待される青年。王子とも親しく、キョーコの家は安泰そのものだった。
公の場にキョーコが出たのは、周囲から1年遅れた18の年。そのことは、キョーコにとって、自分が他の人よりも子供であるというコンプレックスとなって、ダンスや恋の駆け引きといったことに消極的になってしまった。
ただ、側で見守る兄の視点からは景色は違っていたのだが。

恋の鞘当てに必ず名を連ねるような連中が、ユキヒトにキョーコとの繋ぎを求める。
白磁の肌に薔薇色の頬、うるんで大きな子鹿のような瞳。
庇護欲をかきたてるその姿に、手管も無しに抱きしめたくなるといわれて、ユキヒトはさすがに慌てた。
届く花束、贈り物に添えられた詩に言葉。
キョーコはそれを、お父さまやお兄さまへの礼節なのだと云う。
そんな妹に男達が無遠慮な欲望を抱いているとは、とても説明できない。
ただ、幼子に云うように、不用意に身内以外の人間と二人きりになるなとだけ、何度も繰り返す。


「まあ、ユキがいるから心配はしていないよ?」
妹に群がる狼の群れをどうさばいたものかと嘆息するユキヒトに、クオン王子が笑みかける。
「殿下が一蹴して下されば、こんな心配はしないのに。」
王子も、キョーコを想う一人。いや、他と並べようもない愛情を彼女に注いでいる。
立場があれど友人でもあるユキヒトの妹だからと、キョーコが幼い頃より近くにいたのだ。
誰よりも先にその愛おしい存在を知っている。
「一蹴しても良いが、宰相がキョーコを慌てて何処かへやってしまうだろう?」

クオンは王子であり、キョーコは重臣の娘である。

「少なくとも、家に閉じ込めてしまう、でしょうね。」
ユキヒトは父が妹を溺愛しているのを知っている。
良縁を得て穏やかに暮らして欲しいと願っている。
だから、どうであれ王妃になどさせるつもりはないのだ。
王子がキョーコとの婚姻を考えるなら、宮廷政治を考えなくてはならない。
宰相一家が王家と密着し過ぎてしまえば、いらぬ反感を買う。
宰相は王子がキョーコを女として見たのを知ってから、会わせることを拒んだ。
つまり、宮廷に顔見せすることを渋ったのだ。


「ただ、障害が大きければ大きいほど、恋は募るものと申しましょう?」
ばあやは語り続ける。
「宮廷で王子の想い人と知れるのは、早かったので、ございますよ。」


国王は鷹揚な人物で、宰相の心配をよそに、愛しているならば妃に迎えてもよいのではという。
政り事の傍ら、そう言ってのける国王に宰相は「もったいない幸せ」と逃げる。
キョーコが王子を慕う気持ちが、兄に向けるものと同じに思えた。
それでは何か不幸な気もしている親心もある。
クオン王子の人となりに不安があるわけではない。
国王譲りの頭脳に王妃譲りの秀貌、羨む人のないほどの麗人。
数多の娘達が、近隣の姫君達が愛を囁いても見向きもせず、何故、我が娘かと。
宮廷に顔を見せて話題を集めたから、青年らしく張り合うような気持ちもあるのではと、一過性の熱病に近いようなものだろうと宰相は思ってもいた。
それが一過性であろうとなかろうと、王子でなければ、せめて第二王子であれば、反対などしなかったものを。


治水の設備がととのったことを祝う大きな宴に、キョーコは父に伴って参加した。
母はキョーコの幼い頃に亡くなり、だからこそ、父は過保護になった。
すくなくとも、キョーコはそれが理由だと思っている。
ざわざわ
自分を見る好奇の目。
「もう帰りたい。」
居心地の悪さにそう言ってしまいたいのをぐっと堪えた。
「宰相どの。」
快活な声。
キョーコは俯いた顔を上げるとそこにはキシマの笑顔があった。
内大臣の息子。父がキョーコの嫁ぎ先にと有力視する相手。
何度か顔を合わせ、楽しく話すことができた人。
「キョーコをお願いいたしますよ。」
「それはもちろん。」

「そのドレス、お似合いでよかった。選んだ甲斐があったというものです。」
えっ、キョーコはこの濃い薔薇色の天鵞絨のドレスがキシマの贈りものとは知らされていなかった。
恥ずかしさに頬を染めて、そしてお礼を述べる。
「お礼など不要ですよ。とても綺麗な貴女とこうして過ごせる幸せを得たのですから。」
優雅な微笑みにキョーコはまた頬を染める。
「ほんとうに、綺麗だ。」
くるり
ダンスのようにキョーコはキシマに一回転させられて驚く。
ドレスの裾が広がって、キョーコのきゅと絞れた足首が少し露になった。
「まあ、ひどいわ。」
「怒った顔は随分と可愛らしい。」
微笑まれて、キョーコはしゅんとなる。
まるで物語のお姫様のようにキシマはキョーコに接してくれる。
それは心を楽しませてくれるのだけれど。

「キョーコ」

低くてキョーコの胸に響く声。
「君は彼と踊るの?」
キョーコは困ったようにその綺麗な翡翠の瞳を見つめた。
選んではいけない人。
この方は王子様なのだから。
「はい。」
小さくキョーコは返事をした。
「聞くつもりはないよ。」
バッと乱暴に手を取られてキョーコは慌て、そしてキシマも慌てた。
「殿下?」
「この子に手出しはナシだよ。」
カツカツと足早にキョーコを引きずるようにクオンは広間を横切る。
「痛い。」
小さくあがった悲鳴に、足が止まった。
「ごめんね。でも、どうして俺のところへ来ないの?」
「それは、父がいけない、と。」
チッ小さな舌打ち。
平素優しい人ならぬイライラをぶつけられて、キョーコは身がすくむ思いだった。
・・どうして怒るの?
戸惑うキョーコをクオンが抱きしめる。

その姿はそこにいた誰もの眼にとまってしまった。



ーーー
はい。
長い一話目。
身分違いでもないのに、許してもらえない恋なのです。

関連記事
web拍手 by FC2

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

綺麗な始まりですね。

こんばんわ。ばあやさんがナレーター、というのもいいですねえ。おとぎ話の世界が暖炉のある部屋の燻りの向こう側に広がりました。でも、まだ人魚が全く出てこないなぁ、と思いました。「治水工事」でちょっと水が出てきたけど。どんな悲恋が…とワクワクです。次の更新を、とっても楽しみにしています!ありがとうございました。

Re: 綺麗な始まりですね。

> Genki様

早速のコメントありがとうございます。
そうなんですよ、人魚姫なのに人魚は3話後半で登場です!

ばあやさんのナレーター、いいと言って頂けてほっとしています。
只今一気に4話まで公開しましたので!!!
お時間のある時にどうぞご覧くださいませ!
message
場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
最新記事
counter
カテゴリ
flyaway news twitter
ブログとHPの更新状況とちょっと呟き フォローはご自由にどうぞ!(フォロー返しはあまりないかも)
Link
上部のサイト様は相互リンクいただいてます。 マナー携帯でご訪問くださいませ。 下部のサイト様は大好きサイト様で、リンクフリーに甘えさせていただいてます!!
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。