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恋セヨ、乙女! 其の参

さあ、一体何話目で撮影に入るんだろう?



どんな顔して行けばいいんだろう。

キョーコは机の上の台本をジィッと見つめる。
開いては閉じ、開いては閉じて、もうかなり読みこんだ風になっている、それ。

好きな人まして婚約者が、記憶喪失の上、他の女性を伴って帰ってきて。
でも、自分の為に危ない橋を渡ってくれて。
・・・忍ぶ恋、かぁ。
でも、両想いって、わかってるのよね。
事情が許さないって、だけで。
・・だからって、編集長にって、、違うか。少尉の幸せの為に、、だもんね。
はぁぁぁ
・・・敦賀さん相手に、恋の演技なんて。
「まさか、勘違いしてないよね?」
なんて言われたら、立ち直れない。
「失望した。」
イヤァァァ
それだけは絶対に避けなきゃ!

・・・その表情を覚えておくように。

そうよ、キョーコ、演技に活かすチャンスなのよ!

「キョーコちゃん、大丈夫かい?」
女将さんの声がして、キョーコは我にかえった。
映画の顔合わせの日だ。
遅刻は厳禁!
「ハイッ!大丈夫です!」
そう言いながら、パタパタと階段を降りる。
「行ってきます!」
「気をつけて、行っといで!」


「あれ、京子さん。自転車?!」
マネージャーと歩いてきた千織に声をかけられる。
「そうよ?」
駐車場と受付の間の道、キョーコは自転車を押していた。
「言ってくれれば、寄ったのに。」
「へ?大丈夫よ、いつものことだし。」
キョーコはにこにこと応える。
一人で入っていかなくてもいいことに、かなり安心する自分に、少し呆れて。

顔合わせは原作漫画の出版社の本社ビル。
制作発表などもあるため、ここへは今後も何回か足を運ぶことになっている。
受付から入ろうかとして、千織にキョーコは止められた。
「ちゃんと関係者入口があるから!」
「関係者入口。」
「ここグラビアの撮影もあったりするから、ほら追っかけとか大変でしょう?」
千織がトクトクと説明してくれる。
・・テレビ局とあまり変わらないってことかな。

「おはよーキョーコちゃん!」
千織と話しながら、目的のフロアについたキョーコは、其の声に姿勢がピキーンと伸びた。
ニコニコと廊下の先で手を振る社。その後ろには長身の、かの人がいる。
・・敦賀さんだ。
ぐうっ
キョーコは息を飲み込み、「恋をしていない最上キョーコ」魂をつける。
紅緒の役作りより、「恋をしていない最上キョーコ」づくりに懸命だったとは、誰にもいえない秘密。
「おはようございます。」
千織と揃ってキョーコはお辞儀をする。
「うん、おはよう。・・」
あれ?
いつもなら続く、「最上さん。」がなくて驚く。
・・天宮さんがいるから?
「あ、ほら、キョーコちゃんの名字は本名だから、外ではどうかと思ってさ。」
妙に乙女顔で社がそう言って、にやにやと蓮をみている。
蓮は、、無表情。
「あ、いえ、いえ、そんなお気遣いは、なさらないで下さい。」
キョーコは小さく小さく固まってしまう。
「いや、ほんとにごめん。仕事の時は「京子さん」ってよばせてもらうね。」
キョーコは蓮の其の言葉に固まったまま凝視してしまった。
・・下の名前で呼ばれてるみたいで、そうでない感じ。

「・・ありがとうございます。」
でてきたのは、そんな言葉で。
「いやさ、キョーコちゃんでいいんじゃないかって俺はおもうんだけどさ。」
・・・や、社さん、やめてーーーなんか、こう悲しく、なるんですけど。
「あの、「キョーコちゃん」も本名ですよね?」
千織が会話に割り込む。
「あ、そ、そうだよね。ああ、じゃ俺も「京子さん」か。」
「あの、私が慣れないです、ので、今まで通りで、いいです。」
「そう?でも、ちょっと無用心だと思うし、気をつけるね。」
蓮の言葉に、キョーコはぎこちなく笑み返した。


・・・俺には名前で呼ばれたくないのかな。
蓮はせめて、共演者として親しみのある間柄に近寄りたいと思っての「京子さん」だったのだが。
社のようにキョーコちゃんというのは、さすがに照れてしまうし、そこまでの関係には無いような気がする。
・・・だから、俺も敦賀さんじゃなくて、、って言おうかと思ってたけど。
「ま、撮影期間、よろしくね。」
社が場を取り繕うように言って、会議室に入る。


「よう!」
スタッフをなにやら話し込んでいた新開が、蓮とキョーコを見つけて、軽く手を挙げた。
「よろしく頼むね。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
蓮が頭を下げ、キョーコと千織もそれに従うように頭を下げた。
「京子、あの時の根性を、期待してるから。」
にっと新開が笑っていう。
キョーコもさすがにそれにはつられた。
「もう、骨折はいやです。」
「あはは、でもちょっとアクション多いから、怪我は気をつけてくれなぁ。」
「はいっ。」
キョーコはびしっと姿勢を改める。
・・紅緒さんは行動派。ドレスで飛び蹴りも辞さないのだから。
・・そういえば、敦賀さんに何度か張り手しなきゃいけないのよね?
「あ、蓮も頼むね。他の撮影とかもあるんだろう?」
「少しなんで、ちょっとの痣ぐらいは大丈夫です。」
キョーコはじぃっと蓮をみる。
「何しろ、顔に張り手だろう?撮影の前後もあるけど、大丈夫なんだな?」
「はい、き、京子さん、に張り手されるぐらい、たいしたことには。」
にこりと微笑みかけた蓮を、キョーコは固まった表情のまま見て、すぐ俯いた。
「うん、漫画原作なんだけど、撮るのは俺だから、リアリティにはこだわりたいんだ。」
新開が腕組みして、笑みをもらした。



*****
始めちゃってから、えらく恐れ多い挑戦をしているという自覚がましてきました。
すみません。
双方の漫画のファンの方にお詫び申し上げます。
あ、ただ、新開監督がいうように、こだわりの監督らしく、漫画そのままの展開をしない予定でいます。
キャラクターやシチュエーションを踏襲した映画と思っていただければ、幸いです。
2時間の内容にするにはどこかをフーチャーですしね。

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連続投下、本当にごめんなさい。

moka様、応援しています。そんな言葉ぐらいしか思いつきませんが、moka様が思った通りの展開をしていただければ、私を含めてその作品のファンは拝読できて幸せなのではないかと思います。それに、日本の伝統文芸の和歌をみても、優れた元の作品に刺激を受けてそれを下敷きにした新しい歌がたくさん詠まれるという現象は、創作活動の中でよく見られる現象です。ですので、moka様がなさっているのは両方の作品を賞賛するものであって、ないがしろにするものでは決してないと思います。好き勝手なコメントを書いてしまいました。どうもすみません。

Re: 連続投下、本当にごめんなさい。

> Genki様

ありがとうございます。
両方の作品を賞賛するもの!素敵なコメントをありがとうございます。
そうだった好きだからこその二次!ってことを、うっかりしてました。好きな作品の好きなところを存分に楽しめる!!
畏まらずに、思うようにたのしみますね!
メッセージなどで、皆さんから応援いただいてしまって、うわぁやっぱりファンは多いなぁとしみじみした次第です。(苦情がないのでホッとしてます。)
コメントに心から感謝申し上げます。
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場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
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