シンクロ 15・最終回・

ここで前話へのリンクを。。891011121314





*久遠と久遠*


「おはよう。」
その挨拶は久遠のもの。
明るい声に、蓮はほっとするやら切ないやら。
「演じる」コトに真摯なのは、いいんだけど。
「おはよう。」
それでも、こんなに清々しい朝はいままで無かった気がした。


昨夜はキス止まり。
真っ赤になって、キョーコが固まってしまったから。
・・・判ってないわけじゃないんだよな。
「あの、、、準備といいますか、覚悟といいますか。」
その小さな呟き。

蓮にも自覚はある。
口にしてしまったから、溢れ出てしまった想い。願い。
それは溢れ出した勢いそのままで、唇を貪って、あまつさえ、、
見てしまった白い躯が、ちらちらとかすめているから。

勢いで進めるぐらいなら、今まで何で制限していたのかと。

欲望を満たす為の相手じゃない。
身体も心も何もかもを手にしたいけれど。
大切で大切で、、
自分の事以上に心配する相手。
「覚悟」
それは正しい表現だと思った。
「そうだね。」
キョーコの頬に軽く口ずけて、おやすみ、と告げた。


「蓮、トーマスが来るまでの食事は冷凍庫にパッキングしてあるから。」
ちゃきちゃきと久遠がすすめていく準備。
もう、今晩には見れない姿。


久遠にもどる、久遠であると認める。
それが及ぼす影響は、自分の気持ちだけにはとどまってはくれない。
逃げてきた両親の名前と地位・影響、
敦賀蓮が築いてきた関係・・・
どんな反応が返されるのかが、怖くない、とは言えない。

それでも、キョーコがいる世界。

「久遠は明日アメリカにたちますけど、私はクランクアップまではいます。」
キョーコが苦笑していた。
「こちらにはお邪魔できないので。明日朝で引き払いますね。」

彼女は「久遠」を捨てるのではないという。
ただ、「久遠」を演じていた間のことは「久遠」の想い出にしておくのだと。
それが、最上キョーコからは去らなくても、周りの誰もが「久遠」をキョーコに見いださなくていい。

俺は「敦賀蓮」を捨てるのではない。
ただ、「敦賀蓮」を演じていた間のことは、いや、この先も演じ続けるんだ。
それが、久遠・ヒズリの一部ということにかわりはないから。


重なった鼓動。

蓮は軽く眼を閉じる。

キョーコがアメリカに行くのだという。
あの家に行くのだと。
逃げ出した家で、まだ、思いうかべるのに痛みが伴うけれど。
あの家で、微笑んでくれる姿を見たい。

だから、あの家へ、彼女を迎えに行こう。

堂々と。


「行こうか。」
蓮は久遠に声をかける。

・・一緒に、前へ。


蓮はくしゃっと久遠の頭を撫でて、笑う。
久遠は蓮を見上げて、笑う。


ドアを開けよう。




END











*******
完結です!!おつきあいありがとうございました。
だから、キョーコちゃんは泣きっぱなしの映画だったんです。

久遠とモー子さんや社さんとのお別れも書こうかどうしようか、と思ったんですが、蛇足になっちゃう気もして、とりさげました。
なんかこう理由はないけど、気持ちが重なって納得、みたいな雰囲気が伝われば、と。
ううう、こういう言い訳をかいちゃいかんよね。










関連記事
web拍手 by FC2

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

message
場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
最新記事
counter
カテゴリ
flyaway news twitter
ブログとHPの更新状況とちょっと呟き フォローはご自由にどうぞ!(フォロー返しはあまりないかも)
Link
上部のサイト様は相互リンクいただいてます。 マナー携帯でご訪問くださいませ。 下部のサイト様は大好きサイト様で、リンクフリーに甘えさせていただいてます!!
検索フォーム