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シンクロ 13

ここで前話へのリンクを。。891011


*蓮と久遠とキョーコ*

「おかえり」
それは明るい久遠の声。
蓮はほっとして、つい笑みを浮かべた。
でも、この声は今晩しか出迎えてくれない。
「ただいま」
丁寧に、その瞬間瞬間を閉じ込めたくて、蓮はダイニングに少しゆっくりとすすむ。

「社長と、話してきたよ。」
久遠がテーブルに皿を置いたのを確認して、蓮は言葉を繰り出した。
「うん、急に申し訳ないんだけど。」
「うん、だから、最上さんと話がしたいんだ。」
「、、夕食食べてから、でいいかな。」
「そうだ、ね。」
蓮は洗面台に向かう。
ザーッと流れる水。
鏡に映る、、、敦賀蓮、の顔。
役のために削げた頬は、表情を険しくすれば一層凄みが増す。
・・荒れてた頃、に近いか。


「ありがとう。」
くしゃっと撫でた久遠の髪は短い。
・・役に徹底するからと、切ってしまった髪。彼女らしい潔さだけれど、、
  元の髪の長さに戻るまで、たぶんきっと彼女は日本に戻ってこない。
「こちらこそ、ありがとう、蓮。」
久遠が微笑む。
・・「蓮」久遠なら躊躇なくそう呼んでくれたけど。
「じゃ、彼女を呼んでくる。」



リビングに漂うのはコーヒーの香り。
キュッと唇を引き結んで、緊張した面持ちでキョーコはソファーにかける蓮を見た。
「おつかれさま。」
蓮は少しぎこちなく、キョーコを見る。
髪型は久遠とさほど変わらないけれど、琥珀の瞳はもとのダークブラウン。
「お疲れさまです。」
ぺこりと深く下げられる頭。
「・・明後日、アメリカだって?」
「はい。先生の所でお仕事をいただいたので。」
キョーコが少し頬を染める。
「仕事?」
蓮の問いにキョーコが頷く。
「子役なんですけど。しかも、男の子なんですけど。」
蓮は、社長やクーが今回のことを、以前から仕組んでいたのだと、悟った。
ここで久遠を演じさせたのは、そのレッスン。
・・・思いつきなんかじゃ、無かったんだ。
「そうなんだ。凄いね。」
彼らの手が大きい事を、蓮は改めて思い知らされる。
・・でも、最上さんなら、きっと評価を得てチャンスを広げてくるだろう。

「すみません。最後までアシスタント出来無くて。こんな中途半端。」
「そんなことないよ。かなり病人らしくなったからね。映画が終わったら、また戻すのに手伝ってもらいたいけど。」
「あ、それはもう。トーマスさんがばっちりプログラムしてくれてます。」
「そうなんだ。」
「だから、ちゃんと食べて下さいね。」
蓮は黙る。
久遠と入れ違いにトーマスが来日すると、社長からは聞いた。
・・・トーマスは、気づいていたんだろう、俺が「久遠」だということに。

「Kyoko,・・」
その呼びかけに、キョーコは目を見張る。
『俺が英語で話すのを君はどうして疑問に思わなかったの?』
・・・カインを演じる時に英語で話そうと決めた時に、君は簡単に納得したね?
・・・君の英語にも驚いたけど、、それだけ話せるってことは、ネイティブの発音をずっと聞いてたってこと、だよね?
『プロフィールに特技、英会話ってありましたし、敦賀さんは徹底するからって思ってました。』
蓮は小さく嘆息する。Mr.Tsurugaはかなりよそ行きな言葉に感じてしまう。
『違うんだ。俺はアメリカ国籍だし、15まで、ロスにいたんだよ。』
『アメリカ国籍。』
キョーコはキョーコで納得したように蓮を見た。
・・・外人リアクション。てんてこ舞い・・・
『本名は久遠・ヒズリなんだ。』
キョーコが両手で口を塞ぐ。
「ご、ごめんなさいっ!すいませんでした!!!」
沈黙のあと、キョーコが土下座になる。
蓮はあわてて、その土下座をとめた。
『どうして?謝るのは俺の方だよ?』
キョーコの眼は潤んで、顔は真っ赤だ。

『違うな、謝るんじゃない。君に感謝してる。』

『感謝?』
『俺は、久遠を認められなかったから。でも、君の久遠なら好きになれた。』

蓮は苦笑する。
『それにね、君のカラーコンタクトにはビックリした。』
カタン
取り出したコンタクトケース。
蓮は手慣れたように、それを外す。

キョーコはまた、両手を開いてしまった口に覆う。

綺麗な、綺麗な
それはキョーコの大切な妖精の瞳の色

・・・コーン
・・・そうだな日本語で発音すれは、久遠
クーの声がキョーコの頭に響く。
トーマスがキョーコを呼ぶ「コーン」という発音。

『蓮を演じるようになって、もう5年過ぎてるんだ。』

キョーコはあてた手を頬に持っていって、つねる。

「キョーコちゃんっ!」
慌てた蓮が其の手を止める。

「おかしいです、こんなのおかしい。夢見てるんです。きっと!」

止められた手から、今度はキョーコが首を振る。

「ホントのことなんだ、信じて。」

蓮はぎゅうっとキョーコを抱きしめる。

「お願い、君には信じてほしいんだ。」

バクバクという激しい鼓動がキョーコの躯に伝わる。
自分とは違うリズム。

それが、ゆっくりと落ち着いていく呼吸とともに

少しづつ

シンクロした。





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