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「僕も袴ぐらいでは行くよ?敦賀くんは着ないの?」
けろっと大友監督が言った。
「だって、京子は着物だよ?多分、華粧が振袖とか気合い入れるはずだし、僕は京子だけをを見世物にする気は無いし。」
この監督は本当に喰えない。日本人ということを嫌という程突きつけられてきて、それで認められた自負がちゃんとある。
「僕は僕の作品でないところで、君がどんな姿をしてようとそれは構わないけど?なんなら、こっちのスケジュールは調整してもいいけどね。」
ニッと嗤う。
そもそも、琴南さん達にこの姿は見せられないから、日程では参加できないかもとキョーコには話していた。Miss.Woods の予定もある。
「ごめんなさい、、考え無しでした。」
すっかりしおれて頭を下げたキョーコに、ホームパーティーだったらカラーコンタクトで行けると思っていたけど、と釈明したのだった。
話がドンドン大きくなってしまって、と、キョーコも佐野さんも真っ青になった時には、大友監督やスタッフの知るところとなっていたし、社さんにも日本から頻繁に連絡がくるようになっていた。

「蓮、そっちにテンが行くから、バッチリ決めてこい。」
と社長から連絡があったのがパーティー5日前。
「で、茶室もあるそうだから、そっち、手伝ってやれ。」
「は?」
ホームパーティーが日本文化に触れようパーティーに変貌していたことを、その電話で知った。

「もう、私もついていくのがやっとなんです、、。」
撮影現場での休憩時に、キョーコがパーティーの詳細を説明してくれた。
彼女達は撮影もあるので、華粧やスポンサーが準備を進めてくれているのだが、資金提供と参加を申し出る人々とそのリクエストの調整がてんやわんやになっているらしい。主催は別荘を提供するスポンサーなので、彼の満足の方向性に沿う形ではあったが。
「まあ、ここまで大事になったから、参加できるわけだし、手伝えることは遠慮なく言ってね。」
「ほんとにすみません。」

当日。
キョーコは会場のあちこちで人に捕まり、微笑んで会話し、輪を作っていた。
話しかけようとすれば、あちらへ、こちらへ。
もはやイベントになっていたパーティーのプログラムには、お茶室のパフォーマンスのあと、着物のショーやら映画の前宣伝まで。
大友監督がこれまたスポンサーになりそうな財界人ぽい人々と談笑しているのをみて、処世術というものを目の当たりにしたり、キョーコに負けじと笑顔を振りまいている琴南さんがいたり。
もはや、キョーコの隣にたどり着くためには、自分がうってでなければどうにもならないことを思いしらされる。
「佐野さん、活き活きしちゃってるなぁ。」
ふととなりで社が呟いたのに、反応してしまった。
佐野さんはやはり着物だったが、キョーコも琴南さんもバラバラに行動しているのに、どちらかにすかさずついては挨拶してまわっている。元モデルというだけあって、こういう場で怯む気配もない。キョーコ達の行動は彼女の教育もあるのかもしれなかった。
「俺も負けられないし!」
社さんが握り拳を作って見せる。思わずつられて拳をあわせた。

大友監督に呼ばれて、映画の宣伝だから頼むね、と一言。
「京子が着替えて待ってるはずだから、迎えに行ってやって?」
スタッフに案内されて、入った部屋。
ドキッとする。
深いグリーンのシンプルな振袖に、黒髪のウィッグだが、高く結い上げているせいか、凛とした雰囲気。
「、最上さん、、行こうか」
「お願いします。」
そう言って下げた頭にしなやかに黒髪が流れ、白く細い首筋が露わになる。その髪を掴んで抱きしめたい衝動を、くっと堪えて手を差し出す。
少し照れたように微笑む顔に、胸がギュっと締め付けられること、君には自覚がないんだよね。
ふわりと乗せられた手に、今は満足すべきなんだろう。

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