スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

黒い瞳 28

〜墓地〜



その日はよい天気だった。
昼過ぎの穏やかな時間。

「久しぶりだな。」
花屋の男が、ぼそっと言った。
久遠が黒いフォーマルだったから、状況を察したらしい。
「真紅の花で。」
「・・これでいいか?」
久遠は頷いた。
「二本、そのままでいいよ。」
キョーコは車から、その様子をみていた。
キョーコも黒のフォーマル。葬儀に参列するかのように、帽子にベールがついている。


「ほんとに、広いんですね。」
キョーコが戸惑ったように言う。
「ああ、広い公園って感じなのかな。」
車を停めて歩き出した墓地。
並木道の両脇に広がる草地には白い十字架。
「ここ。」
久遠の脚が止まって。
踏み入れる。

「?先にどなたかいらしてたんですね。」
墓碑に捧げられた、真紅の薔薇。
久遠の頭に浮かんだのは、ただ、一人。
・・・ティナ。
花はまだしおれてもいない。
慌てて辺りを見回すが、人影はなかった。
「メッセージ?」
キョーコがその薔薇に小さなメッセージカードがついているのに、気づいた。

・・To Kuon

キョーコはその薔薇とカードを手にとって、久遠に差し出した。
受け取る久遠の手が震えている。

   'RELUCK'

『今までティナ以外に教えたことないんだからな』

流れ込んでくる想い。

ーいつの日も、永遠に幸福であるためにー


お互いに顔を会わせることは辛すぎるから。
それでも。
メッセージをくれたティナ。
彼女のもとに、幸せがあるように。

前に進もう。進まなきゃ。
進んで、いつか、穏やかに顔をあわせられるといい。

久遠は黙ったままキョーコを抱きしめて、頭を垂れた。



「明日いくのか?」
セズが確認してきたのは、きっとそういうことだったんだ。

関連記事
web拍手 by FC2

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

良かったです

連続更新ありがとうございます。
クオンとティナともに、心の重荷が一つ降ろせたようで良かったです。
二人の未来が、一段一段確かなものになって行くようで、嬉しい気持ちでいっぱいです。

Re: 良かったです

まさに一段一段です。
脇目も振らずに走ってきた二人が、ちゃんと周りが見えるようになったらなぁと思います。

久遠が

許されないと思いながらも夢とキョーコを諦めきれず・・・・という不安定な道じゃなくなりそうですね。

許してもらおうとは思ってないけど、その罪を背負った上で、下を向かずに前を向いて歩く。

諦められないからではなく、ちゃんと自分の意思をもって目指す未来。

目指せそうですね。


ティナに押してもらった背中を丸めて踞るなんてことできないですものね!

Re: 久遠が

久遠がしっかりしないと、キョーコちゃんの本当の不安定を支えきれませんからね。
頑張っていただきたいと思います!
message
場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
最新記事
counter
カテゴリ
flyaway news twitter
ブログとHPの更新状況とちょっと呟き フォローはご自由にどうぞ!(フォロー返しはあまりないかも)
Link
上部のサイト様は相互リンクいただいてます。 マナー携帯でご訪問くださいませ。 下部のサイト様は大好きサイト様で、リンクフリーに甘えさせていただいてます!!
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。