その名前を呼ばないで・2

浦島太郎なのか、
恋の眩暈なのか。

リク罠116、、長い連載になりそう?
お罠見は魔人様のリク罠リストへGo!


******





「お疲れさん。帰国直後に悪かったね。」
今回の映画のディレクションをした役員が、蓮に握手を求めた。
テレビ局の応接室。
「今回のスピンオフ以外も展開は用意されているから、是非また頼むよ。」
・・あ、釘刺しか。
ちらりと横に座る社を蓮は見た。
「ありがとうございます。」
社の眼鏡の奥は、きっと笑っていない。
今回の映画の出演は3ヶ月以上蓮を独占したようなものだから、交渉は熾烈だった。
蓮が主演な以上、蓮を外しては映画が成立しないが、予算を少しでも削りたいのも局側の思惑。
蓮サイドとしても、日本でなら併行できる仕事が、アメリカでは無理だったのだから、そこは譲れない。蓮が自信を深めたとかそういう問題と別次元の話。
また同じような事を企画していると聞いて、ホイホイと尻尾を振るワケにはいかない。
こういう交渉時の社がいかに有能かは、アメリカでも目の当たりにした。だから、蓮は温厚紳士の顔で座っていればいいだけだ。


「まったく、少しは俺の援護もしてくれよ。」
水面下の闘いを終えてエレベーターに乗り込んだ社が、ため息をついてみせる。
ハリウッド挑戦は社にとっても挑戦で、そのために蓮のスケジュールを短期ものに絞るよう調整しているのだ。だから、いくらヒット作といえ、長く拘束されそうなものは吟味しなくてはならない。
「交渉は社さんにお任せですよ。」
「ていうか、お前キョーコちゃんの事で、頭いっぱいなんだろ。」
社がため息。いつもなら、ニヤニヤつつきそうなものだが。
「さっき、廊下で会いましたよ。」
「そうか。キョーコちゃん撮影だったか。ふうん。」
「次の予定まで時間余裕ありますよね?」
蓮は時計をみる。
「、、、5分、かな。」
渋々という社の返答。


「きょーこ、きょーこ、コレ何て読むの?」
女の子の部屋、という感じのセット。
勉強机に座るキョーコに後ろから抱きつくようにして、その机の上のテキストを指差す少年。
「ぎおん。」
「ぎょん?」
「ぎ、お、ん。京都の地名。古典には多いんだから覚えないと。」
キョーコが普通に話を続けている。
「もうやだ、古文はすてるからいい。」
そう言った少年が、キョーコのテキストを勝手に閉じる。
「きょーこ、English にしよ。You're bad at English grammar. 」
キョーコに耳打ちするかのよう。


立ち竦む蓮の後ろで社も固まる。
撮影の準備に動いているスタッフ達は、いちゃいちゃしているキョーコ達に構う風もなく、むしろ微笑ましそうにみながら作業に勤しんでいる。
「彼」の英語の発音は、蓮の耳にすんなり入ってくる。日本人にしては珍しい、、

「ほんとにいい加減にして!私、明日テストなの。」
「me,too.」
テキストを取り上げた少年にキョーコがムキになって追いすがる。

「久遠!」
叫んだ声、視線が蓮にぶつかった。
「あ!」
途端に真っ赤になるキョーコ。

久遠
明らかに聞こえた、その名前。


「蓮、時間。」
社の声が、蓮を現実に引き戻した。
くるりと踵を返した蓮の顔に、表情はなく。
社は、やっぱり、とひとりごちた。


*****
あれ?進まない。

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蓮さん

大ショック再び!!!

悶々な日々の幕開けは、なかなかキョーレツ!
でも、そこがまた楽しいです!(←悪そうな顔で言ってる)

Re: 蓮さん

不憫な蓮様が大好物だと、改めて気づいた私です。
お気の毒、かも。
、、、ぐふふ。、後ろから闇の国の人がっっ。
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場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
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