黒い瞳 27

〜筋道〜






「よう。」
キャップにサングラス。その声。
休憩中にあらわれた、不破。
キョーコはメイクで控室に籠っている。
久遠とセズの前に彼は立った。
「あんた、雰囲気変わったな。」
「そうかな。」
セズがニヤニヤしながら、二人をみている。
「こないだとは随分違うよ。・・・キョーコに挨拶にきた。」
「キョーコはまだ当分かかるよ。」
不破がサングラスを外し、座っている久遠を眺めおろす。
「へ、、もう、「最上さん」じゃ、ないんだな。」
顔をしかめて、口の端が上がる。
「しゃーねぇ、俺も時間に余裕はないんだ。」
久遠は不破を見上げる。
不破は視線を控室の方へ泳がせて、軽く息をついた。

「キョーコに、、幸せになれ、って。」

しかめた表情のその眼に、浮かんだのは涙か。
「ああ、わかった。必ず。」
ちっ
不破の表情は歪んで。
「おばさんもマスコミも丸くおさめてやる。それでチャラだって。」
久遠は立ち上がった。
「わかったよ。・・・ありがとう。」
ちっ
不破はサングラスをかけた。
「邪魔して悪かった。」
ひらと手を流して、不破が大股で歩き去っていく。

・・邪魔して悪かった、、か。
休憩中に悪かった、という意味以外の、、、メッセージ。


「少しぐらい会わせてやればいいのに。」
セズがニヤニヤしている。
「アレが、京子の幼なじみなんだろ?」
久遠は苦笑してセズを見る。
「彼には、、優しくはなれない、かな。」
・・・そういえば、「おばさん」って、キョーコの母親か。
・・まだ、やらなきゃいけないことがある。
・・・まだ、話してないことが、
・・・まだ、聞いていないことが、
久遠はふっと息をつく。
少し違う。


「聞いてもらいたいことがあるんだ。」
「なんでしょう?」
久遠は困った顔になる。
「ちょっとちがうかな、、一緒にいってもらいたい所があって、その前に聞いてもらった方がいいのか、どうか、」
「久遠?」
「亡くなった友人の墓に花を捧げに行きたいんだ、君と一緒に。」
「はい。」
キョーコが心配そうな表情で見ている。ダイニングで向かい合わせ。
「この前セズと一緒だったって話したよね。」
キョーコはうなづく。
「その前にその、友人の、、亡くなった場所を歩いてたんだ、そこで、、絡まれて、、セズに助けられた。」
セズに言われるまで、自分だけが連中の目の敵にされていると思っていたこと。それを心配した友人がかえって巻き込まれて、目の前で亡くなったこと。

「俺が殺した、、んだ。」

久遠の大きな手がグッと握られて、テーブルの上のコーヒーカップがかたかたと音を立てた。
キョーコは胸の前で両手を握って、それを見ていた。
・・・・誰かが、、大切な誰かが、亡くなっている、、と思っていた。

「だから、俺は、、赦されない。って。」

すとん
キョーコの背中が急に軽くなった。
「なのに、、君が、いつだって、、救い出してくれる。」
久遠の右手が口許に上がり、キョーコは残された左手に両手を伸ばした。

「、、最初、コーンで、次は敦賀さんで、、私救われてきたんですよ?、、私、、いちゃいけない子、、だって思いたくなくって、、だから。」
久遠がキョーコを見つめて、右手をキョーコの手に被せた。

「おあいこ、、です。」

うるんだ大きな黒い瞳から、溢れる涙。
「ん。」
、、、おあいこ、、なんて、君は、、どうしていつも、とんでもない答えを出してくるんだろう。
でも、だから、、

ーmy better halfー自分よりよき半身

ジュリがふふと笑ってクーを見つめながら言っていた言葉。
ー久遠にもそんな人と巡り会う時が来るわ。
今は意味がわからなくてもね。ー






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my better half

いい言葉ですね。

相手への愛情と尊敬が感じられます。

Re: my better half

はい、しかもなんでbetterでbestじゃないのかと思ったら、その比較が「自分」なんだと解説があって、目からウロコだったんですよ。いい言葉です、本当に。
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場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
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