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黒い瞳 8

〜歳月〜



セズがあれこれと動き回り、京子も振り回す。
ライリーはそれを見ては、メモを書き込んでいく。
カメラを廻すのは1ヶ月後だと、ライリーは告げた。
彼の撮影が特殊なのは、オーディションに参加するときから聞かされているし、契約書にもきっちりと明記されていた。ほぼ舞台のような稽古。ライリーがもともとつくっていたストーリーに肉付けをしていく時間。


休憩時間の控室。蓮はキョーコと並んで、コーヒーを手にしていた。
朝には中途半端に途切れてしまった、今日の夜の予定の話。
「佐野さんにも了解いただいたので、明日ホテルはチェックアウトしますね。」
マネージャーの名前が出て、改めて驚く。
今朝は着替えに蓮は一度自宅に戻って、このスタジオにきている。キョーコはその間に話をしたらしい。
「一緒に暮らす。」
その意味をどう解釈したんだろう。

「ショーちゃん!早かったのね?」
キョーコがぱっと顔をあげた。
「俺をなんだとおもってんだ?」
控室に入ってきた男。
・・ショーちゃん?
「お久しぶりです。」
軽く頭を下げる不破。どうして。
「ああ、久しぶりだね。」
蓮は表情なくみつめる。以前のようなじゃらじゃらとアクセサリーをつけてもいない、シンプルな服装。そして、不破がこの「久遠」の姿を敦賀蓮だと認識したのも、少し不思議な気がした。
「お前また、すげー衣装だな。」
柔らかい微笑みとともにキョーコに投げかける言葉。
「まだ、初日でいろいろ試しているのよ。」
「へええ〜、お、それより、パスがきたからよ。」
不破がキョーコに差し出したのはプラスチックのケースに入ったカード。STAFFと大きく書かれたソレには、首からかけるようにひもがついていた。
「ああ、ありがとう。あと1週間?」
「そこ大丈夫なんだよな?」
「佐野さんが大丈夫っていったんなら、大丈夫よ。」
「おう、じゃ、期待してる。」
ヒラヒラと手を振り、不破が去っていく。
ニコニコと手を振り返す、キョーコ。


「どういうこと?」
蓮の言葉に、キョーコの表情がこわばった。
「ごめんなさい!敦賀さん、ショーちゃんのこと嫌いなのに、、。」
「いや、そういうことでなくて。」
「あの、ショーちゃんこっちでライブがあるんです。来週はわりと大きめのイベントにもでるとかで。」
「え?」
不破がアメリカでイベントにでる?
「色々あって、ショーちゃんのライブ見に行くことになってて。」
「そう、なんだ。不破、くんも活躍してるんだね。」
「あ、そうですよね、敦賀さん、知らないですよね。」
キョーコが少し眉をひそめた。
「ショーちゃん、一時大変だったんです。」
蓮はキョーコが、「ショーちゃん」という度、「敦賀さん」と呼ばれるたび、グッと苦しくなる胸を持て余した。

「なんで、あいつのこと、昔みたいに、よぶの?」
・・・ショーちゃんは王子様

「・・・土下座、されたんです。ぼろぼろになって。」
「ぼろぼろ?」
「あの、、それは、もう。」
キョーコが困った顔になる。話をしたいような内容でないのは伺えた。
「そうだね、ごめん。・・で、君は許したんだね?」
「はい。」
キョーコが項垂れる。
「許せる、、って、良かったよ。」
ぱっと顔が上がった。
不破への復讐なんて、こだわらない方がいい。それは本当の気持ちだから。
けれど、4年の歳月が、重くのしかかってくるのを否めなかった。

「ショーちゃん」
「キョーコ」
そうやって始まる、気負いのない会話。
普通に挨拶をして去っていった不破。
ライブのスタッフパスをわざわざ届けにきた、アイツ。
そして、そのライブに行くというキョーコ。

また、一つ不安が増える。

4年。
日本を見ないようにがむしゃらだった間。
莉夜は社さんと結婚して、子供がいて。
不破は何かあって、キョーコと和解して。
それでも、キョーコがココへ来て。

灯った希望の火が揺れる。



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更新ありがとうございます。
頑張って蓮様。その後ろ向きな考えは捨てちゃって下さいませ。
終着駅のキョウコちゃんとのいちゃラブライフ、楽しみに待っています。

4年の歳月

これは友人同士でもあることですよねー。同地域で家も行き来して、学校も部活も一緒の友人と進学や就職で別れれば、友情は続くかもだけど、親戚や習い事の世界位しかなかった互いに重ならない世界が、もっと増えていますものね。新しい学校、会社、友人・・・そこから広がった世界は普段あまりう見えないし、踏む込む機会もない。結婚式で顔を合わせることがあるぐらいで。長く離れていて、やっと恋人同士になれた久遠さんは、自分が知らない繋がり世界をもったキョーコを少し遠く感じてしまうのでしょうね。

キョーコも久遠の世界があることはもうわかっているでしょうけど。

これから二人の世界がどういうカタチで重なっていくのか。

楽しみです。

Re: タイトルなし

足枷はなくなったはずなので、前向いて欲しいですね〜
頑張っていただきたいですっ

Re: 4年の歳月

ありがとうございます。
離れた間に気持ちだけ育ててた二人なので、知らない現実世界の衝撃が大きいだろうなと。久遠さんのほうが戻ったっていうせいもあって狭い世界なので、キョーコちゃんを巡る世界の激動ぶりは想像を超えてると思います。どうやって二人がよりあわせていくか、丁寧に頑張りたいと思います。
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