黒い瞳 幕開け

これから本編です。












ロシア民謡「黒い瞳」
ロマ人の少女に恋をして、全てを失う男の話。

ライリー・オドネル監督がメインに配役したのは3人。
男・セズ・ストーン
少女・京子
男の友人・敦賀蓮

「名前が必要なんだけれど、まだ、しっくりする名前が浮かんでないんだ。セズは僕のやり方を知ってるから大丈夫だろうけど、、京子と、蓮、、蓮って呼んでいいのかな?」
ライリーは机の上に広げた紙の上にペンを置いて、それを見つめている。
「はい、お願いします。」
蓮は静かに答える。
「打ち合わせや稽古みたいなことが多いけど、時間は有限だとわかってるから、、契約書にはその辺りちゃんと書いてあったよね?」
「確認させていただいてます。」
キョーコの声に、ライリーの顔が机からあがった。
「すごくいいタイミングだね、京子。」
蓮は二人に視線をむけ、セズが驚いたように京子を見たのに気づいた。
セズ・ストーンはラテン系の俳優。ライリーの映画以外ではいわゆるいい男的な役が多い。均整のとれた体格に顔。ただ、演技の高評価の一方、奇行でゴシップを賑わわせている人物でもあった。
「それで、基本は先に渡しているあの詩なんだ、ロシア民謡の歌詞とは少し違う。筋は一緒なんだけれどね。その、雰囲気は察してもらえるといいな。」
「私には慰め」
セズがつぶやく。
「しかも、生贄かい。」
「ラブストーリーだけれどね、ありきたりじゃないだろう?」
ライリーがゆっくりと言った。

「そう、それでね、京子は「日本舞踊」ができるときいてはいるんだけど。今見せてもらえるかい?」
「はい、着替える時間をいただければ。」
蓮は驚いたようにキョーコを見る。知らない彼女の一面。
再会したのは今朝の話。この打ち合わせまでの時間、存分に話せた訳ではなかった。
「キョーコには悪いけれど、着替えを待つ間、我々は休憩にしよう。」
ライリーがそう言って、スタッフらも各々動き出した。

「よく用意ができたね。」
蓮はキョーコに声をかけた。
「社さんの予測があったので。やっぱり社さんは凄いです。」
キョーコがにこりとする。
「え、社さん、こっちに来てるの?」
「そうなんです、今日はこちらではないのですけど、色々見て下さってて。」
キョーコが手持ちの小さなバッグから名刺を取り出した。
「うっかりしてました。敦賀さんに言付かってたのに。」
蓮に差し出された名刺には手書きの電話番号が、あった。
「京子さん、お話はあとで、急ぎましょ・」
佐野がキョーコに声をかけ、キョーコは頭を下げた。
「すみません。」
蓮は苦笑する。
4年前と変わらない、会話。

慌ただしく去っていくキョーコの後ろ姿を見送って、蓮は名刺をみつめた。
スマートフォンを取り出して、番号をたどる。
息を深くすった。
『・・Hello?』
「社さん、、ですか?」
『あ、、蓮?なのか?知らない番号だから、慌てたよ。』
「お久しぶりです、、今、最上さんから、番号きいて。」
『、、そうか。』


スーっと流れる動き。
止まり、揺れて、流れて、止まる。
しなやかに伸びる手。
流れる黒髪。
下に向いて、ふうわりと上がる視線。
甘やかで、凛とした空気。
音はない、静寂の中。

「髪を結っていないので、イメージが違いますか?」
ライリーがずーっと何も言わず見ているだけなので、京子は声を発した。
「ライリー?なんだ、トリップか。」
セズがライリーを覗き込んでつぶやいた。
「京子、大丈夫だ。踊りに刺激されまくってんだろ。着替えて大丈夫だよ。」
「え・」
「1時間後ぐらいには固まったイメージを話しだすから、心配ない。」
セズがにやにやしている。
ライリーの手が、ペンを握って何かを書き出すと、それを覗き込んで少年のような顔になった。
「ね、京子、ラクにして待ってた方が得策だよ?」
セズの言葉に、ライリーのアシスタントもうなずいていた。
「それでは、着替えてきます。」

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上がった幕。

見えだした舞台に釘付けです。むふふ。たのしそう!

Re: 上がった幕。

ありがとうございます。
全力で、モヤモヤ劇、がんばりますので〜
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場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
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