黒い瞳 sideR-3

〜花束〜


ブルーのラッピングの花束。
貰った花束のうち、それだけを持って帰ってきた。
白いバラの花束。

「まるで京子ちゃんそのものね。」

受け取ったあと、莉夜が言った。
「え?」
「白いバラの花言葉。尊敬、純潔、無邪気。」
「そう。」
「私、京子ちゃん好きよ。学校にあの子がいたら、ほんと危なかったかも。」
パーティの会場で莉夜は冗談めかしていった。女性ばかりの学校で男役をしていた彼女は、同性への好意が友情とズレている。
「危なかったって。」
苦笑すれば莉夜は笑う。
「本気で恋して、男役のまま抱きしめる。倒錯でしょ?」
恋、その言葉に動揺しても上辺は別のことのよう装う。
「京子ちゃんに白いバラもらうなんて、ちょっと羨ましい。」
「わからない感覚だな。」
「わからなくていいけど。」
くすっと笑われて話はそれまでになった。

莉夜は、共演がきっかけだった。
演劇学校時代のファンを多数抱える彼女は、ファンのイメージを裏切らない生活が、一番苦にならないと撮影中に笑った。生々しい性を嫌悪する一方で、それを夢想するファンに、中途半端なスキャンダルが拙いのだという。独りでご飯を食べるのが苦手だという彼女はマネージャーに、ご飯を食べる相手までスケジューリングさせる。
「敦賀さんは、ファンにとって理想的なんですって。」
にこにこと人懐こく笑う顔に、最上さんが被った。
「女」としてあからさまに近寄られることを、自分がどれだけ警戒、嫌悪していたのかも思い知る。
「男役やってた時に知ってたら、もっと上手く演れてたかなぁ。」
歩き方、話し方、彼女は俺を真似る。
「君は女性だよ?」
「あら。やっぱり、嬉しいと思うものなのね。」
ケロリと言う彼女を抱いた。
莉夜はファンが喜ぶわと会見に同意し、事務所もその意見だった。莉夜も俺もスキャンダルが無い事がスキャンダルになりつつあったから。
「アメリカに行くならそこで終わりね。」
恋の終わり方として、美しいでしょ、空港で見送って泣くからと。
いいじゃない、お互い本気じゃないのに、全てプラスにしか働かない関係で。

テーブルにおいた白いバラの花束。
あの子そのもの、
尊敬、純潔、無邪気

ラッピングを外して、花瓶がわりにガラスのボウルを使った。
リビングに、あの子の気配を漂わせてくれそうで。
ほのかな花の薫りに酔う。


ドサっとソファーに体を投げ出して、テーブル上のスマートフォンが明るくなってるのに気づいた。
メッセージか着信か?
、、、最上さん?
慌てて操作すれば、留守番メッセージに彼女の声。
「、、、ご活躍をお祈りして、ます。」
どうして。
何を思って、電話をくれた?

折り返しをかける手が震えてしまう。

今、話をしたら、言わなくてもいいことまで、言ってしまう。
でも、
「、、、ただいま電話に出ることができません。、、」
アナウンスが終わるのをまつ。

「電話ありがとう。アメリカで待ってる。」




***
花言葉は色々だと思うんですが、あまりにぴったりで。
そして、オリキャラさんはまた曲者。
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連夜の更新有難うございました。種明かしは良かったのですが、切ないいままの年越しですね。その分免許皆伝シリーズ読破で暗い気分を吹き飛ばします。
素敵な作品の数々を有難うございました。良いお年を。

みかん様

コメントありがとうございます!
せつないまま年越し、、すみません〜
せめてもの種明かし、、、。
免許はどうやっても明るく年越します!
よいお年をお迎えください。

互いのイメージのためのおつきあい

でも、一応それなりの関係はあるわけで。

本気じゃない。けど、全くの嘘でもないプライベートな関係。

そのあたり、キョコさんはどう受け止めるのでしょうね!

都合のいい

都合のいい関係、、一番赦せないんじゃないかと。
そのあたり、まだまだキョコさんには試練続くお話に、
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場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
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