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the Beginning~from name~

変な人。
「京子」は近所に住む大柄な男をそう思って眺めていた。
父や兄よりは1つ頭分ぐらい高い身長でひょろりとしていて、いつもコートを羽織っている。
なかでも変にみえるのは、そのコートのポケットから、およそ男の雰囲気にはほど遠いものが顔をだしているからだ。
白くて両目の色の違う猫。
「その猫、なんて名前なの?」
京子は自分のアパルトマンの窓から、男に声をかけた。
男は緩慢な動きで京子を見上げる。
「猫」
「はあ?だから、名前は?」
男は表情をかえることなく、京子から目をそらした。
京子もため息をつく、声かけて損した。
部屋にもどる。

「あ、」
京子が学校から戻る途中に、またあの男がいた。
ポケットには猫がいる。
〜ちょっと触ってみたかったりするんだけどな。
声をかけるでもなく、男の後ろを歩いていく。
男も家に戻るのだろう。どうやったって、歩く道は一緒だ。
男は一回京子を振り返ったが、何も言わない。

家のそばに来たところで、銃声。
男がピタっと動きを止める。
京子も止まった、銃撃に巻き込まれたらかなわない。
3人の男が乱暴に京子の住むアパルトマンの入口から出てきたのが見えた。
「あっ」
そう声を上げそうになった京子はコートに包まれた。
男が壁に京子を押しつける。
「ちくしょう、子供一人は学校か?」
「おまえ、子供もヤルつもりだったのか?」
「うるせえ、アイツからいわれてたんだ、逃げられたとバレたら、こっちが。」
バタバタと3人が学校のほうに走っていく。
京子はその3人に見覚えがあった。父や兄の仕事仲間だと聞いていた。
男たちの気配が消えて、京子の体が震えだす。
「うちに、うちに、、帰らな、きゃ。」
がしっと肩をつかまれて、京子は男のコートに包まれていた事を思い出した。
「あ、あっ。」
自分を至近距離で見下ろす男に恐怖すら覚えて、声がでない。

気がついたら毛布やクッションのなかだった。
がばっと体を起こした京子の目に飛び込んできたのは、部屋の中央でこちらに背を向けて立っている男の姿。
いつものコートはきていなくて、上半身裸だ。
右手には銃。
ごくんと息をのんだ気配で京子に気づいたらしい男が振り返る。
「・いくとこはあるのか?」
京子は一瞬固まってから、頚をふる。
「・パリからは離れろ。警察もダメだ。」
男の表情はいつも見かけていたのとは、違う。
「・・・・」
「猫に声をかけた、だから、少しは手伝ってやる。」
にゃあ〜 と白猫が啼いた。


大友監督から届いた本にキョーコはびっくりしていた。
CMの流れからいったら、まったく想像がつかない。
この二人がレストランで食事なんて、するのかしら???
「これは筋書きだけど、それでイメージを検討しておいてね。」
佐野さんはもう目を通したらしい。


小さな車にたいして荷物もなく、京子は猫を抱いて助手席にすわる。
ちょっとよれた野球帽と大きめのジャンパーを着させられて、外をみるなと言われた。
この格好じゃ、男の子だ。
父や兄がまっとうな仕事をしているとは思っていなかったが、よもやこんな事になるとまで、想像していなかった。
自分だって、東洋人なうえに幼く見える外見のせいで思うようにアルバイトもできない。
かなり走って、うとうとしていたら、「着いたぞ」と声がした。

森の中のログハウス。
必要最小限で、住まいというよりは小屋だ。
「ここを使え」
男はがたんと天井から下がるひもを引いて、はしごをのばした。
「わ、」
屋根裏はしっかりとした寝室になっている。
のぼってからひょこりと京子は下へ顔をだす。
「・・ありがとう。」

「へえ、ハードボイルドっていうかアクションありなんだなぁ。」
社が大友からとどいた筋書きに感想を述べる。
「CMのながれじゃ、甘々な恋愛ドラマかと思っていたのになぁ。」
京子の今を撮りたい・という彼の声が敦賀の頭の中にはある。
彼が京子が「子供から大人へ」の過渡期である様を描きたいのだとは思っていた。
だから、こういうストーリーを仕立ててきたのだと。
少女だからと油断した男が、自分の秘密を明かすまでに恋心を育ててしまったなんて。

京子は猫と留守番をさせられる日々。
男は毎日ちゃんと帰ってくるが、それは深夜だったり日中だったりで、でかけない日もある。
名前は教えてくれないから、京子は勝手に「レオン」と呼んでいる。
昔みた映画の設定に似ているような気がしたからだ。
京子は留守番の最中、家を居心地よくすべく奮闘する。
ただ、その日々も長くは続かない。
「ここは引き払う」
男はそういって京子を抱きしめる。

変装用だといって、男が持ってきたのはドレスと化粧品。
着替えた京子を待っていたのはタキシード姿の男。
ただ、そのタキシードの下に銃とナイフを隠し持っていることを、京子は知っている。

 うえええ〜そういう展開なんですね。
キョーコの頭のなかで例のCMのシーンとつなげる。

席に戻った京子を男は驚愕の眼でみつめ立ち上がる。
強引に抱きしめられて、男を見上げる。
「京子は強い。」
そう男が耳元でささやいて崩れ落ちる。
崩れ落ち様に京子の手に銃を握らせて。
FIn

「いやあああ〜っ!」
プリントを手にキョーコが絶叫する。
すっかり感情移入してしまっていたのだと、我にかえる。
演じる京子はここで叫ばないのだ。
恋した相手に思いが通じた瞬間に消えてしまっても。
託されたモノが手にはある。
 「京子は強い、、、かぁ。」

「まいったな。」
社の姿がないのを確認して、敦賀は筋書きのプリントを鞄にしまう。
大友監督はカイン・ヒールを知らないはずだ。ただ、彼はそこに通じる気配を感じたのだろう。
「本来の姿」
「レオン、、か。」
どれだけ爆弾を抱えさせる気なんだ。
おずおずと「くおん」とよんでくれたキョーコの声が蘇って、表情が崩れる。

名前を、名前を呼んで。






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