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黒い瞳 side.K-1

黒い瞳、情熱的な瞳
燃えるような、そして美しい瞳
何と私はお前を愛していることか、何とお前を恐れていることか
きっと私は悪い時にお前と出逢ってしまったのだ

おお、深淵よりもなお暗いのにはわけがある
それは私の魂への喪服なのだ
それは私の哀れな心を焼き尽くす
勝利の炎なのだ

だが私は悲しくはないし、みじめでもない
この運命は私には慰めなのだ
神が与えたもうた全てのよきものは
その燃えるような瞳に生け贄としてくれてやった

エヴゲニー・グレビョンカ/黒い瞳




ぽたっ、、、、ぽたっ、、、、
頬を伝って、床に落ちた涙。


「さようなら。」

震えてしまった声。

・・・さようなら。
心にその光景と言葉を刻み付ける。


::::「黒い瞳」::::



「莉夜、忘れてるよ。」

聞き覚えのあるテノールの優しい声が呼び止めたのは綺麗な人。
にこりと微笑んで彼女は楽屋へ戻る。あかるいブラウンの長い髪が、緩やかにまあるく肩のあたりで揺れていた。

キョーコはテレビ局の楽屋が並ぶ廊下でそれをみていた。
できるだけ息を殺して通り過ぎようとしていた廊下。
タイミングを誤ったと思っても、もう遅い。
ばたん、楽屋のドアが閉まった音に、あわてて歩き出す。
・・・またドアが開く前に通り過ぎなきゃ!

「京子さん?」
避けようとしていたドアの前を通り過ぎて、安心していたキョーコは後ろから呼び止められてぎょっとした。
すぅっと息を整えて、振り返る。
立っていたのは、笹 莉夜。有名演劇学校出身の女優で、京子も前クールのドラマで一緒になった。しかも同じLMEの所属で先輩にあたる。
・・やっぱり綺麗で色っぽいなぁ。
「おはようございます。笹さん、これからですか?」
莉夜はにこりと微笑んだ。
「もう私は終わり。・・・やっぱり京子さんにあうと学校を思い出しちゃう。」
ドラマで一緒だったとき、お辞儀がきれいだと褒めてくれたのは彼女だったなと思い出す。確か、3つ年上。
「京子さんは、これから、なのね。」
「そうなんです。テッペン越え覚悟ですね。」
キョーコもなんやかんやで芸能界に飛び込んで3年を超えた。慣れなかった業界用語が普通になってきている。
「ごめんなさい、終わりだったら、一緒にご飯でもと思わず呼び止めちゃって。」
「え?」
「気にしないで。」
莉夜が苦笑いする。
そういえば、一人でご飯食べるのが嫌いっていってたな。
「ごめんなさい。」
ぺこりと下げた自分の頭から流れるのは漆黒の髪。

「・・撮影って、ひょっとして「雪の華」?」
莉夜が歩み寄ってきて、キョーコに歩くよう促した。
立ち止まっていては、キョーコが遅れるとの配慮だろう。
「ええ、そうですが?」
京子が今主演をしているドラマ「雪の華」は、サスペンスと悲恋をあわせた内容が受けて、このクールの話題作になっている。京子も一人二役だが、相手の片桐慎之介も一人二役。視聴者を混乱に陥れもしながら、進んでいくドラマは毎回展開が読めないというのも、視聴率に貢献していた。
「ちょっと撮影のぞけたりしないかしら?」
莉夜が何気なく言うが、キョーコは困っていた。
「笹さんなら、大丈夫かもしれないんですが、、、、、。」
サスペンスなのもあり、関係者以外立ち入り禁止で撮影がすすんでいるのを、笹も知らない訳ではない。
「やっぱりそうよね。」
ほうっとため息をつく莉夜。
「何かあったんですか?」
「・・・いいえ、なにってわけじゃないけど、今日は誰もつかまらないなぁって。」
・・さっきの楽屋は、敦賀さんの楽屋。
「お役に立てなくて、、」
「やだ、いいのよ、約束してたわけじゃなし、、、でも、よかったら今度、食べにいきましょう?」
「ありがとうございます。」
キョーコは自分に割り当てられた楽屋の前で、莉夜に頭を下げる。

楽屋ではすでにマネージャーの佐野さんが待っていた。
いつもだったら一緒に行動する佐野さんと、楽屋待ち合わせになったのは、佐野さんが局側と交渉をしていたためだ。
「鍵閉めるわね。」
佐野さんの表情が厳しい。
「・・・やっぱり、やらなきゃいけないんですね。」
キョーコは聞くよりは自分で言葉にしてしまえと思って言った。
佐野さんもだまってうなづく。
「社長も今回は止めてくれなかったわ。」
「・・・手厳しいですね。」
「雪の華を活かすも殺すもあなた次第ですって。」
ため息。
「ごめんなさい、京子さん。」
「いえ、いいんです。必要なシーンだとは思うし、視聴者の期待もあるってことですよね。」
「そういうこと。」
京子が19歳になって、事務所側も演技派女優という売り出しをしているが、そのためにキスシーンも必要なら受ける方針になった。しかも、映画で一度キスシーンが話題になってしまい、恋愛ものの役のオファーがそれなりにくるようになった。だから、今回が初めてというわけではない。
それでも、毎回、最初のキスシーンが心をえぐっていく。
・・・役者の法則、なんて。






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