スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

name 9

「おう、来たな。」
社長室の応接セット。社長は本日、中世の貴族、になっているらしい。
後ろに大きなリボンが見えるスタイルは、いささかおとぎ話を思わせる・・・・って。
どかんと座る彼の斜め横のソファーに、お姫様。
そのスタイルに上機嫌で照れている笑顔で、微笑む最上さん。
さすがに彼女は立ち上がっていたが、お姫様衣装のために、いつもの深々なお辞儀ではなかった。

・・・・・やられた。・・・
かなり悲壮な覚悟で望んだ場に、これはあんまりだと思う。
いや、悪ノリぐらいしないと、もうやっていられない。

彼女の前に進み出て、騎士さながらに頭を下げ、差し出された手の甲に口づける。
ふにゃとでもいうような彼女の表情に、またどきりとする。
この場がただのパーティーなら、そのまま手を取って抱きしめてしまうのに。

「じゃあな。俺は引っ込むから。」
「・・・・・着替えたいなら、用意があるぞ?」
ぎょっとしたように社長を見る。
騎士の扮装だけじゃない、ミス・ウッズが控えているということなのだ。
社長の思いやり、なんだろう・・・・
「ありがとうございます。そのときには声をかけさせてください。」
「おう、わかった。」
にやり、と笑って社長は、最上君また後でな、と言って颯爽と出て行ってしまった。

「あのう。」
最上さんの困ったような声。
「うん、、今日は時間をありがとう。」
彼女に座るようにうながして、彼女の前の床に両膝をつく。
「敦賀さん??」
「どうしても、君にわかってもらいたい事があって。」
最上さんの顔が固まっている。

「格好わるい話なんだよ、、大友監督にね、君の目は偽物だって言われてね。」
「そんな、」
ただ、彼女が予想していた内容ではなかっただろうに、やや困ったぐらいで、さっきの固まった顔からは、ほぐれている。やっぱり、俺の何かにおびえる気持ちがあるんだな。
「ちょっと、ごめんね。」
 ポケットからコンタクトレンズのケースを取り出して、テーブルに広げる。
「偽物って、コンタクト・・・」
フォローの言葉をかけようとしたのであろう彼女の声が、途切れた。

 「きれい」

優しく微笑んでくれる、その顔に思わず、涙がおちた。
こんな時に、涙なんてでるものなんだと。
おろおろしたように、彼女がソファーから身を乗り出してきた。

 I love you, Kyoko…

彼女の顔がそばによってきた、その瞬間に言ってしまった。
かすれたような自分の声に自分で動揺する。
今日、話さなきゃいけないことはまだあるというのに。
彼女が差し出しかけたその手を、逃さないように両手で包む。
彼女の顔が真っ赤に染まっているのに、ちょっと安心する。

「この目だけじゃない、髪も違う色。君が、見たいというなら、今髪色も戻すけど、話をさせてもらってもいい?」
コクンと彼女がうなずく。
逃げ出さないでいてくれてる、それだけで救われた。
ほんとの告白だって思ってくれてなくても、今はいい。

「君には知って欲しいと思って、これでも勇気を振り絞って話をしてるんだ。」
コクンと彼女が返してくれる。
「・・・君には10年前会っているんだ、っていったら、怒るかい?」
「え?」
彼女の大きな瞳が目一杯見開かれる。

「俺の名前は久遠だよ。」



関連記事

web拍手 by FC2

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

message
場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
最新記事
counter
カテゴリ
flyaway news twitter
ブログとHPの更新状況とちょっと呟き フォローはご自由にどうぞ!(フォロー返しはあまりないかも)
Link
上部のサイト様は相互リンクいただいてます。 マナー携帯でご訪問くださいませ。 下部のサイト様は大好きサイト様で、リンクフリーに甘えさせていただいてます!!
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。