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猫じゃらし- 4

はい、まだじゃれております〜


「・・・・」
片手にすっぽり嵌る明るい栗毛の毛玉。
ビー玉みたいな鳶色の瞳。
蓮の両手にすっぽりと納まった仔猫にキョーコはおそるおそる手を伸ばす。
「頭の上より、耳の横あたりがいいよ。」
その恐る恐るぶりに、蓮が微笑みながらキョーコにささやく。こくんとキョーコはうなずいて、そろりとこちらに向けられた猫の耳の下に指をのばした。
「うわ、あったかい。」
「うん、猫の体温は人より高いからね。」
仔猫はキョーコの指にあっさりと顔をおしつけてきて、撫でろといわんばかりに眼を細める。
・・か、可愛過ぎるっ。
大きな声はだせないと、必死に声を押し殺して、キョーコはその小さな猫の頭を撫で続ける。最初にふれたのは指1本。そこから、2本、3本、掌全体と距離が狭まる。
「抱っこ、かわろうか?」
仔猫とキョーコを抱きすくめるようにして蓮は身体を寄せた。静かなリビングのソファーでゆったりとした時間が流れていく。
「はいっ。」
勢いよく返事をして、キョーコは蓮の手を包むようにして仔猫を受け取る。見た目に反したずっしりとした重さと、なんともいえない柔らかくて優しい感触が、ぬいぐるみではなくて小さな命なのだと実感させる。
ゴロゴロと喉を鳴らす振動が手に伝わって、なんともいえずくすぐったい気持ちになった。
「写真撮らせて。」
「ふへ?」
「ほら、社さんのお母さんに報告しないといけないだろう?」
「あ、そ、そうですよね。」
キョーコは慌てて、背筋を伸ばす。
「やだな、かしこまったら仕事みたいだよ?」
いつのまにか隣で一眼レフを構えていた蓮がくしゃりと破顔した。
「え、でも。」
カメラを向けられると職業病のようなもので、何かの役をつけようとしてしまう。
なぁ〜っ
仔猫がもぞもぞと動いて、その白い手をキョーコの顔の方に伸ばした。
・・構って!
そういわんばかりの仕草に、キョーコも笑みがこぼれる。
カシャカシャ
シャッターチャンスと言わんばかりに、蓮はキョーコと仔猫を撮る。フレームには無邪気なキョーコの笑顔がめいいっぱいにおさまって、仔猫の姿は手と耳先ぐらいしか入っていない。こんなリラックスした笑顔はなかなか写真におさめられないできていたから、ここぞとばかりに蓮はシャッターを切った。

「おまえ、、」
社が休憩時間の控室で、深い溜め息をついた。
担当俳優が思いっきり表情をゆるめてスマホに見入っていたからだ。
「休憩中ぐらい、いいじゃないですか。」
「ま、そうなんだが、、、俺はやっとよめた。」
「何がです?」
「仔猫を飼うなんて言い出した理由だ。」
「理由って。」
「そうやって、キョーコちゃんがひっきりなしにメールしてくれるの、期待してたんだろう?」
にこり
蓮は社に似非紳士の笑顔をむける。
仮にも「恋人」であるにも関わらず、キョーコは忙しい蓮に遠慮して、メッセージも電話も寄越してはくれなかったのだ。ちゃんと休憩とわかっている時間に、「ちゃんと食べてますか?」というぐらいで、用件がなければ連絡してはいけないと思っているぐらいの堅苦しさ。それが、寂しくないといったら嘘だ。
だから、キョーコが仔猫の仕草をいちいち報告メッセージしてくれるのが、嬉しくて仕方ない。
「ごはん完食です!」
「おもちゃに夢中です!」
「丸まって寝てます、すごく可愛いです。」
・・・文面が固いのがまだ残念だと思ってしまうのは欲張りなのか?
『ほんとだ、すごく可愛い』
そこまで打って、蓮は暫し考えた。
・・・こちらから絵文字ぐらい使おうか?
『ほんとだ、すごく可愛い ^_^』
思い切って蓮はそれを送る。仔猫を迎えたその日に写真を撮ったのがきっかけで、仔猫をめぐってお互いに写真をとっては送り合うようになったから、なにかの「きっかけ」は大切なもののように思えたのだ。してみたいことをTRYする。キョーコならそのリアクションも時に予想外なのが、蓮には楽しくて仕方ない。
「れ〜ん、れんく〜ん。」
真正面にしゃがみ込んだ社が首を傾けて、蓮を覗き上げる。
「俺の話、全く聞いてなかったろ?」
はっと蓮は居ずまいをただした。休憩時間ではあるが、さっき話しかけられたのには、社なりの都合があったのだと気付いたからだ。
「・・・すみません。」
「あ、や、ごめん、ごめん。仔猫の名前決まったのか?って」
「あ、、まだです。」
「え?まだだったのか?なんだかさ、むこうが名前を教えろってうるさくって、すまん。」
社が両手をあわせる。
「いえ、すみません。ちょっとこうピッタリこなくって、悩んでいるんですよ。」
「ピッタリこないって、、いったいどんな名前をつけるつもりなんだ?」
「ひめっていうのは決まったんですが、漢字の姫か媛か、ひらがながいいか、ヒメがいいかって。」
「は、、、あ?」
「なんでしたっけ?あ、画数がどうとか、こうとか。」
「画数?」
「幸せになる画数とか、なんだとか。」
「・・・そう、か。」
社の驚いたような顔に、蓮も苦笑を滲ませる。画数など蓮は気にしなかったのだが、真剣に悩むキョーコがあまりに可愛らしくてそれに浸っているのだ。仔猫のほうは音で判断しているから、もう自分の名前を認識しだしたようなところがある。
「その、アメリカでも、画数なんていうのあるのか?」
ふと社がそう言った。
「え?」
「画数って、名字と名前だろう?・・・まさか「敦賀」で考えているのか?」
社のその素朴な疑問に、蓮はまじまじと社と見つめ合ってしまった。



*****
猫のお名前はTwitterの方へ呟いていただいたお名前で即決させていただきました!ありがとうございます!
この書きながらもテレテレしてしまうようなもどかしさですが、ちょっとこんな感じを欲しているので、しばらくお付き合いくださいませ〜

たぶん、反動がまた闇になるんだと思うんですけども〜
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