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猫じゃらしー2

ちょっと、当分は楽しいお話かな〜







「え、敦賀くん、おめでた?」
「は?」
貴島の発言は全てがおかしかった。
まず、男が妊娠することはない。
日本語として正しく尋ねるならば、
「敦賀くんの奥さんは、おめでたかい?」
のはずだろうと、蓮は、自分で訂正した「敦賀くんの奥さん」という響きがちょっとこそばゆいなと思う。そして残念ながら、公認の恋人とは結婚もしていなければ、妊娠に至るような関係はまだ慎重なのだ。
「いや、ちがうけど。」
いろんな意味をこめて否定する。
「だって、それ。」
貴島が蓮が読んでいた本に視線を落とす。

『はじめての名付け』

タイトルだけみれば確かに、これから迎える我が子につける名前を悩む人が読む本だ。
「仔猫にね、つける名前を考えているんだ。」
ちゃんとみれば表紙も裏表紙も犬と猫の写真で、犬猫の名前の付け方なのだとわかる筈だと、蓮はにっこり微笑みながら答える。
「へぇぇ、猫。」
貴島が蓮の正面の席に座る。
「堂々とそんなもんひろげてるんだから、できちゃった婚?とか期待しちゃったよ。」
にやにやと笑う貴島に、蓮は少し眉をひそめた。
「失礼な。」
その蓮の言葉にごめんと云わんばかりに貴島が軽く両手をあげる。
「でも、猫を飼うなんて、まるで子育ての練習じゃん。」
「人と猫は違うよ。」
「まぁ、そうだけどさ、京子ちゃんと飼うんだろ?」
ぐっと蓮は言葉を呑む。だいたい交際宣言も貴島にツッコミいれられたせいで、「宣言」するはめになったのだ。隠れて付き合うつもりも無かったが、わざわざ宣言というのはどうなのかとキョーコともさんざん話し合っていた最中だったのだ。貴島のツッコミだったせいで、予想していたような世間の批判にもあわなかったのは感謝するし、「宣言」したからこそ、キョーコが恋人というポジションに落ち着いてくれたということにも感謝しているのだが、いかんせん軽い。
「恋人と動物を飼うなんてさ、もう婚約宣言だよね。」
蓮の返事をまたずして、貴島が喋る。
「そんなに結婚させたい?」
軽く貴島の会話をかわそうとして、蓮はにこやかに首をかしげた。
「うん、さっさと結婚しちまえ、と思うね。」
にかっと貴島が笑う。あまりの正面突破に蓮はおどろいて、貴島をしげしげとみつめた。
「敦賀くん、案外鈍いっていうか、、純というか。」
さすがに蓮もむっとして貴島を見返す。
「ほら、そうやって感情だすようになっただろ?そういうふうにした京子ってどういう女の子よ?って男どもが興味津々て気付いてない?」
「は?」
「あ〜気付いてなかったんだ。縁結びの俺としてはさ、おふたりさんには幸せになってほしいんだけど?」
「・・・。」
蓮は開いていた本を閉じ、貴島の話の方向をぐるぐると考える。「宣言」したのは馬の骨よけだったのはいうまでもないのに、貴島の言葉をまともに解釈すれば、馬の骨が増産されたということになる。
「ま、その猫ちゃん可愛がって、ラブラブっぷりアピールしておきなよ。」
そんなことは言われなくてもわかってるんだけど、と思いながら、キョーコが群がる馬の骨どもににこにこと対応している様子を想像してしまって、蓮は腹の裡がもやもやとしてしまった。

そして。

「敦賀さん、見て下さい!これ!」
仔猫が来る事に決まってから、キョーコはいっそうこまめにマンションに通ってあれこれと準備に余念がない。夕食の会話も猫話で持ちきりだし、それはネットで見つけた猫グッズだったりと、猫用品にとどまらず何か彼女の楽しみになっているのは、蓮にも楽しい事だった。
そんな流れで、夕食後も結局PCの前で二人猫ブログなどを覗く事になったのだが、、
「これ、篠山くん?」
それは、キョーコが目下共演しているイケメン俳優の名前であり、PCの画面で猫に頬ずりして微笑んでいるのも紛れも無いその俳優の姿だ。
「そうなんです、篠山さん、猫好きでご自分のブログとかおうちの子の様子載せてるって。」
タレントや俳優がプライベートを垣間見せるブログは今や必須ツールになりつつあるのだが。蓮は、貴島にいわれた「興味津々」が胸に突き刺さる。
共演している俳優が、キョーコが猫を飼うと聞いて、あれこれと親しげにアドバイスするのは、現場の自然な流れだろう。キョーコも喜んで話を聞くだろうし、現にまったく警戒している様子もない。
「可愛いですよねぇ。」
ほうっと少し頬をそめて写真をみている恋人に、蓮は言葉を失う。
どうしてくれよう・・・
このまま抱きすくめてしまいたいぐらい可愛いのは君なんだけど、という想いと、可愛いのは猫だろうと思いながらも、他の男の写真なんて見て欲しくない想いとがごちゃまぜになる。
「他人のうちの子ばっかりじゃなくて、、社さんから、写真もらったんだ。」
蓮はさりげなく話題を逸らしていく。
「うわ!社さんのお母さん、マメですね!!」
「それはやっぱりあの社さんのお母さんだからね。」
「ふふふ、そうですよねぇ。」
スマホの画面を覗き込もうとするキョーコにどきまぎしながら、蓮はアプリを操作する。
・・・こういう時は普通にもたれかかってくるんだよな・・・
身体を寄せて手元を覗き込まれると、その柔らかな感触に少年さながら心が踊ってしまう。ただ、そんなときにこそ平然としないと、キョーコは一瞬にして離れてしまう。
・・・ほんと警戒心の強い猫というか。。
写真にうつる明るい栗色の猫は、ほんとうにキョーコに良く似ているような気がする。似ていると思ったのが、飼おうとしたキッカケだとは、社にもキョーコにも言っていない。
「そうだ、名前少しは絞れた?」
はっとキョーコが顔を起こし、にっこりと蓮は微笑む。
「この子に似合う名前だよ?」
お姫様の名前だとかで、エリザベートだのオーロラだのキョーコが最初にあげてきた名前を蓮は却下している。キョーコらしくていいかともおもいつつ、和猫にそれはないだろうと思ってしまったのもあった。
「そうなんですよね、、長い名前だと猫ちゃんにはわからないって篠山さんにもアドバイスいただいて、、」
むっ
蓮のちょっとしたその気配はさすがにキョーコにも伝わったらしい。
「ご、ごめんなさい。考えすぎて決まりませんっ!」
むっとした理由をキョーコが取り違えているのはわかりながらも、よもや他の男への嫉妬心だとは言えず、蓮は件の本を取り出した。
「長い名前でも、呼び名を二文字ぐらいにするっていうのもあるよね。」
「それ、ステキです!」
嬉々と本を覗き込んできたキョーコに蓮はまた眼を細める。
「慌てずに、二人で考えよう?」
「っは、はい!」
真っ赤になってしまう愛しい恋人の額に蓮はそっと口づけた。



******
はい、そして、まだ仔猫はきておりませんのです・・・
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