猫じゃらし−1

・・・・・
ほんとに、ほんとにすみません。
終わってない続き物があるのに。

明るくいちゃこらするお話もあっていいよねと、そんな気になったのですよ。
いまの続き物みんな深くもぐっちゃってて。

交際宣言しちゃった蓮キョさん設定で。楽しくをテーマに!続き物というよりはシリーズかな。



「・・・・」
片手にすっぽり嵌る明るい栗毛の毛玉。
ビー玉みたいな鳶色の瞳。
「キョーコ。」
思わず蓮はそう声をかけていた。
所在なげに蓮をみつめるその仔猫の様子は、蓮の様子をうかがうキョーコの姿にだぶったのだ。
ぶっ
蓮の目の前に立っていた社が吹き出す。
「怒られるぞ、キョーコちゃんに。」
「・・・」
そっと仔猫の耳後ろに、顎に、蓮は指を伸ばして撫でる。仔猫はふにゃりと眼を閉じて撫でられるに任せる。それすらも、愛おしい恋人の仕草に重なる。
表情を緩めて仔猫に触れる蓮に、社がほっとしたように肩を落とした。仔猫は社の実家からやってきた白茶虎の雌猫だ。猫好きの母親のせいで、なにか猫寄せ場になっている社家には春と秋、仔猫ウェーブがやってくるのだ。保護活動をしているのではないのに、買い物やら何かのついでに道ばたや公園で弱った仔猫を発見してしまうらしい。
「絶対美猫になるわよ。」
都内で忙しくしているのを知っているくせに、飼ってみないかとそそのかされること数回。事のはじまりは、その数回目のことだ。
「確かに可愛いんだけどさ。」
母親が送ってきた仔猫の写真をスマホで眺めて、社は溜息をこぼした。自分の生活リズムもバラバラなのに、猫を飼うなどというのは、猫に気の毒だと思う。
「馬鹿ね、生活リズムを猫に整えてもらいなさい!いくら売れっ子さんのマネージャーで忙しいっていったって、あ、違うわね、いい加減結婚して、ちゃんと生活ささえてもらいなさいよ。」
見事に論点をずらした母の発言。30歳を前にして、何かというと結婚結婚。まして、担当している蓮がキョーコとの交際宣言をしたものだから、遠慮することないじゃない!という理論展開である。同じように忙しい売れっ子俳優さんに彼女がいるんだから、出来ない筈は無いという。
「仔猫の面倒みてもらえるような彼女、ほんとにいないの?」
肉親というのはこうも容赦がないものだろうかと、社は可愛らしい仔猫の写真にまた溜息を零す。
「社さん?」
溜息ばかりの社を蓮が心配そうに覗き込む。ちらり、スマホの画面が蓮にも見えたらしい。
「溜息つくような写真じゃ、ないですよね?」
「あ、すまん。親が仔猫の貰い手探しててさ。」
「・・すみません。」
蓮が困ったようにそう口にする。それを画面を見てしまった事と忙しくて動物が飼えない事の両方への謝罪だと社は受け取って、手を振った。
「蓮に謝られることじゃないよ、すまん、溜息なんてつくからだよなぁ。」
「いえ。それにしても、この子、、。」
そこまで言いかけた蓮が口を手で覆う。その仕草は大概、熱愛中の恋人に関係するときに見せるものだと、社は知っているが、今回は接点が見えない。
「?」
「俺が貰ってもいいですか?」
「はぁ?」
呆気にとられるとはまさにこのことだろうと、社は口をぽかんと開けて蓮を見た。そして、あのやたらと広いマンションなら、猫部屋ぐらい屁でもないよなとか、ゴージャス猫ってのも可愛いなとか、たまに遊ばせてもらえたら和むなとか、やけに楽観的な想像が駆け巡った。
「昔、飼ってた事あるから大丈夫です。」
「いや、そういうことでなく。」
「本当は犬飼いたいんですけど、散歩には行けないし。」
「いや、だから、そういうことでなく。」
「マンションはペット可ですし。」
「いや、だからさ、そういうことでなく。」
「部屋余ってますし。」
「いや、だから、蓮くん。」
「社さんに面倒みてくれなんて、いいませんから。」
「蓮くん、きみね、ほぼ家に帰って無いよね?」
「いえ?最近はちゃんと帰ってますよ?」
けろり
社は唖然とする。確かにキョーコちゃんとの交際宣言から、蓮はちゃんと帰っているのだ。それが1時間とかであれ帰宅している。理由は明白だ。キョーコちゃんにあえる、もしくはキョーコちゃんが作ったご飯を食べないといけない、そういう理由である。
そして、そこまで考えて、社は一つの結論を導きだした。
「・・・キョーコちゃんにキャットシッターさせるつもりだな。」
「人聞きの悪い。一緒に飼うんです。」
「ここにキョーコちゃんの意志は介在してないぞ?」
「何か飼ってみたいって話はしましたよ?」
「いや、それは意志とはいわないだろう?」
きっと無理に飼い始めても、キョーコちゃんの性格的に、、それこそ猫可愛がりしてくれることは間違いない気がする。けれど、けれど、彼女も人気がでてきたばかりだ。そんなに時間に余裕があるわけではない。
「二人でロケで留守とか、どうするんだよ?」
「そこは、社さんが。」
にっこりと、悪魔の微笑。
その意味はロケが被るなどというスケジュールを組まなければいいわけで、共演で被ったら連れて行けるような宿を取ればいいという意味と社は受け取った。
「猫は20年は生きるんだぞ。」
「知ってます。」
いささかむっとしたように蓮が答える。
「結婚して、子供うまれたら、動物とは触れ合ってて欲しいんですよね。」
悪魔の微笑がだんだんキラキラ度を増していく。
「彼女、動物飼った事ないっていってたので、良い機会だと思うんです。」
「・・あ・そうか。」
キョーコちゃんの育った環境ではまず、無理だ。
「しかも、、奴が、猫アレルギーらしいんですよ。」
暗黒のオーラがひやりと社の背後を撫でる。悪魔どころではない魔王の微笑・・・
「奴」それは、不破尚のこと。交際宣言にケチをつけ、いまだキョーコちゃんの回りをうろちょろしている幼馴染み。その彼が猫アレルギーとなれば、、猫を飼ったキョーコちゃんに近寄り難くなる。
「・・・不破よけ。」
社は呟いていた。
「社さんのご実家で保護したってなれば、反対されないと思うんですよ。」
にっこり。
蓮のきらきら魔王スマイルに社は屈して、実家に連絡したのだった。
そして、やってきた仔猫は今、蓮の手の中でゴロゴロと甘えた声を響かせている。
「ありがとうございます。」
眼をきらきらさせたキョーコが蓮から話をきいたと、綺麗なお辞儀をしてくれたのは、社が実家に連絡を取った翌日のこと。
「なんだか、ごめんね。押しつけるみたいで。」
社は頭を掻く。キョーコちゃんのことだ、あれこれ描く理想があっただろうにと、社は思う。
「いいえ、そんなことないです。ほんとに飼うなら、、ショップからじゃない方がいいってお話してたので。」
にこにこと頬を染めるキョーコに社は内心胸を撫で下ろす。蓮は蓮なりの企みもあるらしいが、キョーコに飼う気があるのか心配だったからだ。
「あのう。仔猫が来たら何をしたらいいんでしょう?」
「あ、そ、そうだよね。必要なものは蓮が用意する筈だし、、キョーコちゃんは仔猫を抱きしめてあげて?」
社は自然と微笑んでしまう。
「え、それだけでいいんですか?」
「うん、母猫が恋しかったり寂しかったりするだろうから、抱っこしたり撫でてやって。それと、安心して眠らせてやる事かな。」
キョーコが少し眼を潤ませて話に「はい!」と頷く。
社の母親からの連絡では、もうドライフードも食べるぐらいに逞しく育っているらしい。動物病院で必要なワクチンや検査もすませたりと、実家では完全にお姫様状態で「嫁入りの日」に備えて、まあ、まめに連絡がやってくる。「敦賀さんにそういう彼女がいるのにねぇ〜」それは毎回ついてくる余計なオマケなのだが。
それから猫が来る日まで、社は二人が猫の飼い方の本を仲良く懸命にチェックする微笑ましい姿を見せつけられることになったのだった。





*****
猫も犬も可愛いですよね!
蓮さんは大型犬を飼いそうなイメージなんですけど、日本にいるうちは諦めそうだなと。

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