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海岸線

はい、なんていうか、短編ですー



ざざーん
初夏の海岸、蓮は少しぼんやりと水平線を見つめていた。
、、海、か。
海岸から嬉しそうに「コーン!」と呼んだキョーコの姿を思い浮かべてしまう。
、、グアムの海とは色も雰囲気も違うのにな。
ふぅ
少し苦笑いして、蓮は撮影スタッフがいる方を伺う。昼の休憩なのだが、一緒に食べましょうとしつこくつきまとう女優陣をやっと躱して得た平穏。
「ー食べないとキョーコちゃんに怒られるぞ?」
社にそう言われても、食欲がないのは変えられない。
「、、、怒りに来てくれるなら、、大歓迎ですよ。」
ポロリと口をついてしまった言葉に、蓮は慌てて手を口に充て、社はにやーっと嗤った。
「ずいぶん素直になったなぁ。ここはなんとか、会えるようにスケジュール頑張るからさ、元気出せって。」
ポンポン
社が蓮の肩を叩き、ま、休憩はちゃんと摂ろうね、と言いながら、ゼリーのチューブとお茶のペットボトルが入ったビニール袋を手渡した。
「・・・」
恋心に侵食されて、こんな風になるとは予想外だった。ただでなくとも無い食欲がさらに失われているのは、毎日側にいた存在の欠如。兄妹という設定が無い今、会えない時間はまるで、、、
そこまで思考が落ちて、蓮は首を振った。
、、ちゃんと三食、食べてますか?
仕事の絡みもない今、キョーコが蓮の食生活を気にかけてくれているものなのか、どうか。気にかけてくれたら良いのにと願う心ばかりが育つ。

「蓮さまぁー!」
波音の合間に自分を呼ぶ声に気づいて、振り返る。
「マリアちゃん。」
日傘片手にそれでも走ってくる様子に、蓮の足も動く。そして、デジャヴ。
・・・あれは、あの子の初仕事のときだったっけ。
マリアはお姉様に会いに行く途中だと言って、撮影現場に闖入してきたのは。
「休憩時間だなんて、良かったですわ!」
にこにこと頰を染めて抱きつくマリアに、蓮も笑顔になる。
「こんなところにどうしたの?」
「お姉様の応援ですの!」
「え?」
蓮は明らかに重なった記憶に、何か期待を膨らませる。
「お姉様、ここのところあまりお元気でないので、内緒でパーティ用意したから、迎えにきたの!」
「元気がない?」
マリアの言葉に蓮はどきりとする。もし、自分と同じように喪失感を抱えてくれてるなら、、甘い幻想がよぎる。
「恋わずらい、かしら、あのお姉様が呪いグッズにも興味を示さないなんて、一体どんな方を想われてるのか、マリア心配で。」
「恋、わずらい、って。」
幼い少女の背伸びした発言に、蓮は取り乱した心を必死に隠す。
「ぼんやり空みてたり、大きなため息つかれてたり、スイーツにも目が輝かないんですのよ?蓮様、何か原因がお分かりになる?」
しょんぼりとして、そして、期待に満ちた目で蓮を見上げたマリアに、蓮はかろうじて微笑む。
「マリアちゃんに励まされたら、きっと元気になるよ。」
「なら、いいんですけど。」
ドカラッドカラッ
砂浜を馬が駆ける音が近くなる。
、、、社長、また馬なんだ、、。
動揺した心とは別の頭が、ぼんやりと現実を認識させる。
「よぉ〜、蓮!久しぶりだな!」
馬上でにかっと笑うローリィに、蓮のデジャヴ感は一層増した。
「なんて面だ、お前も一緒に見にいくか?」

・・・全く。
蓮は目の前の光景に立ち竦む。
自分の撮影とは小さな岬隔てた向こう側の海岸。
打ち寄せる波で戯れるワンピース姿の少女2人。
きゃあ
キラキラと笑顔を振りまくキョーコに蓮の目は釘付けになる。
・・・ちょっと見ない間に、ずいぶん綺麗に、なった、、
「あん時のCMの続編だからな。」
馬を降り蓮の横に立ったローリィがそう言った。
キョーコと一緒に走っているのは、奏江だと、蓮はその言葉で気づく。
「お姉様、カメラの前では笑えるのね。」
蓮はぎょっとしてマリアを見る。
「まぁなぁ、やっぱ、あの子は役者だな。」
「そんなに、元気ないんですか?」
「ん?心配か?、、ま、そりゃーそうだわなぁ。」
ローリィはニタリと口の端を上げる。

きゃぁ!
一際大きな声が響いた時、蓮は走り出していた。
砂に足を取られた奏江を庇おうとしたキョーコが逆に海へ倒れこんだからだ。
ざぶん
尻餅をつくところが抱き上げられて、キョーコは目を剥いた。
「な、な、なんで、敦賀さん??」
キョーコを抱き上げたままスタスタと蓮は波打ち際を離れる。
そして、そっとキョーコを抱き降ろすと、蓮は着ていたジャケットを脱いでキョーコの体を包み込む。
「着替え、ある?」
「あ、多分、衣装さんが、。すみません。」
キョーコはそのぶかぶかのジャケットをキュッと握ったまま頭を下げた。
こほ
蓮は少し顔を背けて小さく告げる。
「その、、透けて見えてた、から。」
完全に尻餅をつかなかったとはいえ、キョーコのワンピースは波飛沫で濡れてしまっていた。
「!!」
見る間に真っ赤になってしまったキョーコだが、いつもならそこで上がるであろう悲鳴がない。蓮のジャケットに小さくくるまるようにして俯いてしまっている。
海岸で戯れる設定の為にジャケットから覗く脚が素足でその姿は蓮の理性を揺るがすには十分すぎた。
、、、どうしてくれようか
濡れて露わになった体の曲線が瞼の裏にちらついている上に、この姿。
「誰にも見せたくないんだけど。」
そっとキョーコの背を抱いて耳元に囁く。
向こうから走ってくるスタッフの姿がなかったら、抱きすくめてキスぐらいしてしまいそうだった。
「見せたくないって、、。」
ちらりと蓮を見上げるキョーコは涙目で、蓮はぎくりと体を強張らせる。
「、、、そんなに見られない姿、だったんですね。」
がくんと項垂れたキョーコの白い項に蓮は言葉を失う。
「ち、違う。、、見ていいのは俺だけ、って意味なんだけど。」
ふぇ
泣き出しそうな顔がまじまじと蓮を見つめる。
「そんな色っぽい姿、他には見せないで?」
意を決した言葉に、キョーコの顔が一瞬明るく染まって、そして、ぼそりと「やっぱりタラシ、、」と言った。
「な、。」
蓮が呆然とした時にはスタッフが間近に来ており、キョーコは「ありがとうございました。」とジャケットを押さえながら綺麗なお辞儀をした。
・・・少しは、通じたのか?
蓮はキョーコの後ろ姿をただ見送って、そして大きく息を吐く。

「前途多難だなぁ、蓮よ。」
ポンポン
後ろからローリィに肩を叩かれ蓮は少しむっとして振り返る。
「多難だなんて、決めつけないで下さい。」
「まぁ、あの子は役者だからなぁ。」
ローリィが感心したように顎に手をあててキョーコを見る姿に、蓮はなにか嬉しいような心持ちになる。
「はい、凄い女優になる、でしょうね。」
「、、、そんなこと言っていられるのかねぇ、蓮?」
ローリィが嬉しそうに笑うのを、蓮も笑顔で返す。
「そうか、俺も考えとかなきゃならんなー」
「何をです?」
「最上くんのラブミー部卒業。」
ビクッと体を揺らせた蓮にローリィが目を細める。
「お前が最上くんを落とせたら、な。」






*****
目撃していたモー子さんにマリアちゃんはわかっちゃっただろうに、、、。
いや、多分、キョーコちゃんもわかってると思うけど。
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ちょっと夏の潮の香りがするいいお話ですね

お久しぶりです。お話、とても面白かったです。しばらく続き妄想以外のお話があまりなかったように思って、油断していました。この短編は、これから夏に向かう季節にピッタリのお話ですね!潮の香りってちょっとウェットな感じで、これから始まる恋物語を連想させます。海は肌の露出が多くて、人肌に直に触れる確率も高い場所。予感たっぷりの結末部分が、始まりのようで、素敵なお話でした。どうもありがとうございました。

Re: ちょっと夏の潮の香りがするいいお話ですね

> genki様
コメントありがとうございます!!
海といえば、去年の海に置き去りにしたままのお話もあるのですが、こちらの蓮キョさんは真夏にむかってきらきらです〜
予感たっぷりの結末と言って頂けて嬉しいです!(二次のくせに、こうだ、と単純に示せない当方の歪みなので、楽しんでいただけると嬉しいのです!)
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場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
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