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領主の城 8

うむー限定にはいかなかったです!

8・サラダ


領主様は特別。
あの方々は「とこしえの主」。

領主がひとり次々と膨大な量の料理を平らげていく晩餐を終えて、キョーコは一度与えられた自室に戻っていた。部屋に戻るなりカナエとチオリがまた忙しそうにあれこれと服などを引っ張り出してくる。どこに何があるのか、キョーコにはさっぱりわからないから、落ち着かないものの二人の指示に従って、椅子に腰掛けていた。
そして、ぼんやりと街中や屋敷内で聞いた話を思い出したのだ。

「とこしえの主」
それは、不老不死の存在なのだという。神に与えられた使命があって、彼等は永遠を生きるのだと。
「けどなぁ、うちの領主様は確実に年取ってるよな。」
「でも、ケティ婆さんは、死んだはずの前の領主様がウロウロしてるのを見たってよ?」
「まぁ、婆さんは長生きだから、色々見たものがごっちゃになってるんじゃないのか?」
「いや、ケティ婆さんだけじゃねぇ。他所から来た奴が言うには、死んだはずの自分とこの領主様と、うちの今の領主様がそっくりだっていうぜ?」
「親戚縁者じゃ、多少は似るだろうよ。」
「けどなぁ、クオン様みてえに目の色髪の色が変わるんじゃ、俺たちにはわからネェ何かがあるんじゃないか?」
「変わったんだか、入れ替わったんだか、わからねぇが、、、まあ、こうやって過ごしていけるなら、領主様に文句はねぇよ。」
「まぁ、そうだな、、とって喰われる訳じゃなし。」

・・・・とって喰われる

その会話を思い浮かべて、キョーコはそっと、自分の足先に目を落とした。出来ていた筈の靴擦れ。滲んでいた筈の血液。それを躊躇なく舐めた、のは。

「キョーコ?」
クオンの声に、慌ててキョーコは顔をあげた。考え事の世界に籠ってしまって、部屋にクオンがたずねてきたのに気付かなかったのだ。
「ご・ごめんなさい。」
キョーコは椅子から飛ぶようにして立ちあがる。
くすくすとクオンが笑ったから、ぎょっとした、というキョーコの気持ちは顔には出ていなかったらしい。
「そんなに驚かせたつもりはなかったんだけどな。」
「・・ちょうど考え事をしていて。」
笑われたのが恥ずかしくて、キョーコは頬を染めて俯く。
「ちょうど?ってことは、俺の事?」
ぎゅうっとキョーコは下ろしていた手でスカートを掴んでしまう。図星も図星、考えていたのはクオンのこと。しかも、あの、どうにもキョーコに胸苦しさを思い出させる、あの時のこと。
「嬉しいけど、、ちょっと嬉しくない、かな。」
近寄るクオンに対して、キョーコが後じさる。そして、キョーコはいつのまにか、カナエもチオリもいなくなっていた事に気付いた。
「俺の何を、考えてくれてたの?」
伸ばされたクオンの手から身を逸らして逃れようとしたキョーコは、自分が座っていた椅子につまづき、椅子がぐらりと傾いた。
「危ない!」
倒れた椅子とともにキョーコは仰向けにバランスをくずした。
「・・全く、君という人は・。」
その声はキョーコの頭上すぐから聞こえ、キョーコはクオンに抱きすくめられて立っているのだと気付く。
「っ、ごめん。」
キョーコから、クオンが慌てたように手を離した。
「え?」
謝るのは自分のほうであろうと、キョーコはクオンを見上げ、彼がその長い指を口に押し当てたのを見て、指を切ったのだと知った。
「だ、大丈夫ですか?」
「大した傷じゃ・・。」
そういいかけて、思いついたかのようにクオンが血の滲んだ指をキョーコの唇に押し当てた。
「傷は、舐めて治す、、よね?」
噛んで含めるような言い方。
押し当てられたところから、血の味が染み込んできて、キョーコは口を開けない。
緊張からこみ上げてきた唾液とクオンの血が混ざって、咥内を満たしてしまうから、、
こくん
キョーコはそれを飲み下した。
その様をクオンがただ愛おしげに見つめている。その視線にキョーコは動く事も侭ならずに、立ち尽くして唇にあてられた指の感触を感じ、まだ止まる事のないクオンの血液を口に含む。
「ね?」
少し首を傾げて、クオンはキョーコにその指の傷を舐めてくれと強請る。
キョーコはそっとクオンの指に舌をあてる。
嬉しそうに微笑んだクオンが、怪我をしなかった方の手で、キョーコの頭を撫でた。
「これならすぐに治る。」
キョーコの唇を撫でるようにして、クオンが指を離し、くるりと背を向ける。
いちいちの行動に、キョーコは不可思議な感覚に陥っていく。まだ口の中に残る血液の味が、感覚を研ぎすましていくのか、それとも、鈍らせているのか、よくわからない。

「どうして、、すぐにって。」

心のざわめきそのままに、キョーコの口が動いた。
クオンは振り返らないまま、そっとキョーコに押し当てた指を見つめている。

「君の傷は、、直ぐに治ったろう?」

ぎくり
キョーコは身を震わせた。
まるで考え込んでいたことをそのまま言い当てられたような気がしたからだ。
ちょっとした手の切り傷なら、そっと舐めてしまうことはキョーコにもある。けれど、それは、あくまで自分に対しての応急処置で、、他人においそれと為すものではない。

「直ぐって?」
キョーコの口が動き続ける。
「見てみるかい?」
ニコリとクオンがキョーコを振り返った。
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