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Shinkai-gyo22

いやもう、久々すぎてすみません!!
どんな話だっけ?はこちらへ→解説と目次


ふわりふわり
浮上する感覚
ずうんずうん
深く潜る感覚
どちらも、足元が覚束ない不安

そう、足元
身体には足がある
地面を踏みしめる足が
ある


【Shi N Kai Gyo】


「どこから、説明しようか?」
蓮はキョーコの手を離そうとしない。ベッドカバーを身体に巻き付けて、キョーコは蓮についてベッドを降りようとした。
かくん
関節にうまく力が入らなくて、キョーコは蓮に抱きついた。
「・・ごめん。」
キョーコを受け止めて蓮が、少し照れたようにそう呟いた。
「え?」
「・・その、歩きづらいと思うから、、」
軽々と蓮はキョーコの身体を抱き上げる。キョーコの着替えの入った鞄はそこに見えているのに、その数歩でさえ、蓮はキョーコから離れたくないらしい。つまり、ベッドにキョーコを残して、その数歩で鞄を取ってくるという事すらしたくないから、キョーコを抱いて鞄の前に移動したということ。
「手を離していただかないと、、服を着れません。ていうか、今後の生活が。」
「そうなんだけど、、あれは、本当にきついんだ。」
少し俯き加減で蓮が口にした内容に、キョーコは頬を染める。
身体をかわした直後に、相手が消えてしまうなんて。
忽然と消えたというより攫う相手がいたのだけれど。
「おかあさん」
蓮はあの時のキョーコの呼びかけを思い出す。
その呼びかけは、普通の状態でもあまり歓迎したくない状況でもあるだろう。同意の上、遊びでなくても、事後を親にしかも相手の親に見られたくはない。ただあの時、その彼女の「親」は何を責めるでもなく、彼女を常識では考えられない連れ去り方をしたのだったけれど。

まるで着せ替え人形のように、キョーコに蓮は服を着せる。自分はボクサーパンツ1枚といういでたちだというのに。
「こんなの恥ずかしいです。」
「俺は、、嬉しいけど。」
大きな手が器用に小さなボタンを嵌めていく。肌をかする掌の熱も一緒に。
「あの、、ドレスの人、、本当に君の母親、なの?」
びくっ
キョーコが身体を縮込ませる。
「・・・よくはわからないんですけど、、たぶん母なんです。」
「?」
蓮は首を少し傾けてキョーコを覗き込む。
「あの、例の暗闇の夢にでてきてたんです。」
ブラウスにスカート、そこまで着て身体を覆うと、キョーコは少し平静になってきたようだった。ただ、そうなるといっそう、ほぼ全裸な蓮を見るのが、恥ずかしい気持ちにもなるのだが。
「こんなこと、聞いていいのかわからないけど、、ご両親はご存命?」
「・・・父はわかりませんが、、母は存命です。」
キョーコはぽつりとそういって、床に視線を落とす。
「そう。」
蓮は相槌のように短く返事をして、再びキョーコを抱き上げた。
「喉乾いたよね?」
「・・ですけど、その前に、蓮さんも服着て下さい。」
「あ、、そうか、、そうだね。」
くすっ
大事を前にしているのに、なにか心が軽いのは、こうしてキョーコを抱いているせいだと蓮は自覚する。ベッドからキョーコが消えて、捜し方もわからず闇雲に姿を求めていた1週間。
『暗闇の夢をみるんです。』
ひょんなことからキョーコの言葉が蘇って、眠って夢を手繰った。
・・・マーキング
社長の言った意味を、そこで実感したのだ。
暗闇の、視界のきかない筈の漆黒の世界に、かすかに光る粒子。それが「自分」に関わるものだから「感じる事ができる」のがわかる。粒子が濃くなれば、そこにキョーコの手懸かりがある筈。ただその存在を求めて、近くにいると信じて漆黒の闇を抱きしめる。それは虚空を抱きしめるようで、自慰に似て虚しいようでもあったけれど、キョーコに伸ばした手はちゃんとキョーコを引き寄せた。
蓮はそうっと抱き上げたキョーコに口づける。

服を着て並んで、片手を繋いだまま、キッチンに立ち、蓮は困ったように冷蔵庫を見た。
「水道は使わない方がいいと思うんだ。」
「でも、水は水道でしか手に入りませんよ?」
冷蔵庫に買い置きのミネラルウォーターはなかった。というより、冷蔵庫は空だったのだ。
「買い物に行きますか?」
「そうだね。どこかで食べよう。」
「外、出ていいんですよね?」
「うん、太陽がでているから、大丈夫だ。」
くす
今度はキョーコが笑った。
「なんだか、不思議です。」
「そうだね。」
「モデルさんだから、日焼けとか気にしないといけないんじゃないですか?」
「女性と違うから、そこは大丈夫だよ。そもそも、真夏じゃない。」
「水と、影をさけて歩くなんて。」
着替えながら、蓮は「闇」のあらましをキョーコに説明していた。海底から地上にエサを求めて浮上してくる「闇のモノ」。彼等は暗い海底に棲むモノだから、水によくなじみ、闇に馴染む。
下水、水道。連続する水にのって移動するから、キョーコを欲しがっている連中はそこからやってくるに違いないのだ。
「ごめんね、君が闇に飲み込まれない為には、たぶんその方がいいんだ。」
「たぶん?」
キョーコが怪訝そうに蓮を見上げる。
「というか、、もう、歩ける?」
こほん
小さく蓮が咳払いした。
「・・・ゆっくり、なら。」
ベッドで生まれたての子鹿みたいになってしまったキョーコも、着替えて身体を動かすうちに、なんとなく身体がほぐれてきていた。
「この下にいい公園があるんだ。自動販売機もあったから、ゆっくり散歩しながらにしようか。」
蓮が窓の外を眺める。
キョーコは微笑んだ。
日中の公園を好きな人と手を繋いで歩く。
どんな状況下であれ、何かそれはとても幸せな事に思えた。

「・・そう。」
缶コーヒーを手にして、二人は並んで公園のベンチに座っていた。
キョーコの母が仕事に懸命で、キョーコを構ってこなかった事。母のつてで小さい頃に不破の家に預けられたこと。父については一切きいた事がない事。
蓮の両親は他国に棲んでいて、ハンターという能力ゆえに疎遠になっている事。そして、仕事。モデルは隠れ蓑で、本業はそのハンターであり、「社長」が身許引受人であり、雇い主であること。
「あの事務所には半分ぐらいハンターがいるらしいよ。」
「ええ?」
息継ぎのように、深刻な自分たちの状況とは少し離れた話を交える。
「東京は、、テレビ局とかスタジオとかは、臨海地帯にあるよね?海から近すぎるんだ。」
「人も闇のモノも、東京を目指してくるんですね?」
「うん、そうだね。東京だけじゃない、主たる世界の都市は海に近いね。」
「海上の流通ですね。」
「そう、大河もそう。だから、人が集まるところには、闇ができるし、ヤツらは入り込みやすい。」
ぎゅうっとキョーコが膝に置いた缶を強く握る。片手は、蓮の大きな手に絡めたままだ。
「あのマンションは、、高層だから、、上昇には圧がかかるから、ヤツらが侵入しづらい筈だったんだよ。」
話がまた、自分たちに戻った。

いつまでも手を繋いでいるわけにはいかない。
いつまでも逃げているわけにはいかない。
二人はどうするのが今後に繋がるのか、それを見つけようとして、話し続けた。
また、夜はやってくるのだ。

「シャワーも使いたいし、、ね。」
「ご飯も作りたいです。」
ほんの少し、違う願望だったけれど、、根本に違いはなかった。

二人で
一緒に
望む未来を
掴むのだ。と。




******
おわ、危うくendって書きそうになりました。
でも、、気持ち的に、第一部 完って感じです。小難しい設定だろうが、何だろうが、ベタベタいちゃいちゃしながらなんとかしちゃうであろう、蓮さんキョーコさんだと思うんですよね〜
ただ、なんとかこの手繋ぎから二人を解放しないといけないので!





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