スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

領主の城-4

さて、こっちが来ましたが、また説明の回です・・・






4・探索

夜があければ、今まで通り。
あれは夢だったのだと、キョーコは思う。できてしまった筈の靴擦れは、痕跡もない。ドレスも何もかも手元には残ってはいない。現実的ではない出来事の連続。
だから、あれは夢だったというのが、理性的な判断だとキョーコは思う。
ただ、キョーコはショーの機嫌を伺う事をやめた。夢でみた世界とはいえ、とりまく世界が広いことを知ったからだ。いつか素敵な王子様が、、そんな期待は安易だと思うようになったけれど、やるべき事が見つかったような気がしたのだ。
自分のために街に出かけ買い物を楽しみ、身綺麗にすることに愉しみを見出した。料理も夢を思い出して顔が火照るけれど、それが何か楽しくてオリーブ漬けを随分と作った。

街にいけば噂が耳に入る。夫人譲りの金髪のはずのクオン様が黒い髪をしていたとヒソヒソと噂されていた。別人か、そうでなければ領主様にかけられた呪いなのだとか、領主様は元々、人ではないのだとか。
、、、黒い髪、黒い瞳。
キョーコは夢の中で踊った長身の青年を思い出した。お互いに名乗ることもなく、ただ踊り・・別れた。そして、夢とはいえ迂闊なことにあの舞踏会の主役の顔を知らなかった事に愕然とする。だから、やはりあれは夢で幻だったのだ。キョーコは首を振る。
ただ、、御守りの碧い石を失くしてしまったのは、どうしても理解できないけれど。
あれは夢、夢のお話だったのだ。誰一人として、舞踏会でキョーコを見かけたと言わなかったのだから。

「人を捜している。」
お屋敷に領主の城の者だと名乗る男が尋ねてきた。取り次いだキョーコは、その人が「夢」にでてきた青年の従者にそっくりだと驚く。まさか・・・
「舞踏会で、クオン様と踊っていた女性を探しているんです。」
身なりの良いその男は、夫人にそう切り出した。
「キョーコは舞踏会へ行っておりません!」
夫人は質問を聞くなりきっぱりと答えてしまった。男はじろりと夫人を睨めつけた。
「それは、領主の要望に従わなかったと、、いうことですか?」
舞踏会には近隣の乙女は全て招待ということだった。
「ええ、そうです。私はキョーコの母親から、城へは行かせてはならないと頼まれたのですから。」
「えっ?!」
夫人の後ろで聞いていたキョーコまでもが驚いて声をあげてしまった。
「如何してかは存じません。ただそれだけを守れば、我が家は安泰なのだと云われたんです!」
「領主に逆らうような依頼をどうしてうけたんです?」
「逆らってなどおりません、ただ、娘を預かり、城にさえ行かせなければいいだけだったのです。・・・ドレスの用意が出来ない家もありましたでしょうに。まして、舞踏会のことなど予想して預かった訳ではおりませんでした。」
夫人はオロオロとしながらもきっぱりと答えた。男との間に沈黙が流れる。
『領主一族は人ではない』
そのまことしやかに囁かれ続ける噂。この地域一帯が潤っているから問題視されなかった事柄。領主に反発するものが悪意を持って流した噂ではなく、ただ、何か普通の人とは異なると市井の人々が思っているという事実。
「わかりました。ただ、私も仕事です。そちらのお嬢さんに確認したうえで、報告をあげなくてはいけません。ですから、行かなかったとは聞かなかったことにします。」
「確認・ですか?」
「ええ、ちょっとした確認ですよ。」
男は携えていた包みを開いた。
「この靴を履いていただけませんか?」
キョーコは眼を見張った。薄いピンクのドレスにあわせた白い靴。ただ、あれはジェリーの魔法の靴。12時になったら、消えてしまう靴だったはずだ。
・・・だから、あれは夢でみただけだもの。
「さあ」
男が靴を広げた布の上に置くと、キョーコを促した。キョーコはたじろぐ。今履いている靴下は少し厚手のもので、夢の時とは違う。何故かこの靴を履けないであろう自分が悲しかった。
!!
居合わせた人が誰しも眼を疑った。キョーコの足の為にあつらえたかのように、しっくりと靴が馴染んでいた。
「これは困りました。」
男が云う。
「履いていたはずのない、あなたにぴったりだとは。」
「・・・・きっと厚手の靴下を履いているから、、です。」
キョーコは嬉しいのに、自分の靴だとは云えなかった。母がお城へ行かせるなと云ったという夫人の言葉が思考を遮ったのだ。
男が首を振る。
「これは、魔女が作った靴。他の誰も履く事ができない靴なんですよ。」
「どうしてっ!?」
真っ青になった夫人が悲鳴のように叫んだ。
「キョーコちゃんがお城に行ける筈がないのに!」
キョーコはぎゅっと両手を握りしめる。そう、行く馬車も馬もキョーコにはなかった。用意してくれたのは「魔女」。それを、告げるべきなんだろうか。そして、、あれが、夢ではなくて。あの青年がクオン様で?!かぁぁっと別れる間際の事が浮かんでキョーコは頬を染めた。
・・・あんな破廉恥なコト。
男がそっとキョーコに微笑みかけた。まるで、キョーコの事情を察して慰めるような微笑みだった。
「クオン様がお会いになりたいとおっしゃられています。来て頂けますね?」
「だめ、ダメよ、キョーコちゃん。それは約束を違えてしまう!!」
「・・・・ごめんなさい。」
あれが夢ではないならば、もう既に「約束」は破られているのだ。母が一体何者で、何を予測したのかはわからない。
・・ただ、お城に行けばその理由がわかるような気がした。
自分は何処から来て、どこへ向かうのがよいのか。自分について知りたいと、キョーコは思った。そして、、失くしてしまった碧い石を捜せる機会を逃したくなかった。



*****
ええ、童話ならこれでめでたしめでたしですけどね〜
こっからが妄想しどころでしょうっ!!!


関連記事
web拍手 by FC2

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

message
場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
最新記事
counter
カテゴリ
flyaway news twitter
ブログとHPの更新状況とちょっと呟き フォローはご自由にどうぞ!(フォロー返しはあまりないかも)
Link
上部のサイト様は相互リンクいただいてます。 マナー携帯でご訪問くださいませ。 下部のサイト様は大好きサイト様で、リンクフリーに甘えさせていただいてます!!
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。