スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

Shinkai-gyo20

解説と目次



冷たくて暗い奈落の底。
動かなければ凍りついてしまいそうだ。
寒くて
寒くてたまらない。

[Shi・N・Kai・Gyo]

びかっ
強烈な光の刺激に蓮は身体を引き攣らせた。
「蓮!」
その声に、眼を開ける。
「おい?」
蓮の眼前には、眉を顰めた社長の顔ががあった。その後ろにミスウッズの姿も見える。
「・・・・」
蓮はどう答えて良いのかもわからない。自室の見慣れた景色にそぐわない二人がいる。医者と看護師という白衣のそのいでたちが胡散臭さをいっそう際立てていた。
ちゃり
身体を起こそうとして、手の中にあったものに気づいた。
・・・・ペンダント。
そこに視線を落とさず、ただ感触だけを確かめる。
・・・・キョーコの眼から落ちたと思ったのは、涙型の宝石。
「最上君が消えた。」
社長がぽつりと、それでも蓮を凝視しながら言った。
「驚かないのか?」
蓮はぐっと手の中の宝石を握りしめた。目の前で繰り広げられた光景をただ、眺めているしかできなかったことが、気力を損ねている。身体が嫌に重い。
・・・彼女は闇の花嫁じゃない、、花嫁の・・・娘。
「おかあさん」
キョーコの言葉が、蓮の頭に響く。自分に親がいるように彼女にも親がいるのだ。その当たり前のことが、なにか奇妙な感覚を呼び覚ます。
「・・手を出すなと、言った筈だ。」
社長が蓮の思索を遮った。蓮は社長の眼をじっと見据える。キョーコの事を社長が自分以上に知っているのかと、何か腹立たしい気持ちになった。
「彼女は・・・生まれついての、堕天子(だてんし)だ。」
「は?」
突拍子もない言葉に、蓮は眼を見開いた。
「天界生まれじゃねぇんだ。堕ちたのは、両親が理由であって彼女にはない。・・・・お前みたいに天界から堕ちてきた奴の娘なんだよ、あの子は。」
はぁと社長が大きく息を吐いた。
「だから、俺は手を出すな、と言ったろう?逆ギレしやがって。」
「逆ギレって。」
「彼女の正体も、置かれている”困った状況”も、お前は見ようとしなかっただろう?」
ぎゅぅっとペンダントを握りしめて、蓮は俯く。
「テンが言ったろう?相談しろ、と。そうしたら、俺は彼女の正体を話してやれたんだ。闇の花嫁は、理由なく選ばれるわけじゃないからな。」
・・・・あの子はあんなに闇を怖れていたのに。
「お前は一度は闇を見たんだろう?彼処がどんなところか、、お前は知っているよな?」
重い沈黙が寝室を覆った。
「彼女は・・・堕ちてしまったんです、か?」
引き絞られるような思いで、蓮はその言葉を口にのせた。語尾を、疑問形に替えたのは、せめてもの希望を持ちたかったからだ。

「堕ちちゃいねーよ。」
けっ
社長の言い方は素っ気ないが、なにか暖かいものを含んでいた。その言葉に、蓮の心臓がゆっくりと血液を送り始める。

垣間見えた故郷。
彼女の背に見えた羽根。
総ての辻褄・・・
お互いに知らないところで繋がっていたもの。
深海に堕ちて、闇のものになりかけた自分と、ずっとそれを拒み続けていたキョーコ。
・・・浄められた気がする。
キョーコの言葉は、そう、蓮にも同じだったのだ。
彼女となら、生きていける。
真っ黒に盤上を塞いでいく駒が白く翻る、あのゲームのビジョンが浮かぶ。
キョーコといると黒く染まりそうな想いが、白く明るいものに置き換わる。

「どうしたい?」
社長がキッチンから持ってきたのであろう椅子にどんと腰を落ち着けて、蓮を見た。ミス.ウッズが心配そうに見つめているのも見える。
「俺は・・彼女が・・いないと。」
「じゃ、お前が連れ戻せ。」
ニッ
口元を歪めて社長が言い放った。
「悪いな、俺がわかるのは、最上君が深海に堕ちきってないことだけだ。・・・だいたい、お前が勝手にマーキングしやがったからな。」
かあっ
羞恥ともなんとも言い難い想いに蓮は顔に熱をあげる。
「・・けどな、そのせいでアチラさんは迎えに来れたんだ。」
新月でもない月のある夜に、地上から高く離れたこの部屋に昇るのは「力」がいる。
「バスルームから此処までは浄化したけど。」
むすっとした調子でミス.ウッズが云った。彼女が社長と一緒に来たのはそのためだろう。
「お前が地上に降りたとたんに、奴らが接触してくるだろうな。」
「?」
社長のその説明が、蓮には理解できなかった。
「まさか、「闇の花嫁」の意味がわかってなかったのか?」
蓮はぐぅっと言葉に詰まった。社長が天を仰ぐ。

「深海魚の生態?」
ミス.ウッズがタブレットの画面を蓮に示した。私も知らなかったのよ。そう彼女が付け加えた。
「雌は雄を、身体に取り込むのよ。」
その身体から歪に飛び出した突起は、その魚が取り込んだ雄の痕跡。
「闇の花嫁はそういう存在になるってこと。」
蓮は画面を見つめる。昏い海の中、たゆたう魚のその身体。
「・・・お前、それでもいい、って思ったか?」
低い社長の声。
生きている限りずっと共にある、歓びも哀しみも常に同じくする。それは、理想的な姿ではないのか?
「二個体で生き続けるわけじゃない、一個体になっちまうんだ。」
吐き捨てるような言い方に、蓮は顔を社長にむけた。
それはチガウ
キョーコがキョーコであるからこそ、欲しい。一緒にいて欲しい。
「どうしたら・・・。」
「お前はどうやって、此処に戻ってきた?」
「それは、、貴方が手を差し出して・・・」
蓮はそこまで言いかけて、社長を見る。その貌に浮かんでいたのは優しい慈愛に満ちた笑み。

「”両親"から、解き放ってやれ。お前にしか出来ない事だ。」



*****
やはりコメントの力は絶大ですね。書き綴りの燃料がハイオクになったので(笑)夜中飛ばしてしまいましたよ〜
ちょび様、も★ぷ様、genki様〜ありがとうございます!
心臓に悪いあれは、まだ解決してませんけど、少し落ち着いて続きをお待ちいただけそうでしょうか?

社長、設定を全部説明しちゃいましたね・・・(筆力不足を嘆きたい〜)


・余談・
堕天使じゃなくて堕天子と表現してます。天界の子供という意味で。天使は神のお使いですものね、、。
闇VS光であっても、神様のお話ではないのです。
深海の魚と空の鳥というような位置づけ(苦笑)
ああ、面倒くさい説明をごめんなさい〜


関連記事
web拍手 by FC2

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

message
場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
最新記事
counter
カテゴリ
flyaway news twitter
ブログとHPの更新状況とちょっと呟き フォローはご自由にどうぞ!(フォロー返しはあまりないかも)
Link
上部のサイト様は相互リンクいただいてます。 マナー携帯でご訪問くださいませ。 下部のサイト様は大好きサイト様で、リンクフリーに甘えさせていただいてます!!
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。