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領主の城-2

更新できないかもの中、メモで書き溜めたもの放出!!
パラレルです。
途中からえらくエログロ(またかよ!)になっちゃうので、そちらは隠し部屋に行きます〜



2・遭遇

「どうして、私のことがわかったんですか?」
白く光る馬車の中でキョーコはジェリーに尋ねる。領内は広く、乙女の数は多い筈なのだ。
「まぁ、それはあたしが魔女だからでしょうね。」
ジェリーはふふふと笑った。
「そぉねぇ、あんなに哀しそうにドレス姿を鏡に映したからってことにしましょうか。」
「鏡・・・」
「そう、魔法の鏡ね。」
キョーコはその言葉に微笑んだ。
馬車の窓から、夜景でもお城は白く輝いて見えた。どんどんと近くなれば、木立にさえぎられてみえなくなってしまう。
「きっと素敵な夜になるわ。」
ジェリーはそう言って、キョーコを舞踏会の開かれているお城の大広間の手前にまでいざなった。
「あたしはまだやることがあるから、ここでね。楽しんでいらっしゃい。・・・そうだった!肝心な事を忘れてたわ!」
「帰るつもりがあるなら、今夜12時までに馬車を降りたところにいらっしゃい。それに遅れたら、もう帰してあげられないの。・・魔法がとけてしまう。」
キョーコはジェリーが指差した壁の時計を見上げる。あと5時間ある。舞踏会は夜通し続くと、夫人が云っていたことを思い出し、その途中に抜け出ることになるのかと、キョーコは少し残念な気もした。
「までにというのは?」
「キョーコちゃんが来たら、すぐに行くわ。12時までならいつでも、ということ。」
ジェリーの言葉にキョーコは大きく頷いた。
「さ、いっていらっしゃい。」
薄い桃色の生地を重ねてふうわりと広がるドレスをそっと持ち上げて、キョーコは階段を上る。

大きな両開きの扉のむこうは、煌びやかな世界。
着飾った人々、流れる音楽、溢れる灯り。
ひときわキョーコの眼を引いたのは、上座に座るご領主夫妻だった。仲睦まじく何事か囁き合う姿は、まるで大好きなお話の王様とお妃様のよう。お妃様の光り輝く金の髪とそれにあわせた髪飾りはきっと、王様のお見立てなんだろうなぁ、、キョーコはうっとりとその想像の世界に浸って立ち尽くしていた。
音楽に合わせ踊る人々は中央に、それを囲むように談笑する人々の手にはグラスがある。広間の脇には所々小さなテーブルが置かれ、広いバルコニーに近いところには夜通しというだけあって、軽食が摘めるように料理が並べられていた。
・・・想像していたより、ずっとすてき。
キョーコは踊る人々を眺めながら、壁沿いにバルコニーを目指した。お城の広間からどんな景色が見えるのか、胸が弾んでしまったのだ。森のむこうに、キョーコたちの村が見えるのだろうかと。音楽にあわせてステップを踏むように人ごみをすり抜け、バルコニーに出た。
「わぁ。」
眼下にひろがる眺望にキョーコは声を漏らした。深い森は黒々と横たわるけれど、その先に暖かい灯りがぽつりぽつりと広がっている。夜景だから、はっきりと何処というふうにはわからないけれど、大きく広がる視野が心を解放する。
「ジェリーさんに感謝しなくちゃ。」
どうにもならない虚しさや悔しさが、ちっぽけなことのようにも思える。キョーコの生活拠点であるお屋敷は広いようでいて、ここからではあるかどうか、わからないような点のひとつ。そこが世界の全てではないのだと思った。
「・・・いつか見返してみせる。」
小さく呟いた。それがどんな形なのかわからないけれど、誰かに気に入ってもらおうとすることだけを生活の全てにすることはやめようとキョーコは決めたのだった。

「少しは何か食べて下さい。」
後ろの方から困ったような声が聞こえ、キョーコは耳をそばだてた。振り返って広間に戻るタイミングには都合の悪そうな話題に思えた。
「腹が空いてないんだ。」
低く印象的な男性の声。
「ええ、存知あげていますよ、詰め込むんで構いませんから。」
溜め息混じりのその声も男性のものだ。きっと身分の高い男性とその従者というところなのだろう。
「詰め込んだりしたら、踊れない。」
「では、踊って少しお腹を軽くなさっておいで下さい。」
キョーコは笑いを漏らしそうになって、その会話の主達に背中を向けたまま、少し俯いた。
「誰と踊れというんだ。」
「腹がいっぱいでは踊れないとおっしゃったのは、あなた様ですよ。」
その主従の会話は駄々をこねた子供をあやす母親のようだ。
「・・・・・。」
反論を返さなくて沈黙が訪れたから、キョーコは二人が料理の前に移動したかと思い、振り向いた。
あ。
随分と背の高い青年と眼があってしまう。眼にすこし被る程の長さのさらさらした黒髪に、通った鼻筋、冷ややかな視線。いたたまれずにキョーコは視線を逸らせたが、その視線は青年に従う男性にぶつかった。彼の主人よりは明るい髪色のその人は柔らかく微笑んだ。
「立ち聞きとは、はしたない。」
青年の声にキョーコはむっとして、視線を青年に戻す。
「聞こうとしていたわけではありません。」
「会話を笑っただろう?」
青年の形の良い眉が片方だけ、ぴくりと上がったようにキョーコには見えた。
「笑ってなどいません。」
「そうか、、君はひとりか?」
キョーコはあまりに不躾な質問だとむくれたが、なんとか顔に出す事はこらえた。身分の高さで人をはかるような態度にいちいち腹を立てるのは無駄なことだ。
「ああ、そうか・・・話を聞いていたなら、察して欲しいんだが、踊ってもらえないか?」
「は?」
キョーコは呆気にとられて青年を見上げたが、青年はにっこりと微笑んで手を差し出した。すっと自然に手をキョーコは重ねてしまった。ジェリーが用意してくれたシルクのグローブ越しに、青年の大きな掌の感触が伝わって、どきりとする。
手を取られて、あっという間に広間の踊りの波に飲まれた。
そっと廻された腕に身体を取られて、キョーコは青年に音楽に身を委ねる。夢みたことはあっても、ちゃんと踊った事などキョーコにはない。それでも青年が軽々とキョーコを踊らせる。
まるで何かに包み込まれているみたいで、安心していられて、何か楽しくなっていた。
「回って。」
耳許に囁かれて、すっと身体を支えてくれていた腕が離れて、重ねていた手が上に少し引き上げられた。
くるり
何かの花のようなドレスの裾がひらめくのをキョーコは視界の隅にみとめて、嬉しくて頬を染める。
ぽすん
再び青年の腕の中に抱きとめられて、またいっそうその薫りに酔いそうになった。
「こんなふうに踊るのは悪くない。」
見つめる瞳が優しくて、キョーコはほんのりと頬を染めた。



*****
はい、まだまだおとぎ話の中でございますよ〜
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