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Shinkai-gyo15

解説と目次





眩い光が作る濃く深い影

光に吸い寄せられて、
光の眩さに、
眼が、眩む。

眩んだ眼が見る世界は
昏く歪んだ闇


【Shi・N・Kai・Gyo】


キョーコは手にしたカードキーを見つめ、そして、目の前の建物を見上げた。
エントランスは「おいで」と云わんばかりに、両脇に枝を広げた木々を配置して、ガラスの扉の向こうを透かしてみせている。
昨日は、地下の駐車場から入ったから、このエントランスを見ていなかった。
着替えもないから、早朝に「家」に戻って、、、
キョーコは貌を赧める。
「奏江が戻るまでは、こっちのほうが安全だと思うから。」
朝、蓮に手渡されたカードキー。
・・安全。
たしかにこちらのほうがセキュリティーがしっかりしていそうだ、とキョーコは思う。でも、奏江がいたってこのマンションのほうが安全だろう。
左肩に下げたボストンバックの重みを感じて、キョーコはぐっと一歩を踏み出した。
そう、何か引っかかるものを感じながらも、蓮に云われた通り、着替えを詰め込んで、このマンションにキョーコは来たのだから。
すっ
音も無く開くドア。
吸い込まれるように、キョーコはマンションに入った。


「ただいま。」
その蓮の声に、キョーコは慌てて振り返った。
ドアの音が静かなのは判っていたが、この大きな人の気配にまったく気付かずに料理をしていたことに。
「お、おかえりなさい。」
ぽふ
肩を包まれて、ハグされる。その胸の感触に、キョーコはまたカッと身体の熱をあげる。
じゅぅぅ
フライパンの上で調理中のものが、音をたてたそのタイミングで、その腕から逃れようとしたキョーコは、ぐっとさらに蓮に包み込まれた。蓮が手を伸ばしてコンロの火を止めたのだと、カチリという小さな音で気付いた。
「あの、、」
キョーコが見上げても、蓮の表情が見えない。見えるのはくっきりとした喉仏に案外骨太な顎のラインだけ。
「いいにおいがする。」
自分の髪に顔を埋めた蓮がそう囁いた。
「お腹、空いているんですよね?」
「、、すぐ食べたい。」
背にあった蓮の手がするりと下がって、キョーコのスカートを手繰った。
びくり
声よりも先にキョーコの身体が反応した。
「なっ、何言ってるんですか。」
もぞ
キョーコが後じさり距離をあけようとすれば、蓮はいっそう強くキョーコを抱きすくめる。

ビーッビーッビーッ ビーッビーッビーッ

無粋な電子音が鳴り響いた。
ぴたりと動きの止まった二人の視線がリビングに向く。
するり
キョーコが蓮の腕をすり抜けた。鳴っているのはキョーコの携帯電話。その音量が大きくて、キョーコは慌てたように鞄を広げる。警告音のようなそれに、キョーコはただ慌てた。
・・・だれ?!
滅多に使うことのない携帯電話。奏江からの連絡を気付き損ねたりで、音量を大きく設定していたのだが、奏江からなら、会社からなら、ちゃんとメロディーが設定してある。だから、これはそれ以外の着信を知らせる音。

ビーッビーッビーッ ビーッビーッビーッ ビーッビーッビーッ

慌てたキョーコの手の先でヒステリックに音を響かせるパールピンクの金属の固まり。
すっと後ろから伸びた大きな手がそれを掴んだ。

しぃん
瞬間の静寂。

『おい、お前何やってんだよ!』

携帯から響いた声。
振り返ったキョーコの眼にうつった蓮の眼は、碧色に鈍く光った。
ごとん
絨毯に投げ出された携帯が鈍い音をたてる。

『おい、キョーコ、返事ぐらいしろよ!』

「ひぁっ。」
掴まれる腕。
覆い被さる大きな、身体。
キョーコを射竦める碧色の瞳。
「・・・返事、どうする?」
組み敷かれた絨毯の上。

『おいっ!大丈夫なのかよ!おい、キョーコ!』

携帯から喚き立てる声。
・・なんでこんな時に電話なんか。
キョーコの瞳は近寄ってくる蓮の貌だけを追っている。
鈍く光る瞳が細められて、キョーコの胸元が暴かれる。
ピンク色の涙型の宝石が、そこに光った。

『キョーコっ?!』
わめき続ける携帯に蓮が手を伸ばす。
「戻らないと言ったろう?」
その声は重なった腹部からキョーコに伝わる。
・・・「戻らない」と言った?誰に、それは。
どくん・ドクン
キョーコの心臓が大きく動いて血液を送り出す。
・・・携帯の声は、ショーちゃんだ。蓮さんは、ショーちゃんを知っている?
ショーちゃんはミュージシャン。蓮さんはモデル。
ジャンルが違えど、どこかで面識があるのかもしれない。でも、、
・・俺の事務所じゃなくてさぁ、ライバル事務所とかに行けよ。そっちで売れてるミュージシャンの情報とか、それのほうがありがてぇな。
ショーちゃんの興味は同じジャンルのミュージシャンであって。モデルではない。
それ以前に、「戻らない。」とは、一体何が?

『なっ、誰だお前?!』
「このまま、聞かせておく?」
携帯を翳して、蓮がキョーコを見つめた。
「聞かせるって、、」
「君の・・・声。」
ちゅぅ
耳朶を含んで吸う音。
びくびくと震えてしまう躯。キョーコは漏れ出てしまう声を堪えた。
閉じた瞼の奥は昏い昏い、あの悪夢の闇。
包み込まれてしまう、呑み込まれてしまう暗闇。
ただそこに、キラリと光るものが浮いて近寄ってくる。

・・邪魔しないでっ!

突然に溢れ出した感情。
どこに叫びたいのかわからない衝動が、身体を駆け抜けて、手を伸ばす。

身体に絡み付いた力強い腕に手を添える。
その手の感触に、キョーコを覆う身体が痺れたかのように身じろぐ。
キョーコはそのまま、蓮の身体を転がすようにして上になると、その貌を両手で包んだ。
そして、ゆっくりと顔を寄せて、唇を奪う。

・・・ホシイ

暗闇に呑み込まれながら、その掌に掴んだ煌めく雫。
それをキョーコは両手で包み込んで抱く。

・・・ハナサナイ

そっと差し入れた舌が引きずり込まれて、身体を痺れさせる。吸われて吸って、
はぁふ
潜水から上がるように、キョーコが身体を反らせて呼吸をしたとき。
ちゃり
ピンク色の雫が、蓮の胸に落ちた。

ーー乾いた大地に注ぐ慈愛の涙ーー




*****
松が出てきた6話を限定にしてしまったので、、わからない方も多いかも。
なので、[6B]という限定シーンを削ったバージョン(要は絡みを削除しただけ)をあげましたので、ご参照ください。

今回は黒の息吹を思い出しつつ。
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