SYNC-2

このお話は33333のキリ番リクエストで、
シンクロ」(←解説と目次に飛びます!)の番外編です。
前話は「SYNC

SYNCはsynchronization(シンクロナイゼーション)の短縮形と辞書にあったので、、そのまま。



「顔を見せて、キョーコ。」

とくん・とくん・
胸にダイレクトに伝わる心音。
ぎゅうぎゅうとしがみつく細い腕。
柔らかい花の薫り。

「厭です。」

胸に押しつけられた顔が声を発するから、少しくすぐったい。
そっと抱きすくめた腕を解いて、久遠はキョーコの黒い髪を撫でた。
・・・栗色に染めてはいないんだな。
久遠が思ったのは、そこで。
いつかの、、河原で出逢った少女のツインテールを思い出す。
あの時、、自分も黒髪に染めることなどなかったし、瞳の色を隠すこともなかった。
・再開・
再度出逢って、始める物語。
・やりなおすんじゃなくて、、再び、始めるんだ。

「君の顔を見たいんだ。」

頑固に俯く小さな頭の顎にそっと手をかける。
ぐっと顎に力が入るけれど。

「意地悪だね。」
久遠は瞼を唇をぎゅっと閉じたキョーコの顔に苦笑をもらす。
真っ赤になった頬に滲んだ黒いアイライン。涙の痕跡。

そうっと顔を寄せて、唇を重ねた。
愛しい存在に。
触れた柔らかくて暖かいもの。

「逢いたかった。」

そっと離した唇に囁くように告げる。
見開いた大きな瞳は、やはり潤んでいて、久遠はその愛おしさに、胸が締め付けられた。

「・・・・。」

キョーコは久遠を見上げたまま、食いしばるような口のまま何も言わない。
ただ、潤んだ眼で、久遠を見つめている。
首を傾げてキョーコを覗き込んだ久遠に、
かくん
唐突にキョーコは項垂れて、小さな声を漏らした。
「ずるい。」
「どうして、君こそ、顔を見せてくれないなんて、酷いよ。」
「、、、涙でぐちゃぐちゃなんて、みっともないのに。」
「そんなことないよ。」

シーン

あまりの静寂に久遠が、顔をあげれば。

ぱぱぱぱぱ〜ん!
鳴らされたクラッカーに、
ぞろりと居並ぶギャラリー。

「久遠」

その中心にいた二人に、久遠ははにかんだ。

「ただいま帰りました。」

「お帰りなさい!」
両腕を伸ばして、抱きついてきたのは、ジュリエナで。
彼女はキョーコごと久遠を抱きすくめた。
その後ろから、クーがやはりはにかむような笑顔で、そっと肩を抱く。
そして、離れ際に、ニッと笑った。
「この後、覚悟しておけよ?」
「え。」
その悪戯っぽい表情は、久遠に嫌な予感を抱かせた。聞こえていた花火、ホームパーティーとは思えない車、花束を抱えていた青年の姿。キョーコが胸に飛び込んでくる直前まで、久遠はその状況を冷静に見ていたというのに。
ふぅっと離れたジュリエナが、ジィっと久遠の貌を見ている。
「、、、背が伸びたのね。」
ぽそり
そして久遠から離した腕をジュリエナはキョーコに絡めた。
「キョーコ、大変!お化粧なおさなくちゃ!」
覗き込んだキョーコの顔にハッとしたようにジュリエナが叫んで、久遠の前からキョーコを攫っていった。
「え。」

懐かしい家。
玄関からの壁の色も建具もそう変わりはない、けれど。
・・・居並ぶギャラリーは、一体誰のゲストなのか?
好奇心満々な笑顔もあれば、、値踏みするような視線もある。
「久遠!」
その声は、トーマスだった。
「トーマス!ありがとう。」
体格の良いトレーナーは日本であった時より、、アメリカ人で。ガバッとハグし快活に笑う。
「ちゃんと元のイイ身体になっただろー」
撮影で窶れた身体を、また元に戻す。それは、キョーコ不在の中、トーマスが煩く指導してくれた結果だった。バンバンというように、久遠の肩を叩いてトーマスが笑って言葉を続ける。
「俺が日本の俳優も指導したんだって言いふらしたらな、その俳優に会いたいっていうから、この騒ぎさ!」
「トーマス、それは「ほら」と言うんだ。」
トーマスの横からクーがちゃちゃを入れる。
「ほらとはなんだ?!俺はちゃんとホームパーティだと言ったんだぞ?」
ハイハイ、そういった態で、クーが肩を竦める。

「その俳優はキョーコのカレシだ、なんて余計なことを言っただろう?」

「余計なこと。」
それは久遠とトーマスが口を揃えて発した言葉。
「余計な事だろう??親子水入らずのパーティーが、この騒ぎだぞ?」
クーがニヤニヤと笑い、久遠はそっと周囲を伺う。
・・・ヒズリの息子じゃなくて、、キョーコの彼氏を、、見定めに来たのか、、、。
「キョーコのカレシ、は事実だろう?クーは認めてないのか?」
トーマスが憮然とする。
「あー、まだ、認めてないね。」
クーがちろりと久遠を見た。
「娘に相応しい男か、俺にはわからないからなぁ〜」

・・・・この人は!

久遠はにっこりとクーに笑みかけた。
「相応しいかどうか、決めるのはキョーコですよ。」
「そりゃそうだろう。勝ち残れよ?久遠。」
ははは
クーが手をひらひらとかざして、奥庭の方へ去っていく。
久遠はそれを眺め、隣に立つトーマスを見た。
「、、、キョーコ争奪戦は、、なかなか凄いぞ?」
「争奪戦って、、、」
「まあ、、ここにきている連中は、キョーコの料理も目当てできてるんだ。、、お前、今、腹は減っているか?」
「朝から食べてはいませんが、、。」
久遠は空腹と争奪戦の一体何が、、と思って、驚いたようにトーマスを見た。
「ああ、大食い競争じゃない、、、ちゃんとキョーコの味がわかるのか?と。」
久遠は、じっとトーマスを見つめる。食べることが苦手な自分を知っているトーマスは、心配しているのだ。別に、ここでわからなかったからといって、「カレシ」でなくなるわけではないが、、沽券にかかわるというか。キョーコにがっかりされたくもない。
久遠のポケットに忍ばせた小箱の角が、胸に当たった。



*****
いきなりの大騒ぎー
頑張れ?






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