Shinkai-gyo12

解説と目次


昏い、暗い、闇の底

漆黒の世界

チラリ

明滅する灯が

ぼうっと
その周辺を紺色に映し出す
そこには何も無いかのように

その紺色の先にあるものが、、何か


【Shi・N・Kai・Gyo】


ちゅ、ちゃくちゅく、

唇と舌がたてる水音が、響く。

んっふっ

切な気な吐息。
そして、また水音が絡み始める。

被さるように重ねた唇を、舐めて、咥えて、なぞる。
薄く張った粘膜同士が伝え合う熱。
カタチを辿り、絡め、擦りよせて、啜る。
溢れだすような液は、少しの粘りをみせて白く泡だって、滴った。

・・・食べられてしまうみたい。
・・・食べ尽くしてしまいたい。

ソファーの背にキョーコの身体が沈んでいく。
大きく上下する胸は、荒くなる呼吸。
息継ぎなしで泳ぐような息苦しさと、その息苦しさが招く酩酊感。

んんっ

喉に近いところまで探る舌に喘いで、身じろいだ身体が、奇妙な感覚を立ち昇らせた。
力が抜けてしまうようなのに、その感覚を求めてしまうような。
キョーコはその不確かさに怯えて、掴んでいた蓮のシャツをさらに握りしめた。

・・・特別な使命・・・

その言葉は蓮の視界を眩くした。
誰かにそう言われたかった。
誰かの特別で、ありたいと願った。
その、願い。

その華奢な躰を抱きすくめて、唇を奪った。
溢れ出した気持ちを
昂ぶった気持ちを
キョーコにわかって欲しかった。

・・・キミはオレのトクベツな存在

触れた肌から
交わす粘膜から
伝わるように。

腕の中で震える躰の、その震えが怯えでないことは、そろそろと絡めてくる舌が教えてくれた。
その拙(つたな)さが、蓮を煽る。
ずる
キョーコの躰が沈む。
中途半端に覆い被さった姿勢のまま、離れることができずに縺れる。
蓮の胸前を握るキョーコの両手を、咥内を貪りながらそっと背に導く。

「はぁっ、はぁっ。」

ぽってりと赤く腫れた唇を薄く開いて、喘ぐ呼吸。
「かわいい、、。」
蓮は小さく呟いて、その柔らかな頰の感触を唇で辿り、赤く染まった耳朶をそっと咥えた。
ひゃっ
小さく上がる声に震える躰。
その震えが蓮の胸にキョーコの躰の膨らみを感じさせた。

・・・ホシイ
・・・コノ子ダ
・・・コノ子ガホシイ

つぅっ
蓮はキョーコの顔から背けた貌を顰めた。
身体の奥底から湧き上がってくる暗黒。

・・・チガウ、ちがう、違うっ!

蓮はゆっくりとキョーコを抱え上げるようにして、躰を起こした。
戸惑うように蓮を見つめる大きな瞳が潤んでいる。

「、、ごめん、乱暴だった、、。」
蓮の言葉にキョーコは小さく首を振った。
「驚きましたけど、、う、。」
キョーコはパッと蓮に回した手を離し口を塞いだ。
「う?」
蓮はキョーコの飲み込もうとした言葉を聞き返す。
真っ赤になったキョーコが首を振る。
蓮はその小さな頭をそっと撫でる。
片腕でキョーコを抱いたまま、蓮は小さく息を吐いた。

・・天(そら)に近いこの部屋ならば、アイツは出てこれないはずなのに。

闇に蠢くものはこの高さを嫌う。
月も星も近くなる高さを。
躰を軋ませる圧の変化を嫌う。
だから、蓮はこの部屋を選んだ。
新月の闇夜にも、耐えうる場所として、必要だった。。

キョーコの肩越しに暗くなった空を蓮は睨む。
窓は暗い夜空を背景に、眼を光らせた黒髪の男をも映し出す。

・・・特別なモノを持つ人は、特別な使命があるんです!

キョーコのその細い背に白い羽根が広がったように蓮には、見えた。
でも
だからこそ
彼女は選ばれた。
・・・闇の花嫁に。
その彼女を
・・・此の世に繋ぎとめるには。

「手を出すんじゃねーぞ。」
突然に蓮の頭に響いた社長の言葉。
・・あの人の発言には意味がある。
・・見ていないからといって、見えていないわけじゃ、ない。
・・まさか、別の人間にキョーコを任せるつもりだった?
ぐらり
蓮の腹底からもたげる暗黒の焔。

・・・コノ子ハ、ワタサナイ。

「今晩は、こっちで眠ろうと思うんだ。」
蓮はキョーコを覗き込む。
キョーコは蓮を見つめ返した。
潤んだ瞳が、蓮の碧色の瞳をジィっと見つめる。
「部屋教えないとね。」
コクン
キョーコは頷いた。
その頷きには、何かを覚悟したような強さが含まれているようで、蓮は微笑む。
蓮はそっとキョーコを助け起こすように立たせると、掴んだ肩を逃さずに、抱えるように歩く。

・・・ワタセナイ。

「廊下は電気点けておくから、」
バスルームにトイレ。
隠れ家というには広いこの部屋の間取り。
「ゲストルームもあるけど、、一緒に眠るよね?」
ぎくん
キョーコの躰が固くなる。
「大丈夫、、酷い事はもう、しない。」
蓮は少しくぐもった声で、そうキョーコに告げた。
「え?」
小さく漏れたその声。
「期待してた?」
ヒクッ
呑み込まれる息。
「先にバス使って。」
蓮はキョーコに言葉を発せさせないまま、バスルームに送り込んだ。
「着替えは、、これでいいよね?」
開けた戸棚から出されたバスローブにキョーコは言葉がでない。
「あ、出てくるまでに、何か見繕っておくから。」
「すみません。」
「いや、泊まるつもりって、言っておけばよかったんだよね、ごめん。」
ちょっと困ったような顔をして、蓮はキョーコを覗き込む。

ぱたん
キョーコをバスルームに送り込んで、蓮は大きく呼吸した。廊下の壁に背を預けて、動悸をおさえるように胸に手をおく。
キョーコから拒絶の色が消えた。重ねた唇の、交えた粘膜の熱さと潤いが、あっけなく飛ばして行ったもの。それを願っていたのに、チラチラと沸き上がってくる、黒く暗い思念。頑丈な箱にしまって重い蓋をして何重にも鎖で掛けたそこから、滲み出してくるもの。
・・護符なんていらないだろう?お前がいるなら。
はぁぁ
蓮はまた深く息を吐く。



*****
す、すいません。限定じゃなくて、大丈夫かなと。
あ、次は、限定です。(もう半分は書けてるので・・)

関連記事
web拍手 by FC2

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

message
場内整備を勉強しておりますが、不行き届きがあって申し訳ありません。何かのご連絡等は<読者様相談窓口>にコメントをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
最新記事
counter
カテゴリ
flyaway news twitter
ブログとHPの更新状況とちょっと呟き フォローはご自由にどうぞ!(フォロー返しはあまりないかも)
Link
上部のサイト様は相互リンクいただいてます。 マナー携帯でご訪問くださいませ。 下部のサイト様は大好きサイト様で、リンクフリーに甘えさせていただいてます!!
検索フォーム