Shinkai-gyo 5

解説と目次

昏く、どこまでも暗い世界
時を知らせる太陽の光は届かず

重い水圧の中、漂う。

灯に飢えるわけじゃない。
ただ、暗闇の中にいれば、それは誰かが居る気配と思えて
それが、敵か味方かわからなくても
存在を確認したくなってしまうのかも知れない。


【Shi・N・Kai・Gyo】


「わかった。気をつけて。」
蓮は携帯を切った。
滅多なことではかけてこない妹からの電話。
はぁぁ
大きく溜息をつく。
一体、妹は時々帰宅できないこの兄をどう思っているのやら。

「私が居ない一ヶ月、キョーコの事頼んだからね!」
「頼むって。」
「おかしな話だけど、兄さんに抱き枕にされてると、悪夢にうなされずに寝れるんですって。詳しいことはわからないけど、嘘つく子じゃないのよ。」
「悪夢にうなされる?」
「内容は知らないけど、、、夜中に起きることがあるのは知ってるわよ。悲鳴上げてるし・・・。」
「悲鳴?」
「確かに兄さんがいるときはないわよ、、、。」
電話の向こうで言い淀んでいる。
「わかった。できるだけ毎晩帰るよ。」
「お願いよ?」
・・・お願いって。
親友を毎晩抱き枕にして良いのか?
チラリとそんな軽口も浮かんだが口にしなかった。
悲鳴をあげるほどの悪夢。
、、、あのネックレスは。
花モチーフのあれは。
蓮はそれを思い出して口を開いた。

「、、それ、例の彼氏は知ってたのかな?」
「知らないでしょ、あんな、クズ。」
奏江の忌々しそうな表情が思い浮かぶほどの、声。
「クズって。」
「ミュージシャンだか何だか知らないけど、女に貢がせる最低野郎よ。」
「ミュージシャン、。」
「それ何の関係があるの?」
「いや、悪夢はその別れた彼氏かと思っただけだよ。」
「あ、そ、そうね。それは、あるかも。」
「名前と、、キョーコさんの元の住所知ってたら、メール、、後で送ってくれないか。」
「へ?」
「あ、いや、いるんだよ、そういうなんていうか、よくわからない事を相談できる人がね。」
「、、、大丈夫なの?そういうのって、、。」
「社長の知り合いだから。」
「あ、そ、なるほどね。」
奏江があっさりと納得する。
「あのクズ、呪うなら大賛成だわ。」
・・・・呪うぐらいならいいんだけど。
蓮はチラリと掠めた笑みを閉じ込める。
どういうわけか、キョーコの彼氏だったというだけで、見たことも会った事もない、その男を敵対視していた。
あんな物で誤魔化そうとしたあたり、最悪だ。
・・あれは鱗でできていた。
きらきらと光を反射して、色を変える、一見綺麗なネックレス。

「ネックレス、落ちていませんでしたか?」
彼女を初めて抱きすくめた翌日、キョーコに尋ねられて蓮はとぼけた。
「見てないけど、、掃除の時とか、気をつけておくね。」
「すみません、、、なくした方が良いものなんだとは思うんですけど。」
「?」
キョーコが苦笑する。
「唯一のプレゼントなんです、、。だから、なくなった方が、いいんですけど。」
「うん、、だったら、探さないほうが、良いね。」
「へ?」
「忘れた方が良いんじゃないかって、思うよ。」
ハッと上がった顔の、大きな瞳が潤んでいた。
・・・・どうしてくれようか。
ギュッ
抱きすくめたくなる衝動をかろうじて堪える。
「、、いつか土下座させてやるんです。」
「土下座、、。」
キョーコの発言に空気が変わった。蓮はくすっと笑う。
「きみは面白いね。」
「、、、面白いって、酷いです!わ、私の20年を愚弄するんですかっ?!」
「20年って。」
奏江が同い年の親友だと言っていた。つまり、彼女は20歳で、、。
「ずっと、いつも一緒だったんです。」
・・・20年も一緒にいた、男が、いる。
蓮は目を潤ませたままのキョーコを見つめた。
「愚弄なんて、してないよ。土下座でいいんだ、優しいね、そう思っただけ。」
「優しい?」
「裏切りの報復は、、。」
そこまで言いかけて蓮は手で口を塞いだ。キョーコがかえって蓮を覗き込む。
「永遠に、その男を赦さない、、事、かな。」
そっとその髪に触れて、撫でる。
「永遠に赦さない、、。」
「うん、姿を追わない、話をしない、、君の視界にソイツをいれなければいい。」
掌に伝わる柔らかい暖かさ。
蓮はキョーコの頭を撫でて、そして、抱きすくめた。
ちらちらと胸を掠めた苛立ちが、溶けて消えていく。

「蓮?」
社が不思議そうに声をかけてきた。
「あ、はい。なんでしょう?」
にやり
社の顔が嗤っていた。
「なんだーいい知らせでもあったのかぁぁ?顔緩めちゃって。」
「え?」
緩めた自覚など、蓮にはなかった。
「おいおいーなんだよぉ〜」
「いや、本当に何でも、、。」
ヴヴ
手にしていた携帯が震え、ランプが点滅した。
、、、メール
送信者は奏江。
「妹から、珍しく頼まれごとをしたので。」
メールの内容を確認して、蓮は苦笑を社に向けた。
社がなんだーという顔になる。
「そういや奏江ちゃんも公演か。」
ん?
社はそう言ってから、じっと蓮を見た。
「まさか、キョーコちゃんとお前、二人っきり?」
「え?あ、、そうですね。」
蓮は改めてしまったと思う。
「ふーん、じゃ、奏江ちゃんが帰ってくるまでは、休業だな。」
「え?」
「女の子一人なんて不用心だろうが!」
蓮は社をじっと見ていた。
女の子一人は、奏江だってそうだったのだ。まあ、他人の家で留守番と、自分の家とでは心細さは違うだろう。ただ、蓮は敢えて反論しなかった。社の協力があれば、キョーコを夜ひとりにすることをしないで済む。
「そうですね。」
「うん、社長にもちゃんと話しておけよ?」
「はい。」
社長に、どこまで話したものか。
蓮は社に返事をしながら、考えていた。
、、、ミス.ウッズにネックレスは見てもらおう。


*****
さくさく進めます。
それでもまだ序章っぽいですよね、、。起承転結の承ぐらいにはなってるんですけど、、
ついてこれてます??
毎度お馴染みのひとりよがり展開ですみませぬー
そして、まあ、次回は限定記事ですよ〜(今書いてますが、生ぬるい感じ・・・・)
折しも限定解除を受付中!←宣伝??
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