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奴がきた! 34

さあ、対決?!




『突然でしたのに、助かりました。』
ジュリエナが通された応接室で立ち上がって、挨拶する。
当然流暢な英語である。
『驚きましたけど、、。』
分厚い黒い革の手帳を手に入ってきた冴菜は、長身の一団を少し見上げるように一瞥してから、久遠の隣に眼を止めた。
その視線を避けるかのように、久遠に身体を寄せたキョーコ。
ぎゅうっと握られる手。

ぽふ
それはキョーコの肩に触れた茶色のもふもふの手。

「ぬいぐるみ・・。」
キョーコの左隣のティディベアに、冴菜の視線が凝固する。
きっちりとまとめられた髪、グレーのワントーンのスーツにあわせたのか血の色を思わせないメイク。
整った顔立ちなだけに、それは一種の能面であって、ジュリエナもクーも久遠もキョーコも、そして、タケシも、冴菜が一体何を感じたのか、わからない。
無表情。
「雑誌の表紙にあなたと写っていたわよね。」
その声のイントネーションもニュースを読み上げるような調子。
質問ともつかぬ冴菜の言葉に、キョーコはただ頷いた。
「はい。そうです。」
「動くのね。」

『動くだけじゃなくて、しゃべるぜ。』
タケシは何か低い声を出した。
『初めまして、弁護士の先生。俺はタケシっていうんだ。』
ぽふぽふぽふ
タケシは冴菜の前に進み出ると、右手を差し出した。

『え、ええ、はじめまして。最上冴菜です。』
冴菜がほんの少し慌てたように、タケシの差し出した手に手を重ねて握手した。
『アンタんちのお嬢さんの件で、今日はきたんだ。』

握手をといた手を冴菜はぎゅっと黒革の手帳に重ねた。
ちらり
視線がキョーコと久遠を掠めて、タケシにもどる。

『アンタ、久遠・ヒズリの弁護をするんだな?』
「は?」
ここで、初めて冴菜が驚いた表情になった。
それでも、それはきちっと閉じられた口がほんの少し開いて、片眉が少しあがったぐらいで、傍目にはたいして変わらない。
ジュリエナとクーは顔を見合わせる。

『わかってないのかな?お嬢さんをかどわかした罪人を、アンタは弁護するんだろ?』

『かどわかした罪人・・』

『ええ、そうね、それでお邪魔したんですよ、最上先生。先生が弁護なさらないなら、彼は強制帰国ということで、アメリカに戻すのですけれど。』
ジュリエナが、眼鏡のフレームを人差し指であげて、冴菜を射るように見つめた。
『わかりました。日本で起きた事ですから、こちらで解決をはかりましょう。』
冴菜の口の端が少しあがって、ほんのささやかだが、柔らかい顔になった。

『先生のお時間はどのぐらい、余裕がありますかな?』
クーが全員に座るように促して言う。
『そうですね、、皆さんにお寿司をおとりするぐらいはできますよ。』
冴菜はそう答えて、応接室にあった電話の内線を押した。
壁の時計は2時をすぎた頃。
冴菜の回答は、夕食を食べる時間ぐらいまで、時間を取れるという事だった。
「ちょっと込み入った話になるから、この後の予定はキャンセルして頂戴。ええ、その調整は任せるわ。」
内線に冷静に語る冴菜の背中を、キョーコは見つめている。


『では、罪状と被害について伺いますわ。』
冴菜が、手帳を広げ、キョーコと久遠、そしてタケシを見た。
『アンタ、どこまで把握してる?』
タケシがソファーに深く腰掛け、顎をしゃくるようにして、久遠を見てから、冴菜に向き直る。
クスっ
冴菜が笑みを漏らした。
『そんな手の内を最初から、明かすとお思い?』
『は〜ン、事前調査は済んでんのか。』

『ええ、ほぼ全て。』

へっ
声を漏らしたのはキョーコで。
その声に、冴菜の視線が飛ぶ。

『ヒズリ氏。ここでは紛らわしいですわね、クーさんとお呼びしてよろしいかしら?』
クーが笑みを作って
『クーで結構ですよ、先生』
と答える。
『では、クー、あなたが来日したときに、キョーコがお世話させていただいたのも把握しておりますから、寿司も今から用意させる心づもりですよ。』
『はっ、そりゃ、参りましたな。』
クーが笑う。

キョーコは活き活きと話す冴菜をただ見つめていた。
時折心配そうに覗き込む久遠に、笑顔をかえしながら。

『まぁ、問題は、被害者が訴えるつもりがあるのかどうか、だと思うのですけど?』

冴菜の声が応接室に、響く。

『ああ、そうですね。でも、訴えられても当然だと、思うところもあって、先生にお願いにきたんです。
先生は、俺に罪があると、お考えになりますか?』
冴菜の問いに答えようとしたキョーコを久遠が遮っていた。

にやり
タケシは笑って、久遠をみあげた。

『ちゃんと幸せにできなかったら、、、罪を問うわ。』

冴菜が久遠をじっと見つめ、そして、パタンと黒革の手帳を閉じた。

『そういうことで、いいのかしら。』
一度ゆっくり伏せた瞼を開いて、冴菜はクーとジュリエナを見た。

『あぁ、それはこちらでも監視させてもらいますよ。』
クーが答え、ジュリエナが手を差し出した。
『示談の成立ですね。』
その手に冴菜が笑顔で握手する。

『それなら、定期的な面談は先生がしてくれるんだよな。』
タケシがジュリエナの横で、声をあげた。
『面談?』
『日本にいる間は、お願いしたいですね。』
ジュリエナがそう言葉を添える。
『結婚式にも証人が必要ですから、出席していただけると、この示談のフォローとしては万全ですな。』
クーがニカリとでもいうような顔を久遠とキョーコに向ける。
『日本で、でしたら・・・。』
少し言い淀んだ冴菜の顔が少し赤くなって、俯き加減になったのを、タケシは見上げた。

緩んだ口元、それは幸せそうな微笑み。

『それは良かった。じゃぁ、あとは予定を打ち合わせ致しましょう?』
ジュリエナが微笑んだ。

「良かった。」
久遠がキョーコの耳許に小さく囁き、キョーコは瞳を潤ませながら頷いた。




*****
な、なんか、タケシの話っぽくない?!
意図したところは、仕事命の人達の対決です〜






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