name opening2

「あ、は、、ごめんなさい。大丈夫です。ちょっと。」
慌ててキョーコは手で涙の跡を拭った。
「車止めさせてしまって、すみません。」
じっと敦賀はキョーコを見ている。
それは気遣わしげではあったけれど、探るような眼にキョーコには思えた。
「・・・・何かあったの?」
ラブミー部で夕方会ったときには、何かあったようには見えなかったけどな、と
敦賀は思い返したが、自分が今の曲で動揺しているせいで、いい考えが浮かばない。

「今の曲・」
キョーコが言いかけて、敦賀の心臓が跳ね上がる。キョーコは敦賀の探るような眼をさけるようにうつむいていたので、それには気づかない。
・・・・・あの歌詞で、涙?
・・・きみは誰かに恋しているの?
「名前を呼んで欲しかったんだなって、ちょっと、自分でびっくりしちゃって。」
「・・・・誰に?」
敦賀の口から思わずこぼれた。
「誰、かに、、です。」
即座に口をついたそれは自分でも最良の回答だった。その自分の言葉に勇気を得てキョーコは照れ笑いをして、顔を挙げた。ただ、挙げたときに覗き込んでいると予想した敦賀の顔はなく、彼は前を向いてしまっていた。
「・・・・そう」
少しの沈黙。
「・・・落ち着いた?」
そこで再び敦賀はキョーコを振り返る。
キョーコの表情は笑顔を残してコクリとうなづいた。それに敦賀もつられたように微笑むと前に向き直った。
「じゃ、帰ろう。」
そして、車がゆっくりと動き出す。

そこからも二人の会話もなく、いつものだるまや近くに車は止まった。
「ありがとうございました。」
キョーコは運転席の敦賀に丁寧なおじぎをする。
「・・おやすみ。」
ちょっととまどうキョーコに微笑して、ギアに手をかけた。
立ちすくんでいるような彼女の姿を見つけつつも、車をゆっくりと走らせる。
バックミラーにまだ、こちらを見ている彼女がいるのを確認して。

名前を呼んで欲しいと、心をそえて呼んでくれる名前なら特別と、
切ないヴォーカルが頭の中で響いている。
あれは恋のうた、切ない恋のうた。

彼女の優しい声で
「蓮」と呼ばれたいのか、
「久遠」と呼ばれたいのか。

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はじめまして。

初めてコメントさせていただいてます。
salyuのname。大好きな大好きな曲です。私の回りにはsalyuを知っている方が少ないので、出逢えて嬉しいです。いつも歌詞に曲に心昂らせキョーコのようにただただ泣いてしまいます。早く蓮にキョーコの想いが伝わればいいなあ(*´-`)

Re: はじめまして。

コメントありがとうございます!
> salyuのname。大好きな大好きな曲です。
私も本当に大好きな曲で、だからこその、お話ですが、はじめての二次の作品でこなれていないかもしれません。
ちょっと長いお話ですけれど、楽しんでいただければ、幸いです。

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